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2017年5月 4日 (木)

20mSv法制化に向けた放射線審議会の権限強化法、実質審議なしに成立!

 放射線審議会の権限を強化し、ICRP2007年勧告を日本の法律に取り込もうとする法案4月14日に成立しましたが、衆参両院とも、実質的な審議は一切ありませんでした。

 国会に上程されたのは「原子力利用における安全対策強化のため」、原子力関係の3法律(原子炉等規制法、放射性同位元素規制法、技術的基準法)を一括して改正する法案でした。放射線審議会の権限強化は「技術的基準法」改正案に含まれます。

 改正法案前提については、FoE Japan主催の勉強会規制庁交渉、まさのあつこさんの記事(週刊「SPA!」2017年4月25日号 入手困難な方はanti-hibaku@ab.auone-net.jp までご連絡ください)を参照してください。
 
衆議院では、アイソトープ協会理事が歓迎
 衆議院に上程されたのが2月7日。

 3月14日の環境委員会では、片山 啓・規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官が、ICRP2007年勧告と目の水晶体の線量限度引き下げを取り入れるため、放射線審議会の機能強化が必要と説明、質問した福田 昭議員(民進党)は「もっともな理由だ」と応じました。
 討議は改正案のうち、原発の検査制度などを変更する「原子炉等規制法」改正関係に集中し、3月17日に参考人を呼んで審議することとなりました。

 3月17日は、関村直人・東大教授、二ッ川章二・アイソトープ協会理事、伴 英之・原子力資料情報室共同代表、元原発技術者の小倉志郎氏がそれぞれ意見陳述し、質問に答えました。
Photo_3 二ッ川氏はアイソトープの取扱いや廃棄物処分の規制が緩められることを期待して、放射線審議会の権限強化に賛成意見を述べています。
 衆議院環境委員会の審議は3月17日だけで、午後には起立多数で可決、23日に衆議院本会議で可決され、参議院に送られました。

参議院では、田中規制委員長が国際基準を強調
 参議院環境委員会では3月30日に趣旨説明、4月6日に審議されました。
 公明党の若松謙維議員が「福島の風評被害」を嘆いたのに対し田中俊一・原子力規制委員長は
Photo 「ベースにあるのは、放射線とか放射能に対する恐れですね。・・・きちっと正しい知識を持って理解していただくこと、・・・規制基準というのをきちっと国際的なスタンダードにするということかと思います。
 残念ながら、我が国は各省庁いろんな立場で規制が行われていまして、それの間に整合性がないというようなところがありますので、そういったことを含めてきちっと納得できるようなものをつくり上げていくと。その中で、やはり風評被害というのは、 これはなかなか一言ではいかなくて時間の掛かることですけれども、 きちっとやはり国民全体の世論として、 気持ちとして取り組んでいただくことも大事かというふうに思っております」
と答弁。「風評被害」防止のために放射能基準をゆるめようとしているように聞こえます。

 参議院環境委員会は午後半日の審議で可決、翌7日の参議院本会議で賛成212票、反対22票で可決・成立しました。反対したのは、日本共産党、希望の会(自由・社民)、沖縄の風でした
 改正法は4月14日に公布され、放射線審議会の権限強化は即日施行されました。

2007年勧告の取り入れは?
 ICRP2007年勧告取り入れの見通り氏について、ご質問をいただきました

 お答えするのは困難ですが、1990年勧告を国内法制に取り入れるときは、1991年2月に放射線審議会の検討が開始され、7年後にようやく改正に向けた諮問がまとめられました。実際に法改正されたのは2001年のようです。

 2007年勧告については、2008年1月に放射線審議会の検討が開始され、2010年に中間報告、2011年1月に第2次中間報告が出されていますが、20mSv導入については、まったく検討されていませんでした。日本で過酷事故が起こることは、想定外だったのでしょう。2011年3月の福島原発事故により、2007年勧告導入の検討はストップしていました。

Photo_2  現在の放射線審議会は神谷研二会長ら8人の委員が任命されていますが、2007年勧告取り入れに積極的には見えません。次回の放射線審議会までに、積極的な委員を任命し、検討が開始されるものと思われます。
 その行方がどうなるのかは、私たち次第ではないでしょうか。
文責:温品惇一

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コメント

温品惇一様

世間はGWのさなか、丁寧な内容の記事を更新頂きましたこと、厚く御礼申し上げます。
(私の無理を押し通したようで、恐縮しております)

>参議院環境委員会は午後半日の審議で可決、翌7日の参議院本会議で賛成212票、反対22票で可>決・成立しました。 反対したのは、日本共産党、希望の会(自由・社民)、沖縄の風でした。 改正法>は4月14日に公布され、放射線審議会の権限強化は即日施行されました。

TVでは何の報道もされず、正直反対野党の方がいらっしゃることに驚きました。
「豊洲か築地か」ではなく、「20ミリシーベルト賛成か否か」を、夏の都議会戦の焦点にしていただきたいのですが・・・。
東京の方は、まだそこまで自身や家族の被ばく問題に関心がないようなのです。
(東北の被ばく者の方の救済活動には、皆さんご熱心なのですが)

>現在の放射線審議会は神谷研二会長ら8人の委員が任命されていますが、2007年勧告取り入れに>積極的には見えません。次回の放射線審議会までに、積極的な委員を任命し、検討が開始される>ものと思われます。 その行方がどうなるのかは、私たち次第ではないでしょうか。

現在南相馬市の方々が、『20ミリ基準撤回訴訟』の公判真っ最中なのですが、もし『勝訴』を得たとしても、この「2007勧告」が法制化された場合、裁判の結果自体どのようになってしまうのか・・・。
またこの裁判の結果が『勝訴』であれば、「2007年勧告」取入れの、『壁』となるような前例になるのか。
分からないことばかりですが、一番の問題は、特に関東の方たちに『20ミリシーベルトとは何か』、を知って頂かないと、話題にもならずに『法律だけ成立』しそうで怖いです。

被ばく問題に言及されている幾人かのブロガー様に、前回の記事の訂正も含めて、再度拡散を依頼いたします。
どうも有り難うございました。 風香。

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