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2017年1月10日 (火)

福島甲状腺がん「第三者機関」に関する申入書を送付しました

 1月10日、以下の申入書を、内堀・福島県知事、井出・福島県保健副支部長、小林・県民健康調査課長ならびに県民健康調査検討委員会に送付しました。

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福島小児甲状腺がん
「第三者機関」設置に関する申入書
福島県知事 内堀雅雄 殿

福島県保健福祉部長 井出孝利 殿

福島県保健福祉部県民健康調査課長 小林弘幸 殿

福島県県民健康調査検討委員会 御中

2017.1.10

放射線被ばくを学習する会

http://anti-hibaku.cocolog-nifty.com/blog/

連絡先(略)

放射能影響を示す数々の証拠

福島県の小児甲状腺検査が進むにつれ、甲状腺がん多発、福島県内の地域差が明らかになってきました(http://goo.gl/pSNB5p 15-1622-23頁)。自然発生の小児甲状腺がんの男女比は1:4.8と圧倒的に女性に多いのに対し、2巡目検査では1:1.2です。チェルノブイリ原発事故による小児甲状腺がんの男女比は1:1.9でした(http://goo.gl/pSNB5p 26頁、http://goo.gl/rQCIzH 6)。

小児甲状腺がんは事故後1年以上の潜伏期間の後に、初めて見つかっています(http://goo.gl/CP41zF )。外部被ばく線量が高いほど、甲状腺がんの頻度が高くなることも報告されています(http://goo.gl/pSNB5p 26)。いまや、福島小児甲状腺がんが放射能の影響であることは明らかです。

否定の論拠は次々に崩壊

ところが福島県県民健康調査検討委員会(以下、検討委員会という)は、甲状腺がんの多発を認めながら、放射能影響を否定し、「将来的に臨床診断されたり、死に結びついたりすることがないがんを多数診断している可能性が指摘されている」としています。

これは甲状腺がんの実態に反しています。

鈴木眞一・福島県立医大教授の発表によれば、直径1センチ以下の手術例もリンパ節などへの転移・浸潤のおそれなど、手術適応で、「将来的に臨床診断されたり、死に結びついたりすることがないがん」ではありません。

検討委員会は当初、多発を将来大きくなるがんを見つけているスクリーニング効果と説明していましたが、2巡目検査でも1巡目と同等に甲状腺がんが見つかり、「スクリーニング効果」説は破綻しています。

事故当時高校生はハイリスクなのに受診率が急減

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上のグラフのように、事故当時高校生だった子どもたちは、6-10歳に比べ20倍以上も甲状腺がんになりやすいことが分かっていますが、いまや高校を卒業し、2巡目の甲状腺検査受診率は25.6%に低下しています。

4人に3人は検査を受けていない現状こそ、打開しなければならない喫緊の課題です。

検査が遅れると、再発率が高まる

2巡目検査で見つかった甲状腺がん68例中31例は2~3年前は結節もありませんでした。がんの成長が早いです。311子ども甲状腺がん基金に福島県外から寄せられた9件の給付金申請のうち、3件は肺転移した重症例でした(http://goo.gl/Y1Biiu )。

小児甲状腺がんの発見が遅れると、再発率、死亡率が高くなることが報告されています(Clement et al. 2015 http://goo.gl/c9unHV 、伊藤ら 2013 http://goo.gl/qt7NBU )。

いのちに別状なくても、生涯にわたって声がかれる、呼吸機能の低下など後遺症リスクがあり、生活の質(QOL)が低下する可能性があります(http://goo.gl/9EMgeq )。

検討委員会ではこうした重要な事実が議論されず、「安心情報」ばかりが流されています。

「過剰診断」論を脱却し、検査奨励を! 

事故当時高校生だった子どもたちの4分のは検査を受けておらず、甲状腺がんが見つけられないまま放置されています。

県外で報告されているように、自覚症状が出るまで受診せず、肺転移など重症化する可能性が大きいです。

福島県・検討委員会は「将来的に臨床診断されたり、死に結びついたりすることがないがんを多数診断している」との認識にとらわれず、直ちに甲状腺検査受診奨励に踏み切るべきです。

「国際的第三者機関」で時間稼ぎは許されない

ところがさる1227日、第25回検討委員会で星 座長は、「福島の甲状腺検査結果と切り離して」、放射能と甲状腺がんの関係を調査する「国際的第三者機関」設置を要望、井出・保健福祉部長は「皆さんの意見を踏まえまして、学会、国際機関、国とも十分相談しながら検討したい」と回答しました。

こうした検討委員会・福島県の対応は、必要な対策をとらず、「多発の原因究明」に徒に時間を空費し、県民の健康を守る責任を放棄するものです。

私たちは上記の認識に鑑み、この「国際的第三者機関」設置には大きな問題があると考え、以下の3点を申し入れます。


1.福島県は検討委員会の「中間取りまとめ」を受け、「(多発している甲状腺がんは)放射線の影響とは考えにくい」、「将来的に臨床診断されたり、死に結びついたりすることがないがんを多数診断している」との立場を共有しています。県民の健康を守るためには、まず福島県がこの立場を放棄することが必要です。

2.そのために「会議」が必要なら、「中立的な立場から」議論し「十分な理解」を得るため、放射能影響否定論者ばかりでなく、放射能影響論者も同数招待し、市民からの質疑にも十分な時間をとり、徹底的な議論を行うことが必要です。

放射線影響は冒頭に紹介したように、津田敏秀・岡山大教授、国際環境疫学会をはじめ国内外から指摘されています。検討委員会では放射能影響を否定する論文ばかりが紹介され、男女比に関する委員からの質問にも「検討しないと分からない」と、放射能影響を認めない回答が繰り返されてきました。これでは「十分な理解」は得られません。

3.星 座長は「(甲状腺)検査結果と切り離して、(「国際的第三者機関」に)分析していただく」と述べていますが、検査結果はいま現在、福島県で多発している小児甲状腺がんの実態そのものです。この実態を巡ってこそ、検討されるべきです。

以上

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