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2017年4月10日 (月)

白血病は原発のせいじゃない?! 4.2学習会報告(その2:海渡雄一弁護士)

 続いて、海渡雄一弁護士のお話です。

 資料はこちら
 動画はこちら

福島甲状腺検査の大問題
Photo_4  311甲状腺がん子ども基金の副代表理事を務めてます。
 資料8頁の最後から、3月30日NHKのニュースをそのまま流し込んでおきました。
 この情報の、驚くべき点は2つある。
 一つは、今まで4歳以下の人がいないから、因果関係が否定できるんだと言っていたのに、(4歳児にも見つかって)因果関係否定の大きなポイントが崩れたこと。
 
 もう一つ、すごく重要なことは、福島県の甲状腺がんは正確に報告されているものと思っていたわけですけれども、非常に大きな穴があった
 9頁の真ん中あたり、「県や県立医科大学は「報告の対象は二次検査までにがんやがんの疑いと診断された患者で、二次検査で継続して推移を見守る『経過観察』とされたあとにがんと診断されたり、別の医療機関に移って、がんが見つかったりした患者たちを・・・報告していない」と説明しています。
 危ないと思って経過観察するのに、がんとわかっても発表されないのは驚くべきこと
 NHKの報道に一つだけ難点があるのは、経過観察に回された人が何人いるのか、2500人いるんです。2500人の内、最終的に何人ががんと診断されたのか、これから確認していかなければいけない。

 これがバレても、なんら悪びれもしないで「そういう仕組みになっておりますから」、「経過観察になったら、保険医療の範囲に入っていますから、医療情報保護の問題で発表できません」。言い訳まで考えてあったかのように、そういうことまで言い出していることが驚くべきこと。
 11頁を見てもらうと、「県立医科大学で甲状腺検査の責任者を務めた医師は(これは鈴木さんのことでしょうが)、NHKの取材に対して『二次検査のあとの経過観察でがんと診断された患者の多くが、その後も県立医科大学で治療を受けているが、全員を網羅しているわけではない。公表によってかなり恣意的なことが起こるので慎重にするべきだ。」
 どういう意味ですか、これ? いま(小児甲状腺がんが)200人でも多いと思ってるのに、もしかすると何倍にもなるかも知れないという、恐ろしい事態になっているわけです。
 最後の4行がまた恐ろしくて、「福島県県民健康調査課は『検査の後の経過観察などで、がんが判明した場合、公表データに入らないことは承知している。」
 最初から、隠すことになってました、ってわけですね。
 「そういう患者がいる可能性はあるが、個別のケースは把握していない。委員会の議論を踏まえて、今後、公表を検討することになる』と話しています。」
 よく言うよね! 

 たまたま4歳で甲状腺がんになった人が「こども基金」を訪ねてきてくれたから、こういう隠されていることが明らかになったが、「子ども基金」をやってなかったら、ずっと隠されていたかも知れない。
 今日は被ばく問題を学習しようという人が集まっているわけでしょ。参加者でNHKのこの番組見た人何人くらいいますか?(挙手) 10人もいないよね。日本全体では全然知られていない。必死になって知らせていかなければいけない状況だと思います。

100mSv超えないとがん検診しない!
 もう一つ、忘れちゃいそうなんで、健康管理手帳の話。レジメの6頁の6 被ばく労働者の継続的な健康診断。
 2011年10月、福島原発事故の半年後に、長期健康管理の仕組みを一応作った。50mSvを超える人は手帳の交付を受けられるが、がん検診は100mSvを基準にしている。これが167人。白血病の労災認定基準は5mSvなんです。白血病の労災認定基準を超えてる人は、当然、がん検診を無料にすべきだと思う。こんな当たり前のことがなぜできないのか! 3.11の事故が起きた後からずーっと言い続けているんですが、未だに実現していない問題の一つです。
 
危険手当ピンハネ責任追及訴訟
2  レジメの最初に戻ります。6頁の4項「危険手当の直接支払いが必要である」。
 (2014年に危険手当について東京電力、元請け、下請け会社を提訴しました。)
 東電から6次下請けくらいまであるんだけど、裁判で「お前のところは労賃いくらもらっていたのか」聞くと、初期は危険手当が3万円とか5万円とか出てたけど、最終的に1万円払われていれば良い方で、数千円みたいな状態になっていた。
 中間でピンハネする率が、会社によってまったく違う。これは驚くべきことで、1社で3万円くらい抜いてるところがあったり、「うちはほとんど抜いてません」と言うところもあったり。それがどうして、というところまではまだ解明できてません。

