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2016年12月21日 (水)

「検討委員会」に「国際会議提言」に関する意見書を送付しました

 さる12月9日に発表された第5回福島甲状腺がん国際会議(放射線と健康についての福島国際専門家会議)の「提言」は、甲状腺がんへの放射能の影響を否定し、「過剰診断」が原因と主張しています。

 12月27日に開催される第25回福島県県民健康調査検討委員会に向け、21日、放射線被ばくを学習する会から検討委員全員と小林・福島県健康調査課長に対し、下記の意見を送付しました。
PDFはこちら
 
      

放射能による小児甲状腺がん多発を否定する

「提言」は根本的に間違っています

2016.12.21 放射線被ばくを学習する会 anti-hibaku@ab.auone-net.jp

 福島県県民健康調査検討委員会 御中

  さる12月9日、「第 5回放射線と健康についての福島国際専門家会議」は、9月26-27日の会議を経て、福島小児甲状腺がんに関する「提言」を発表、内堀・福島県知事に手渡しました。

 この「提言」は、数々の証拠を無視して甲状腺がん多発を「スクリーニング(検診)効果」と断定し、放射能の影響を否定しています。甲状腺検診は見つけなくてもかまわない甲状腺がんを見つけているだけとして、甲状腺検診縮小の方向を打ち出しています。

 内堀知事は「『大事な提言として受け止める』とし、提言を参考に県民健康調査検討委員会で議論を尽くす考えを示した」とされています(12.10福島民友)。

 私たちは「提言」のもととなった「国際会議」を傍聴した経験を踏まえ、一言申し上げます。

放射線影響は明らか

 

Minihakkennritu  

 上のグラフの横軸は、福島県県民健康調査検討委員会が毎回発表している甲状腺検査結果の集計日、縦軸は1次検査を受けた10万人当たりの「悪性ないし悪性疑い」人数です。

 2012年9月11日の第8回検討委員会(集計日は8月31日)で初めて「悪性ないし悪性疑い」1名が報告され、第9回以降、ほぼ直線的に甲状腺がん「発見率」が増加しています。

 縦軸は「悪性ないし悪性疑い」の人数ではなく、受診者10万人当たりの「悪性ないし悪性疑い」ですから、日ごとに甲状腺がんが増えてきたのです。

 第10回から13回までの直線を横軸の方に伸ばしてみると、増え始めたのは、2012年の10月頃、福島原発事故から約1年7ヶ月後です。

 これを見れば、福島の小児甲状腺がんは放射能の影響と考えざると得ないと思います。

「提言」が言うように、多発は「高性能な超音波診断機器を導入したために引き起された集団検診効果」なら、最初から第16回並みに10万人当たり35人くらいの「悪性ないし悪性疑い」が見つかっているはずです。「スクリーニング(検診)効果」を主張する余地はまったくないのです。

 2巡目甲状腺検査で59人もの「悪性ないし悪性疑い」が見つかっていることも、「スクリーニング効果」を否定しています。

福島小児甲状腺がんは手術適応

 「甲状腺腫瘍診断ガイドライン」では、手術せず経過観察が認められるのは、“術前診断で腫瘍が1㎝以下で、リンパ節転移や遠隔転移,甲状腺外浸潤の徴候のない患者が,十分な説明と同意のもと望んだ場合だけです。

鈴木眞一・福島医大教授 国際会議発表2016.9.26

甲状腺がん判定、福島医大で手術‥‥ 126      

うち良性結節‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥1      

甲状腺がん‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 125(100)      

術前1㎝超‥‥‥‥‥‥‥‥‥81(64.8)      

術前1㎝以下‥‥‥‥‥‥‥‥44(35.2)      

 1㎝以下だが手術適応理由(複数該当あり)      

  浸潤‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥20(16)      

  リンパ節転移‥‥‥‥‥‥ 3( 2.4)      

  反回神経浸潤‥‥‥‥‥‥10( 8)      

  気管浸潤‥‥‥‥‥‥‥‥ 7( 5.6)      

  バセドウ病合併‥‥‥‥‥ 1( 0.8)      

  肺陰影(転移)‥‥‥‥‥ 1( 0.8)      

  本人希望‥‥‥‥‥‥‥‥11( 8.8)      

  上の表は福島の小児甲状腺がんを手術してきた鈴木眞一・福島県立医大教授が926日の国際会議で発表したスライドを日本語にしたものです。

      福島県立医大で手術した甲状腺がん125人のうち、1㎝以下の44人も、反回神経や気管への浸潤やリンパ節・肺への転移が疑われ、あるいは本人希望で手術しており、全員手術適応です。

 韓国の中年女性について言われているような、「放置して構わない甲状腺がん」ではないのです。

 隈病院の甲状腺専門医・宮内医師は「福島県立医大で手術した症例を見るかぎりでは、腫瘍が1センチを超えていたり、リンパ節や肺に転移していたりと、手術は妥当。私が担当医でも手術をしました」と述べています(http://goo.gl/wFM9VW  

「過剰診断」論の渋谷健司・東大教授は「リンパ節や周囲へ広がっている癌は、すぐに手術すべきである」と書いていますThe Haffington Post http://goo.gl/cWODaa)。

進行の早い小児甲状腺がん

   2016.9.26国際会議での鈴木眞一教授スライドより作成

 鈴木眞一教授の発表によれば、手術を待つ間に、1㎝超のがんは大部分が4㎝超にまで大きくなっていました。

2巡目検査で見つかった「悪性ないし悪性疑い」59人のうち28人は、2~3年前の1巡目検査ではA1判定で、まったく異常なしでした。

発見が遅れると再発率・死亡率が高まる

 小児甲状腺がんの発見が遅れると、再発率、死亡率が高くなることが報告されていますClement et al. 2015 http://goo.gl/c9unHV、伊藤ら 2013 http://goo.gl/qt7NBU 

 いのちに別状なくても、生涯にわたって声がかれる、呼吸機能の低下など後遺症リスクがあり、生活の質(QOL)が低下する可能性があります(小林ら 2014 http://goo.gl/9EMgeq)。

「提言」はこうした患者にとって重要な事実には一切触れていません。インフォームドコンセントに反する重大事態です。

  放射能影響を認め、早急に対策を!

