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2017年4月 7日 (金)

20mSv法制化に向け、放射線審議会の権限強化法案が成立!

 放射線審議会の機能強化を含む法案「原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律案」が2月7日、国会に上程され、4月7日に成立しました

放射線審議会の権限強化
 この法「改正」は原子力規制委員会の提言により内閣が提出した閣法で、改正案はこちらに掲載されています。一番最後に提案理由が書かれています。
 「国際原子力機関の勧告等を踏まえ、我が国の原子力利用における安全対策の一層の強化を図るため、原子力事業者等に対する検査制度の見直し、放射性同位元素の防護措置の義務化、放射線障害の技術的基準に関する放射線審議会の機能の強化等の措置を講ずる必要]ある(ママ)」。

ICRP2007年勧告の取り入れ 
 放射線審議会権限強化の狙いは、ICRP2007年勧告を国内法に取り込むことです。
 昨年11月24日の毎日新聞が「同審議会が早急に取り組むべき課題には、新たな放射線防護の考えをまとめた国際放射線防護委員会の07年の勧告や、放射線を扱う人に対し眼球にある水晶体の被ばく上限の引き下げなどがある」と、的確に伝えています。
Mini_kiseityo3_kai  今年3月2日に開催された放射線審議会では、「ICRP2007年勧告の取り入れ」が「課題」とされています。原子力規制庁の担当課長補佐は電話問い合わせに「2007年勧告を取り入れるための機能強化」と明言しました(同じく3月)。

20mSvの法制化
 2007年勧告の眼目は20mSvの導入だと思います。
 現在の日本の法令はICRP1990年勧告を取り入れたものなので、公衆の線量限度は年間1mSvです。
 2007年勧告にある「緊急時」や「現存被ばく時」の20mSvは法令にありません。20mSv帰還の大きなウイークポイントです。

放射線審議会 権限強化がなぜ必要?
 1990年勧告を国内法に取り入れようとしたとき、放射線審議会は各省庁の諮問に応えるだけでなく、自ら提言する権限を持っており、7年間の審議を経てようやく改正案がまとめられました。
 翌1999年、乱立する審議会が政府の隠れ蓑になっていることに批判が高まり、審議会が整理合理化されるなかで、放射線審議会の提言権限をなくし、諮問に応え、意見を付加できるだけになりました。
 2007年勧告の国内法取り込みの審議は2008年に放射線審議会で開始され、2011年1月に第2次答申が出されましたが、福島原発事故でストップしてきました。
 2007年勧告を取り入れるには、11本もの関連法令の改定が必要のようです(国際放射線防護委員会2007年勧告の国内制度等への取り入れに係る審議状況について-第2次中間報告―」63頁)。
 関連省庁の足並みを揃えるには、諮問を待つのではなく、放射線審議会が率先して音頭を取る必要がある、と考え、今回の改「正」案上程に至っているようです。
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20mSv法制化をやめさせよう!
 20mSvが法制化されることは大問題です。一般公衆の「線量限度」年間1mSvが有名無実になり、被ばくを強いられます。

このお先棒を担いだのが、2.9読売新聞社説です。
 2月9日の読売新聞社説「放射線審議会 民主党政権時の基準を見直せ」は
「1ミリ・シーベルトの呪縛」と称して20mSv法制化を要求するとともに、飲料水の基準が「欧州は1000ベクレル/リットル、米国は1200ベクレル/リットルなのに、日本は10ベクレル/リットル」と間違った情報(米国は3.7ベクレル/リットル、欧州は8.7ベクレル/リットル)を元に、食品の放射能基準をゆるめるよう求めています。

 読売新聞社公開質問状への賛同を募っています(現在380名を超えました)。
 まだ賛同人になっておられない方、拡散していただける方は、よろしくお願いいたします。
  
・放射線審議会権限強化の問題はまだほとんど知られていません。
 このホームページをどんどん拡散してください。
  
眼の水晶体の線量限度引き下げ
 日本の法令では、ICRP1990年勧告に基づき、眼の水晶体の線量限度(職業被ばく)は、等価線量で年間150mSvとされています。
 ICRPは2011年のソウル声明で、眼の水晶体の等価線量に関して「5年間の平均が20mSv/年を超えず、いかなる 1 年間においても 50mSv を超えないようにすべきである」としました。
 3月2日の参議院予算委員会で、線量限度を直ちに引き下げるよう求める山本太郎議員の質問に対し、政府は放射線審議会での検討が必要としています。
 放射線審議会の権限強化が実現した場合、眼の水晶体の線量限度引き下げが真っ先に行われそうです(3月2日の放射線審議会)。