海渡さんの本「原発訴訟(岩波新書)」
Photo  この本は、原発の差し止め訴訟のこと、福島原発事故のことも一生懸命書いたんですが、第4章は「被曝した労働者、住民たち」という章になっていて、僕が今まで担当してきた浜岡の労災で亡くなった嶋橋伸之さんのこととか、石川島播磨で働いていて肺がんになって労災申請した、これは認められなかったケース、JCO臨界事故の事件、それから、僕が担当した訳じゃないですけど、長尾労災事件の経過などもまとめています。

浜岡原発・嶋橋さんのケース
 浜岡の嶋橋さんは9年くらい、浜岡原発の圧力容器の直下で、圧力計とか温度計を取り外して、検査して、そこにまた再装荷する作業をしていた。相当危険性が高い部署だと思うんですけども、僕は同じ場所に入ったことがあるので、どんな場所か分かりますけど、ものすごく狭いんです。立ち上がることもできない。
 おそらく、取り外し作業は定期検査で原子炉を止めた直後くらいだと思うので、暑かったと思いますね。9年間で50.6mSv被ばくしたから、年間5mSvを超えている。慢性骨髄性白血病で労災申請。申請した当時は、日本の原発史上初めてだと思って申請した。そしたら、1件前にあった。1991年、富岡で労災認定がおりていたことを国が公表した。
 あともうひとつ、嶋橋さんと同時に、1994年7月に神戸西で、72mSv被ばくで急性骨髄性白血病。
 白血病関連で労災認定されているケースは、3.11の前に5件くらいある。

白血病以外の労災認定基準は100mSv
 レジメ6頁の最後、「7 ガンなどについても・・・」にあるように、骨髄性白血病やリンパ性白血病は5mSvという基準があるんですが、7頁に「放射線被曝労働に起因して発生すると考えられる疾病」としていろいろ病名が挙げてありますが、例えば再生不良性貧血なんか、線量の基準がない。白血病を含む6疾病だけ基準を定めていた。
 その後、2012年9月、胃がんなどの基準は100mSvと決まっちゃってる。公衆被ばくの1mSvを撤回させて20mSvを、という話がありましたが、労災認定基準も5mSvを撤回させて100mSvへ、という流れがあるような気がします。白血病以外の人の救済は非常に困難になってます。肺がんの認定基準はまだないと思います(2015年1月、100mSvと決定されていました甲状腺がんの基準も100mSv)。

石川島播磨の場合
 もう1件、僕が認定申請したのは肺がんだったんですが、記録されている被ばく量が2.9mSvだったので、内部被ばくしているんじゃないかと。当時、原発の内部がプルトニウムで汚染されていたことが内部告発で明らかになっていたので、被ばく線量がいくらになるか計算までして争ったんですが、認められなかった。

 この方は、原発労働者と言っても下請け労働者ではなくて、石川島播磨の正社員の方で、応力腐食対策のために配管を取り替える作業をする、その時に現場で配管を切る作業をやって、入ったのは数回しかないんだけど、その時にプルトニウムのエアロゾルを吸入したんじゃないか。
 彼の場合は、煙草も一切吸わないし、遺伝性もないし、肺がんは絶対に被ばくのせいだと奥様は固く信じておられて、一生懸命争ったんですが、認められなかった。
 被ばく労働したときの記念写真が残っていた。半面マスクだったので、吸い込む可能性があると主張したのを覚えています。
 白血病については一定の救済が図れるんですが、それ以外の、いま大量に被ばくしている人たちが、甲状腺がんや白血病は割と早く発病しますが、肺がんだとだいぶたってから、長い潜伏期間があってから発症してくる。そして、もともと母数が多いですよね。煙草なんか吸ってるとそのせいにされる。この人たちが、多発しているようながんにかかった時に、労災で救済される道は、非常に厳しいのではないか。今のうちに・・・しておかないと大変なことになってしまうのではないか。

