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2016年11月25日 (金)

小児甲状腺がんは手術までの間にどんどん進行していた! 鈴木眞一教授が「甲状腺検診継続」を提言

 福島県立医大の鈴木眞一教授が2016年9月26日、第5回福島甲状腺がん国際会議で行った講演を検討したところ、「悪性ないし悪性疑い」と判定されてから実際に手術を受けるまでの間に、小児甲状腺がんがどんどん進行している実態があきらかになりました。

 鈴木教授の発表によると、2016年3月までに手術した132人のうち、福島県立医大で手術したのは126人(うち1人は手術の結果、良性と判明)で、6人は他施設で手術を受けました。

 福島県立医大で手術した甲状腺がん125人について、手術前と手術後を比べてみました。

手術までに甲状腺がんが大きくなる

手術前後のがんの大きさの変化
  手術前 手術後  増減 
10㎜以下 44 43  -1
10-20㎜ 57 31 -26
20-40㎜ 12  2 -10
40㎜超 12 49  +37
125 125     0

 手術前(おそらく「悪性ないし悪性疑い」の判定時)と手術後の甲状腺がんの大きさ分布を比べると(上の表参照)、手術を待っている間に、37人(30%)の甲状腺がんが40㎜超にまで大きくなっていることが分かります。

 小児甲状腺がんは進行が早いのです。

手術までの間に半数以上がリンパ節に転移

手術前後のリンパ節転移の変化
リンパ節転移 手術前 手術後 増減
 なし 97 28  -69
 あり  28 97 +69
125 125     0

 手術前は甲状腺がんの78%はリンパ節に転移していなかったのに、手術までの間に、69例(55%)がリンパ節に転移していました。

 手術前はエコー、手術後は病理診断なので、転移・浸潤については手術前後で精度に違いがあり単純に比較はできませんが、55%もの差が出ているのは精度の違いだけではないかも知れません。

手術までの間に甲状腺外に浸潤

手術前後の甲状腺外浸潤の変化
  手術前 手術後 増減
甲状腺外浸潤なし 106 75  -31
甲状腺外浸潤あり 19 49 +30
不明 0 1 +1
125 125     0

 手術までの間に、30例(24%)が甲状腺外にまで浸潤しています。

手術までの変化・まとめ
  手術までの増加
症例数 割合
直径の増大 37 30%
リンパ節転移 69 55%
甲状腺外浸潤 30 24%

 まとめると、手術までの間に、甲状腺がんが大きくなり、リンパ節に転移し、甲状腺外にまで浸潤していることが分かります。

10㎜以下のがんも同様

 こうした甲状腺がん進行の早さを端的に示しているのが、最大径10㎜以下の「微小がん」です。

 手術前、10㎜以下の「微小がん」は44例。そのすべてが、リンパ節転移なし、遠隔転移もなし、でした。

 ところが手術時点では、10㎜以下でリンパ節転移も甲状腺外浸潤もなかったのは、わずか5例だけでした。他の39例は、リンパ節に転移したり、甲状腺外にまで浸潤していたのです。

 韓国などの「過剰診断」で問題になっている「微小がん」のほとんどは3㎜以下です。福島の小児甲状腺がんは基本的に10㎜超、最低でも5㎜超しか対象にしていませんが、10㎜以下でも進行の早いがんが大部分であることが分かります。

鈴木教授も「甲状腺検診継続」を表明

 講演の最後に鈴木眞一教授は「結論」として、以下のように述べました。

鈴木眞一教授の結論(一部)
・甲状腺がんの原因は福島核事故による放射線被ばくと結びつかないかも知れない。
・しかしながら、放射線被ばくによる小児甲状腺がんのリスクが増加するか否か明らかにするために、
甲状腺検診は長期的に続けるべきである。
 
 鈴木教授の講演は、甲状腺検診縮小の「提言」をまとめるために開催された第5回福島甲状腺がん国際会議に、痛打を浴びせるものとなりました。 

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