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2017年4月 5日 (水)

白血病は原発のせいじゃない?!  4.2 第35回被ばく学習会の報告(その1)

 4月2日(日)午後の第35回被ばく学習会「白血病は原発のせいじゃない?!」は60名の参加で盛況でした。ありがとうございます。

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 開会挨拶に続いて、共同代表の温品(ぬくしな)惇一から、3月30日のNHK-TVニュース7で報道された福島・甲状腺検査の問題点について報告しました。
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Photo  甲状腺検査の2次検査で「悪性ないし悪性疑い」と判定された人数が公表されています(2016年12月31日現在185名)が、2次検査で「経過観察」になって「経過観察」中に甲状腺がんと診断されたケースは、甲状腺がんとカウントされていないことが明らかになりました。
 甲状腺検査に穴があったわけです。
 このカウントされていないケースは、事故当時4歳でした。
 しかも、甲状腺がんと診断したのは甲状腺検査をしている福島県立医大で(NHK-TV ニュース7放映)、2015年のことでした(OurPlanetTV)。
 福島県民健康調査検討委員会は2016年3月、「県民健康調査における中間取りまとめ」を発表、「事故当時 5 歳以下からの発見はないこと」を一つの根拠として、「これまでに発見された甲状腺がんについては、・・・放射線の影響とは考えにくいと評価する。」としていました。
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 検討委員の一員である大津留教授は「中間取りまとめ」の段階ですでに、4歳児の甲状腺がん診断を知っていたはずです。
 にもかかわらず、「事故当時5歳以下からの発見はないこと」を根拠の一つに挙げ、放射能影響を否定していたわけです。

「診療行為」が隠し幕
 4歳児のケースは氷山の一角です。
 これまで「検討委員会」は、2次検査の判定結果までを「守備範囲」とし、「手術」、「経過観察」などは「診療行為」として情報公開を拒んできました。
 今回のケースに関連して、県民健康管理センターは「経過観察中に甲状腺がんと診断された場合は、カウントしない」旨を明示しています。
 現状では、カウントされていない甲状腺がんが何例あるのか、何十例なのかも分かりません。県民健康調査の甲状腺検査を受けず、「枠外」で甲状腺がんと診断されている例もあり得ます。
 甲状腺検査システムの改革が必要です。

放射線審議会の権限強化と読売新聞社説
 放射線審議会の権限を強化し、20mSvなどICRP2007年勧告を日本の法令に取り込もうとする法案が3月23日、衆議院で可決され、参議院に送られています
 2月9日の読売新聞社説「放射線審議会 民主党政権時の基準を見直せ」はそのお先棒を担いで20mSv法制化を求め、飲料水のセシウム基準についてはまったく間違った数字を示して”日本の基準は欧米に比べて厳しすぎる”と主張しています。
 3月13日、327名の賛同をもって三度、読売新聞社への公開質問状を送付しましたが、回答がなく、学習会場でも賛同を呼び掛けました。 

原発労働者が置かれている情況
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 本論に入り、被曝労働を考えるネットワークのなすびさんから「原発労働者が置かれている情況」について、実に熱のこもったお話をしていただきました。

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被ばく状況は改善されたか?
 昨年3.11が近づいた頃から、東電が盛んに「労働環境が良くなった」と喧伝し始めた。原発建屋周辺の空間線量率は10~100μSv/hはある。これが普通の労働環境と言えるのか? 敷地の大部分はタンク置き場なので1μSv/h程度。
 タイベック(保護服)、全面マスクを着用するかどうかは、表面汚染密度と空気中の放射性物質濃度で決まる。タイベックを着ないで済むようになったと言っても、放射線が来ていないわけではない。
 マスク、作業着などの区分については経産省ホームページ

労働条件は?
 被ばく管理と、いろんな意味での労働条件、それから賃金・雇用、これらは連関している。どれか一つでもまともなことをやってない所は、全部ダメ。
 東電の社長が割増賃金を1万円~2万円にすると言ったけど、いま給与明細に書かれるようになって、平均4000円くらい。
 法令違反がたくさんある。

頻発した労災事故
20170402nasubi5  福島第一原発での労災事故は2011年から2013年まで減少してきたが、2013年にオリンピック招致が決まり、汚染水問題が深刻になると、2014年、増加に転じた。
 2015年に国が乗り出し、東電も「工程優先」になっていたと認め、「長期ロードマップ」を改訂、労災が減少した。