あらかぶさん
 Photo_4   今回、損害賠償裁判を起こしたのは九州の方。原発労働者のかなりの方が福島に住んでると思うんですが、彼の場合は鍛冶職人。震災があって、福島がひどいことになってる、と。自分の専門を活かして何か復興のお手伝いができないかと考えてた人なんです。非常に義侠心がある。
 知人に働いてくれないかと言われて、家族は泣いて止めたと言ってました。「あぶないから行かないでくれ」と言ってね。でも、俺が行かないでどうするんだ、みたいなことで行ったということです。
 彼が働くのをやめたのは、危険手当がちゃんと払われないことにものすごく憤りを感じていたから。彼は労働者を率いて行った、親方みたいな人で、グループで引き上げてきた直後に白血病になってしまった。
 玄海原発で働いたこともあるが、福島原発では、当初は2011年10月頃、第2原発で働いていた。2012年1月まで4号基の耐震化工事などもやっていた。玄海で4mSv、2012年10月~2013年3月まで、2013年5月~10月まで全部合計で20mSvくらいの被ばくをしています。
 引き上げてきた直後に白血病と診断され、抗がん剤治療、骨髄穿刺をして、基本的には寛解状態。もちろん再発する可能性はあるが、一応収まっている状態。相当過酷な治療だったこともあって、「死んじゃうんじゃないか」という恐怖のなかで「うつ病」になり、白血病とうつ病の両方について労災認定がおりている。
 労災認定が割にスムースに認められた背景に、元請けの鹿島が一生懸命情報を集めてくれて、労災申請に協力してくれた。浜岡の場合は、下請けも元請けもまっかく非協力で、本人のノートと放射線管理手帳だけで闘って、あとは労災審査官が調べに行ってくれて、何とかなった。

