« 12.17 第33回被ばく学習会「放射能の危険性:ECRRの(欧州放射線リスク委員会)考え方」 | トップページ | 小児甲状腺がんは手術までの間にどんどん進行していた! 鈴木眞一教授が「甲状腺検診継続」を提言 »

2016年11月21日 (月)

チェルノブイリの教訓は「検診継続」

 2016年11月17日(木)夜、文京区・アカデミー茗台・学習室Aで「甲状腺検診縮小の論拠は示されたかー第5回福島甲状腺がん国際会議 報告ー」を22名の参加の下、開催しました。

 田島直樹・共同代表の問題提起

Img_1777  最初に、共同代表の田島直樹から問題提起がありました。
 一つは、福島から横浜市に「自主避難」した小学生が学校でいじめられていた問題についての指摘です。
 もう一つは、11月12日に胸部動脈瘤破裂で亡くなった長瀧重信氏の「上医・中医・下医」論です。
 くわしくは、秋田さん撮影・三輪さんアップによる動画をご覧ください。

甲状腺検診縮小の論拠は示されたか?

 Photo 続いて、同じく共同代表の温品惇一が、第5回福島甲状腺がん国際会議、特に1日目の内容について、報告しました。
 福島国際専門家会議は日本財団の主催で、2011年9月に第1回が開かれ、2012年を除いて毎年開催されています。
 2014年の第3回国際会議では、会議の翌日に「提言」をまとめ、翌々日に安倍首相に直接手渡しています。
  「提言」の内容は、主に、「放射線防護基準は実際の個人線量に基づいてなされるべき」として、ガラスバッジにより被ばく線量を5分の1程度に過小評価するものでした。

 

今回の目的は甲状腺検診縮小の「提言」

Photo_2 開会式で挨拶した菊池臣一・福島医大・理事長兼学長は、
「現在、甲状腺検査のあり方については、さまざまな意見があります。
  今回の国際専門家会議では、この甲状腺課題の解決に向けた提言をまとめることが、大きな目的の一つです。」と述べました。

 

本音を隠した長瀧重信氏

Photo_3  2013-14年の環境省「長瀧会議」では甲状腺がん多発を否定しきった長瀧重信氏ですが、今回は「チェルノブイリ原発事故後に生まれた子には甲状腺がんが発生せず、甲状腺がんが放射能によるものであることを証明したのは、われわれ日本の研究者たちだ」と誇りました。
 おかげで、福島でも、事故後に生まれた子どもたちの甲状腺検診が重要であることが明らかになりました。
 長瀧氏は基調講演の中では「甲状腺検診縮小」を打ち出さなかったのですが、会場からの質問に対し、「住民が不安だから検診を始めたが、ただ漫然と「心配だから続ける」では良くない。子どもたちにとって何が一番被害をミニマムにするか。そのために議論。漫然とスクリーニングする時期ではない」と答え、「甲状腺検診縮小」の本音をのぞかせました。

 

チェルノブイリの教訓は「検診継続」

 続いてチェルノブイリ3国の研究者が小児甲状腺がんの現状について話しました。
Photo_4  ウクライナのトロンコ氏は「事故の26年後もまだ甲状腺がんが増えている」ことを明らかにしました。
Photo_5  ベラルーシのドロッツ氏は「早期診断とフォローアップのためにはスクリーニングは続けなければならない」と述べました。
1  ロシアのイワノフ氏も「データをとり続ける必要がある。福島でも同様だろう」と言いました。
 イワノフ氏は他方、「福島の甲状腺がんの大部分は放射能由来ではない」と主張するスライドを示しましたが、説明もなく、遠慮がちに映しただけでした。温品は17日の報告で、そのスライドの誤りを指摘しました。

 

放射能由来の甲状腺がんは男女比が1に近い

Photo_6  ロシアのデミチク氏が「想定外の事態」で欠席、代わりに講演したサエンコ氏は、放射能由来でない小児甲状腺がんでは男女比が1:4.3なのに対し、放射線由来の場合は1:1.8と1に近づくことを示しました。
 福島の小児甲状腺がんでは、男女比は1:1.7です。

 

放射性ヨウ素療法

 甲状腺がんが肺などに転移した場合、転移したがん細胞は甲状腺がんの性質を持っているので、ヨウ素を取り込みます。大量の放射性ヨウ素を投与すると、取り込んだがん細胞は死滅します。
2  ドイツのライナーズ氏は、高線量被ばくして甲状腺がん摘出手術を受けたベラルーシの子どもたちを、ドイツで放射性ヨウ素治療した結果を報告しました。
 子どもたちの92%が「完全寛解」または「ほぼ完全な寛解」となり、副作用/二次がんは8例(3%)だったということです。
 福島県立医大で甲状腺がん手術を執刀している鈴木眞一氏は「日本では、子どもに放射性ヨウ素療法をやることは物議を醸す」と異議を唱えました。

 

甲状腺検診縮小の論拠は示されず!

 結局、温品が報告したチェルノブイリ甲状腺がんの話からは、甲状腺検診縮小の論拠は示されず、逆に「検診継続」の声が目立ちました。
  
   撮影していただいた秋田さん、アップしていただいた三輪さん、ありがとうございます。
  スライド34、35、42、47を会場からの質問等をふまえ、訂正しました。
  スライド42の病名については大隈貞嗣・三重大医学部助教に教えていただきました。

 

Photo_7  休憩中に、鴨下祐也さん(福島原発被害東京訴訟原告団長、避難生活を守る会代表)から、11月9日の裁判で原告本人の証言が始まり、法廷に入りきれずあふれたほど傍聴人が集まったことへのお礼、住宅署名のお願いがありました。

 質疑を通じて、本人証言に対する反対尋問の様子が話されました。いじめ問題についても、こどもだけでなく大人もいじめられていることが説明されました。

 

瀬川さんの報告「福島とチェルノブイリはどう違う?」

Photo_9  瀬川さん(高木学校)は、9月26日(1日目)午前にヴァイス氏が行った基調講演1「チェルノブイリ原発事故から30年ーUNSCEAR科学報告書(2008-2012)に基づく甲状腺がんリスクの概要」を報告しつつ、国際会議で連発された「福島はチェルノブイリではない」の内実を問いました。

 UNSCEARは実は、チェルノブイリと福島の被ばくを直接比較する作業はしていないこと、昨年明らかにされた福島原発事故直後の福島市の大気中ヨウ素131濃度データや、つい先日公表されたUNSCEAR(国連科学委員会)2016年白書を突き合わせると、福島とチェルノブイリの被ばくに大きな違いはなさそうなことが分かってきたということです。

 

 瀬川さんの資料は、言葉を補って分かりやすくする作業中ですが、とりあえず当日配布したものはこちらです。

 

次回学習会は12月17日
以上
 

« 12.17 第33回被ばく学習会「放射能の危険性:ECRRの(欧州放射線リスク委員会)考え方」 | トップページ | 小児甲状腺がんは手術までの間にどんどん進行していた! 鈴木眞一教授が「甲状腺検診継続」を提言 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1976038/68515383

この記事へのトラックバック一覧です: チェルノブイリの教訓は「検診継続」:

« 12.17 第33回被ばく学習会「放射能の危険性:ECRRの(欧州放射線リスク委員会)考え方」 | トップページ | 小児甲状腺がんは手術までの間にどんどん進行していた! 鈴木眞一教授が「甲状腺検診継続」を提言 »

無料ブログはココログ