「原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律」には、放射線審議会の権限強化の他に、定期検査の変更なども含まれています。
  
・「改正案」の条文は非常に見にくいので、こちらのPDFをご覧ください。
 PDFの17頁、18行目の「第六条 放射線障害防止の技術的基準に関する法律(引用者注「技術的基準法」)の一部を次のように改正する」が、放射線審議会に関する部分です。
 「(技術的基準法)第五条第二項中「前項に規定する」を「放射線障害防止の技術的基準に関する」に改め」によって、放射線審議会の権限が、「諮問に応える」だけでなく、「放射線障害防止の技術的基準に関する事項」全体に拡大され、独自に調査・提言する権限が与えられます。
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以上

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コメント

新聞の見出し(見せかけ)と実際の記事の内容(中身)が違う?ような話に聞こえませんか?
『放射線を扱う人(原子力事業者・放射線業務従事者)の眼球にある水晶体の被ばく上限を引き下げる』のであれば、当然、公衆の年間被ばく量も「引き下げる」のでは・・・。
もしくは、公衆の年間被ばく量を【緊急時】【現存被ばく時】は「20ミリシーベルトに引き上げる」のなら、
放射能を扱う人の眼の水晶体の被ばく上限も「引き上げる」のでは・・・?

と思い、何度もブログを読み返してみました。しかし、これはこれで正しいのですね。

これも「ICRP2007年勧告」を通すために、「被ばく上限引き下げ」という、ちょっとよく聞こえるような事項だけ宣伝した、ある種の”ひっかけ”なのでしょうか・・・。

 はい。水晶体の線量限度引き下げは2007年勧告には書いてないのですが、権限強化された放射線審議会の仕事として、まずは水晶体の線量限度引き下げで評判を良くしておこうという作戦のようです。

温品様

>水晶体の線量限度引き下げは2007年勧告には書いてない<旨、ご指摘いただくまで気づきませんでした。
(2011年ソウル声明に基づき、そのような基準になる可能性があるということですね)

それですと、現在東電の原発作業員の雇止め(解雇)被ばく限度量、「年間20ミリシーベルト」内に収まりますし、(眼の検査が正確にされるのかはさておき)、雇用側としては問題がないようですね。

毎日新聞も、記事にはしたが、一番大事なことは伝えていない。

何が秘密かが秘密の『特定秘密保護法』の裏で、ほぼ同じ趣旨の『がん登録推進法』が同日可決されていたような「ズル」は防ぎたいですね。

ご返答有難うございました。

はい。水晶体の線量限度を年間20mSvにしても、これは等価線量なので、実効線量に換算するときは組織加重係数0.05をかけるので、1mSvになります。

上記の質問をしました、風香です。

質問をいたしました時(4/12、13日)のページタイトルは、『20mSv法制化に向け、放射線審議会の権限強化法案が衆議院を通過』でした。

しかし、その時はすでに『法案は成立』していた、という解釈でよろしいですね。
(4月7日成立ですから、このブログが更新された日にはすでに…ということですよね?)

出来ましたらトップページでもう一度、詳細を伝えて頂けると有難いのですが。
私はタイトルが変更されている事に気付きましたが、まだ『成立していない』と思われている方、沢山いらっしゃいますよ。

風香さま

 おっしゃるとおり、国会の動きについて情報把握が不十分で、4月12日にはすでに成立しておりました。
 ご要望の趣旨がよく分からないのですが、トップページとはhttp://anti-hibaku.cocolog-nifty.com/blog/
のことでしょうか。伝えるべき「詳細」とは、いつ衆議院を通過、参議院はいつ、ということでしょうか?

温品惇一様

お返事有難うございました。
トップページとは、『最新の記事』で「お知らせ」として更新して頂けると、皆さん気づきやすいであろうという意味で、申し上げました。
>伝えるべき「詳細」とは、いつ衆議院を通過、参議院はいつ、ということでしょうか?<
・・・まさにそのことと、『2007年勧告を取り入れるには、11本もの関連法令の改定が必要のよう...』との事ですが、これが後どのくらい時間がかかるものなのか、「おおよそ」でもお分かりになりましたら、教えて頂きたく存じます。
以上です。

風香さま

 返信が遅くなり、申し訳ありません。
 ちょっと立て込んでおりますが、ご要望に添いたいと思います。
 ご意見、ありがとうございます。

風香さま

 お待たせしました。
 http://anti-hibaku.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/post-86df.html
 に書きました。

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