あらかぶさん裁判の見通し
 まだ、「争う」という答弁書が出ただけで、どういうふうに争うのか、明白なものは出ていない。レジメの8頁、「2 訴訟の争点」に争点になりそうなこと、訴訟の意義については1項に。「福島原発事故の収束労働で労災認定を受けた労働者が初めて起こした訴訟である」ということ、「認定された労災は白血病とうつ病」、そして「原子力損害賠償法に基づいて訴えている」ということ。
 みなさん、ちょっと考えてみてほしいんですが、東京電力がこの事故の損害賠償で払った総額は何兆円にもなっている。いわゆる経済的な被害、風評被害みたいなものにも賠償金が払われている。かなり離れた地域の観光客が減ったなんてことにも払われている。実際に損害が起きているわけだから賠償金払うのが悪いと言ってるわけではないんですが、復興の助けになると思って行って、これだけの被ばくをした事実があって、それが労災認定の基準をはるかに上回っていて、1年くらいにわたって審議会の委員の審査を受けてほかに要因がない、ということがちゃんと確かめられている。
 白血病の場合にも、遺伝性であったり、ウイルス性であったり、そういう要因があるかどうか調べられる。ほかの要因はないんです。ただ、病気がなぜ発症したのか、確実に1:1の関係で立証することは不可能。およそ無理。だけども他の要因はない。被ばくしていて、労災認定されている。従って、業務起因性がある。業務に起因していると認めること。労災に認定しておきながら、わざわざ、厚労省が「これは科学的に因果関係が認められたものではない」と余計なことを付け加えて、東京電力は一切賠償義務を負わないと言い張っている。真っ先に賠償しなければいけない。訴訟を起こされる間もなく、「本当に申し訳ないことをしました」と言って、賠償金払ってもいいケースじゃないかと思うが、あくまでも放射線被ばくによって健康被害が生じたわけではないんだ、甲状腺がんの因果関係を否定しているのと同じような「放射線被害はなかった」神話を守り抜くために犠牲にされていると考えるべきじゃないかと思います。
 このケースで勝てるかどうかは、世の中一般の人がどう思うかが重大。この件で訴訟を起こそうとしていたときに、新聞報道された東京電力のコメントが途中で微妙に変わった。そのへん、なすびさん、ちょっと調べてもらいたい。要するに、「一切関係ない」と言ってたのが、途中から「お見舞い申し上げます」みたいなこと、言い始めた。一切因果関係ないと言い張ることが、東京電力が何兆円も賠償払っていることは知れ渡っているのに、甲状腺がんになっている子どもたちと、原発で働いて白血病になった人には1円も賠償金払ってない、てことなんです。
 甲状腺子ども基金を僕らがなぜ作らなければならなかったか。東京電力は彼らには一銭もお金払ってない。
 なすびさん:さっきの話なんですが、「お見舞い申し上げる」は、最初の厚労省のプレスのとき言ってる。「コメントする立場にない」と言った後に、「作業員の方にお見舞い申し上げるとともに、作業環境の線量低減に努め、被ばく管理を徹底していく」、極めて一般的な物言いをしています。
 変わったのは、提訴するというのが新聞に出たときに、「訴状が送達され次第、適宜適切に対応」(笑い声)。ニュアンス変わりましたよね。
Photo  
 海渡さん:僕の予想では、おそらく「因果関係はないんだ」という答弁書が4月27日の法廷に出されるんじゃないか。これに対して、こちらがどう立証していくかが、大問題。この辺は実は吉田さんに、全面的にご協力いただいて、低線量被ばくの危険性について、大議論しなきゃいけないと思うんですが、僕はまずもって重要と思うのは、どの程度の線量の被ばくをしたのか、実は正確には分からない。事故の後の混乱で、APD(警報付きポケット線量計)をチームの中で一人しか持っていなかったとか、ピーピー鳴るので止めていたとか、言っている。
 もう一つは、あの当時、地域全体が被ばく地域になっていて、しかし線量を測り始めるのは作業を始めるとき。日常的に、福島のあの地域で暮らしているだけで被ばくしていた部分は、被ばく量から落とされている。
 内部被ばくも落とされている。2mSv以下の被ばくは一切無視する仕組みになっている。2mSv以下はゼロという評価になってしまう。もしかすると、アルファ線やベータ線核種を吸い込んでも、測れない。測れない内部被ばくもかなりあったのではないか。
 あとは白血病の専門家の方に、ほかの要因が考えられない以上、相当な因果関係があるんだということを、きちんと医学的に論証してもらう。
 8頁にINWORKSのデータを書いておきました。かなり最近の、労働者の白血病の死亡リスクが、高線量の領域と同じような比率で、低線量でも増加していることを示すデータなんですが、こういうものもきちんと紹介しながら、争っていきたい。
 この訴訟の意義(8頁3項)。実際に原発事故の収束労働をやって、かなり高い線量の被ばくが起きていて、それが健康被害をもたらしているんだ。それ自身を政府も東電も否定し始めているわけですから、それをはっきりさせることが重要。こういうケースが報道されて救済されることになれば、類似事例の発掘にもなるのではないか。もう少し時間が経つと、白血病だけじゃなくて、肺がんとか胃がんもいっぱい出てくる可能性がある。そういうのは泣き寝入りになっていく可能性が非常に高い。そういう意味でも、この裁判をやっていく意味は非常に大きい。