 「悪性ないし悪性疑い」が175人にも達している現状を放置することはできません。

「検討委員会」は放射能影響を認め、甲状腺検査の重要性を広くアピールし、高校卒業生の受診率向上、被ばく低減などの対策を打ち出すべきです。   

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コメント

国や福島県の発表する原発に対する情報に対し、常に不信感をもっていました。チェルノブイリの原発事故以来、日本にも起こりうるかもしれないと、無意識の内に関連する知識を求めてきました。
ソ連では事故被害の事実やその影響について、3年間もの隠蔽があったと聞いています.。
ゴルバチョフが大統領に就任して事実が公にされて、すぐに政府はその対策に向かったようですが、当時のソ連の医療技術やもろもろの事情から子供たちに健康被害を出してしまいました。当時のソ連へ医療技術を提供したり、治療にあたられた医師や原子力学者の意見が間接的ではありましたが、私たちに多少の判断力を与えてくれました。確かな知識と対応が放射能の身体に対する被害をより小さくしてくれると感じました。私自身も幼い孫達への健康被害を最小限に留めたいと念じてきました。妊娠した息子の妻が無事に出産を終えるまで不安を抱えました。行政に嘘や隠蔽を許すことはできません。確かなデーターをもとに提言されることに感謝と賞賛をお送りしたいと思います。  山田 洋子

まだそんな戯言を言っているのですか?あなた方の統計データや医学情報の読み方が間違っている事はさんざん指摘され尽くしてるのに、まだ分かろうとせず、自分たちが用意した不幸な物語に無理やり世間を付き合わせようとするのですか?
そんなに被災者たちに呪いをかけて、何が楽しいのですか?
あなたがたの妄想遊びに付き合わされるのはもうウンザリです。

2016年12月22日 (木) 10時17分さん、おつとめご苦労様です。相変わらず具体的な指摘が全くできないようですね。

「高性能な超音波診断機器」の導入数がグラフ数値の増加と相関するなら話は別ですが、資料があると良いですね。

川田さん
この2,3年で超音波診断機器の性能が急に上がったわけではないですからね。しかも一貫して5mm以下の結節は外しているので、それ以下がいくら見えるようになっても発見数が増加することはありません。

皆さま

 コメント、ありがとうございます。今後とも事実に基づいて、正しい放射能情報を発信していきたいと思います。

名無しの権兵衛さんへ
 ご自分のコメントに自信があるのなら、せめてお名前くらい名乗られたらどうですか? 
 「統計データや医学情報の読み方が間違っている」なら、具体的にご指摘ください。
 パンフ「甲状腺検診縮小??」http://twitdoc.com/upload/farmer238/panfu-koujousen2.pdf 
 もぜひお読みください。

島原さま、川田さま
 実際に手術している甲状腺がんは5ミリ超ですから、「高解像度」が原因ではないと思います。
 

不愉快な事実を「間違っている」とか「事実でない」とか、強引に否定する心理を人は持ち、弱い社会はそういう論者や御用学者を排出する。
水俣等の公害の歴史が教えるところでもある。
これに振り回されるのは社会の弱さで、科学的な事実から真実に迫る行いは今こそ必要であり、市民によるこの提言は非常に重要と言える。
そして真摯に放射能の影響を低減させ、命を守る文明でありたいものだ。

取り上げていただき、ありがとうございました。
ほかにも急所指摘をツイートしてます。

 表現的に
「事故発生から1年半、第8回で8万人に一人から、加速度的=曲線的に第10回まで発生率が急上昇した」ということが より「肝心」だと思います。 
 つまり、「集団的発生の立ち上がり」というこの母集団に共通した特徴であり、起因原因との因果関係を全体が持っているということです。

 日々の活動に敬意を表します。
是非、「拭き取り調査で」東京都民の内部被曝を推計して頂ければ、と思います。

この時系列の検査結果からの「発見率」はとても大切なものを見落として反省。私も甲状腺乳頭がん手術。20日初通院。医大に国内最大のアイソトープ治療入院施設が完成し、未来棟と名付けられたようです。「未来棟?なんでみらいなんだ」と通院者も怪訝な顔。「最近男が多いねえ」と隣で話してたので「私も甲状腺がんを手術しました」と話し、男性が多くなっのも放射能の影響だよ、だってこの表見て」と問題の表を見せ、7回まで5万人でゼロでしょう。スクリーニング効果っていうなら第一回から出ておかしくない。と言う話に、高齢者がうなづく。未来棟の話のついでに最近、甲状腺学会が「甲状腺ホルモン検査をうけましょう」と言うポスターを貼りだした。ホルモン高い時と低い時の症状を上げ、積極的に呼び掛けていた。「あのポスターは結局甲状腺検査だよね。でも子供たちの検査を縮小しようと言うのもおかしいね」と。事実は彼らをも急き立てているようですね。事実は強し。

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