被ばく線量は?
 事故直後から2016年3月まで5年間の被ばく線量は、250mSv超が6人、100mSv超が174人、50mSv超は2931人。
 電離則で被ばく線量の上限は5年間で100mSvと決められているので、5年経つと線量はまたリセットされてゼロになる。今は50mSv超の人はいない、ということになる。

被ばく労災の認定は3人
 福島原発事故後の被ばく労災認定は3人。
 1件目はあらかぶさんで、急性骨髄性白血病。1年半で約20mSv被ばく。
 2件目も急性骨髄性白血病。55.4mSv被ばく。
 3件目は事故時に中央制御室で対応に当たり、放射性ヨウ素で被ばくした東電の社員が甲状腺がんになった。

労災と認めたのに、「因果関係が証明されたのではない」
 あらかぶさんは年間5mSvなど、白血病の労災認定基準を満たしていたが、それでも家族の病歴など、細かいことでいちいちデータを求められ、担当医が音をあげるほどだったが、放射線以外に原因がないと認められ、専門家検討会が「放射能起因性があると認定すべきだ」として認定された。業務起因性を認めたわけです。
 ところが厚労省は記者会見で、「労災認定されたことをもって、科学的に被ばくと健康影響の因果関係が証明されたものではない」とわざわざ強調。マスコミなでで厚労省の見解が宣伝された。

被ばく管理の責任を負う東電が「コメントする立場にない」
 福島原発で被ばく管理の責任は東電にある。被ばくにより白血病になったことに東電は責任があるのに、「(労災認定について)コメントする立場にない」と答えた。
あらかぶさんはこれに烈火のごとく怒り、損害賠償を求めて提訴した。

三重がんでも労災認定せず
 少なくとも56mSv被ばくして、非常に短期間の間に膀胱がん、胃がん、結腸がんを併発した北海道の労働者は労災補償不支給になった。
 これらは労災認定の対象疾病になっていないので、「不支給決定」を出すに当たって、専門家検討会議の次のような見解を出した。
「膀胱がん、喉頭がん、肺がんの労災補償に当たっては
・100mSv以上の被ばく
・被ばく開始から発症まで5年以上
・放射線被ばく以外の原因についても考慮」

健康管理体制がおかしい!
 健康管理については、被ばく労働者と、一般の労働者、ヒロシマ・ナガサキの被ばく者とはまったく違っている。
 例えば健康管理手帳。福島労働局のサイトには 
「健康管理手帳とは、がん、じん肺、中皮腫のように発病までの潜伏期間が長く、また、重篤な結果を起こす疾病にかかるおそれのある人々に対して、これらの疾病の早期発見に努めてもらうため、健康診断を無料で受診できるようにする手帳のことをいいます。
 これは、在職中の健康管理については事業者にその義務が課せられていますが、退職後は国が健康管理を行うという制度に基づいています。」とあります。
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 この健康管理手帳の対象者はベンジジン、石綿など発がん物質を扱う労働者や粉じん作業の労働者に限られていて、被ばく労働は対象になっていない。

フクイチ労働者の健康管理
 事故後、福島第一原発で働いた労働者は、2014年10月末までで約3万9千人にのぼる。
 このうち、長期の健康管理が検討されたのは、2011年3月14日から、野田首相が「終息宣言」を発した12月16日まで、「緊急作業」の線量限度が250mSvに引き上げられた期間に働いた約2万人の「緊急作業従事者」だけ。3万9千人の約半分に過ぎない。
 その中でも、特に検査が必要とされたのは、
・50mSv超の被ばく者(901人);眼の白内障検査
・100mSv超の被ばく者(167人):甲状腺検査、がん検診(胃、肺、大腸)
だけです。がん検診を受けるのは、たった167人だけです。
 検査は事業者が行い、退職後も国による健康診断はありません。

緊急作業の線量限度を250mSvに緩和、「決死隊」を示唆
 2015年には、緊急作業の線量限度250mSvを法制化した。
 東電廃炉推進カンパニー・最高責任者の増田尚宏氏は、2月27日の産経新聞で核燃料デブリ取り出し作業などで「決死隊」も想定していることを示唆している。
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 4月2日の学習会では、あらかぶさん裁判への会場カンパ31799円を「あらかぶさんを支える会」にお渡ししました。

 その2:海渡雄一さん

文責:温品惇一

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