下請け構造こそ、基本的な問題
 もう一つ、被ばく労働の実態で解明しなければいけないこと。5頁(3項 雇用の保障が必要)に書いておきましたが、被ばく労働で一定の線量になると自動的に首になってしまう。だからこそ被ばくを隠そうとする。ちゃんと被ばくを記録していって、一定の線量になれば被ばく労働から外れて、別の労働が提供されるということが必要。
 そうするためには、一番根本的に言うと、下請け構造をそのまま維持していくことに大きな問題点がある。これが3頁(第3)に書いたこと。2013年だったと思いますが、ウクライナに行って、原発労働者の話を聞いた。日本と顕著に違うと思ったのは、当時チェルノブイリで働いていた労働者はみんな国家公務員だった。社会の中のエリート。学歴も非常に高い。その人たちが命をかけて原発事故の収束に当たって、たくさんの人が死んだ。生き残った人たちは「仲間の死を無駄にするな」、自分たちの健康を守りたいと思って、必死になって労働運動をやるなかで、さまざまな健康補償、生活補償を勝ち取った。それがチェルノブイリ法なんです。もちろん住民も対象にしていますが、一番基本は、あの時期に原発労働を闘った人たちの、労働運動の成果なんです。労働者だけが補償されるのはおかしいってことで、住民にも補償を及ぼそうとして、あれができた。
 日本の場合、原発労働者が自ら権利を守るために闘って制度を勝ち取るという契機が非常に弱い。なすびさんが一生懸命やってくれているのはよく分かってるんですが、労働者そのものが主体たり得ていない。下請け構造によって温存されていて、それが結局変わらなかった。今も変わらないで、原発事故収束労働が下請け構造のなかで行われているということが、根本的な問題。
 夢物語と思われるかも知れないが、ソヴィエトでできたことがなぜ日本でできないのかと考えてみてほしい。原発事故収束作業は国家的プロジェクトなんだから、公務員がやるべき。公務員としての権利が保証されている人にちゃんとやってもらいましょう。東京電力による直接雇用でもいいが、そういう制度でやるべき。
 原発事故収束作業に働いた労働者の銅像みたいなものを福島県内にいっぱい建てた方がいい。チェルノブイリにはいっぱいある。自分たちの危機を救ってくれた人だと分かっているのでみな拝んでいる。そういう取扱いをする必要がある。「ウクライナの例で言えば、チェルノブイリ法における対象被災者は、合計213万人、そのうち、直接事故処理従事者は24万人」。日本で(福島原発事故後の)継続的な健康管理の対象にされたのは200人(167人)だよ。これ、おかしいでしょ! どこか、根本的に誤っている。
 こういうことを言ってるのは僕だけかというと、そうではない。レジメの4頁。白井聡さんが書いた「永続敗戦論」の中に「原発事故収束労働が多重下請の労務構造によって担われているのは、まさに<無責任の体系>だ」と書いている。原子力委員会も驚くべきことを言っている。「作業者の確保や技術レベルの維持が重要課題であることにかんがみ、(国及び東京電力(株)は、)上記のような取組を長く進めていくに当たって、今後とも、二次、三次の下請けといった従来型の雇用形態で作業者を確保することが適切かどうかも含めて検討し、雇用形態の在り方に関して新しいビジョンを定め、その実現に向けて取り組んでいくべきである」(2012年11月27日『東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置に向けた中長期にわたる取組の推進について(見解)』)。

被ばく労働の管理責任は電力会社にある
 レジメ4頁2項。被ばく労働の管理責任は電力会社にある。東京電力は、何かあると「それは下請けの会社がやっていることです」と逃げる。責任体制を明確にし、雇用の保証をきちっとする。そうしないと被ばく隠しが横行したままになる。

 6頁4項の「危険手当直接支払い」。東京電力は「下請け会社がやっていることで、どうにもなりません」と言うが、環境省がやっている除染作業は、ちゃんと末端作業者に払われている。環境省がそういう風に支払えと指示しているから。作業を発注するときの仕様書に書いてある。東京電力だって国みたいなものだから、作業賃はほとんど国から出ているわけで、いくらでも方法はあるはずだと思う。元請けとの契約の段階で明確にすればいい。未だに危険手当がピンハネされたままというのは、誰かにとって都合が良いんです。そういうことによって潤う人がいる。
 こういう状態を何とか変えたいということで、2014年にいわき市で提訴した。第2次、第3次と追加提訴していて、けっこう大変な事件になっている。福島のいわき地裁で係争中。

 5項が「事故直後の混乱状態における記録再現を含む正確な被曝量の記録の徹底」。これが全然されてない。

 6項「被曝労働者の継続的な健康診断と前駆的な症状からのケアの保障」は、なすびさんが詳しく話してくださったが、どう考えても、白血病については5mSvで労災認定するとなっているのに、その人たちの健康診断が義務づけられていないのは異常です。がんの検診、100mSvですよ。事故前は基本的に年間被曝線量が5mSvを超えないようにやっていた。100mSvなんて、通常あり得ない。事故によって、被曝管理が無茶苦茶ずさんになったことがこのような健康管理の指針からはっきり示されている。

 それから7項、労災認定の基準を5mSvに統一することが非常に重要な課題です。事故が起こった直後から言ってたんだけど、残念ながら2012年に、胃がんなどの基準100mSvが出ちゃったんですが、撤回を求めていきたい。100mSvだったら、認定はむつかしい。100mSv超えている人なんてほとんどいないし、これまで白血病で労災認定されている人で100mSv超えている人は一人くらいしかいなくて、あとは数十mSv。そういう状況からしても、100mSvは暴挙だと思います。
 ご静聴、どうもありがとうございました。
文責:温品惇一
その3(吉田由布子さん、質疑)へ(準備中)

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