« 水素ガスによるプルトニウム内部被ばく事故;特別報告(山内知也・神戸大教授) | トップページ | 7.23第38回学習会『「土の除染」より「心の除染」?』 »

2017年6月25日 (日)

「廃止措置三兄弟」(春橋哲史さん):6.18第37回被ばく学習会報告その2

 2017年6月18日の第37回被ばく学習会は46名の参加で盛況でした。ありがとうございます。

 「6.5 福島県民健康調査検討委員会報告」(温品惇一)、特別報告「プルトニウム被ばく事故」(山内知也・神戸大教授)に続き、春橋哲史さん(規制委員会ウォッチャー)に「核との泥沼の戦い・撤退も放棄もできない『廃止措置三兄弟』 ~福島第一・もんじゅ・東海再処理施設~」についてお話しいただきました。
 
お話しする前に
 動画はこちら
 資料はこちら

資料から:「『カルチャー・ショック』⇒2012年前半に国会事故調を傍聴し、
『直接知る』ことの大切さを実感」
 フクイチを本格的に追いかけるようになったのは、国会事故調(東京電力福島原子力発電所事故調査委員会)の委員会を傍聴してからです。経産事務次官・松永和夫や、官房長官・枝野幸男、東電社長・清水正孝(肩書は事故当時・敬称略)を生で見ました。「意思決定を下した当事者」を直に見るのは初めてでした。国会事故調は記者会見もノーカットでユーチューブに載せていました。会議や会見をノーカットで傍聴・視聴したのは初めてで、「報道を通じて間接的に知る」のが当たり前だった私にとって「直接知る」のは、一種のカルチャーショックでした。「直接知る」事の大切さを実感しました。

 これからの責任:放射性物質を環境中に放出し続けたり、放出させる可能性が高止まりしている原子力施設は放置できない。3.11時点で生まれていなかった世代や、有権者として意思表示できなかった世代に、責任を押し付けてはいけない。
 自分が生きる為にも、核施設のリスクに無関心でいる事は有り得ない。

福島第一原発・概要(資料1)

 動画はこちら
 資料はこちら

 37
  • フクイチは東京ディズニーランド6.9個分の敷地に余裕がない。
  • 福島第一原発は、法的には「特定原子力施設」
  • 廃炉・汚染水対策に関する組織図。関係機関の名称と役割分担。
  • 廃炉・汚染水対策「大きな三つの課題」の達成目標年度と現状の進捗。  
  •   デブリ(溶融燃料)取り出し
  •   SFP(使用済み核燃料プール)からの燃料棒取り出し
  •   建屋のドライアップ(滞留水のくみ上げと止水)
  • 個別対策や、その他のリスク対策は資料2,3へ
廃棄物対策(液体・固体)(資料2)
 動画はこちら
 資料はこちら

 この資料での説明内容の概要の概要
▶汚染水対策は、建屋のドライアップを含めた多くの課題を解決する為に実施。
▶三つの基本方針→ 「(汚染源を)取り除く」「(汚染源に)近づけない」「(汚染水を)洩らさない」
▶汚染水対策の具体的な目標
 ―建屋のドライアップに向けた「地下水流入量の抑制」「建屋滞留水の汲み上げ」
 ―リスクを下げた状態で水を安定的に貯留する為に「水の浄化処理」「溶接タンクの増設」
 ―放射性物質の環境中への放出を減らす為に「海洋への流出の抑制」「海洋排水前の浄化処理」
▶増加ペースは鈍っているが、タンク内貯留水は増加し続けている。タンク増設は止められない。
▶固体廃棄物保管量は増加し続けている→ 貯蔵庫等の整備が遅れており、屋外保管せざるを得ない。
Photo

潜在的ハイリスク(一例)(資料3)、人員(資料4)
 動画はこちら
 資料はこちら

この資料での説明内容の概要の概要
▶様々なリスク要因の中から特に5つを紹介(春橋の独断で抽出)。
 -1・2号機排気筒(解体困難)
 -メガフロート(解体困難)
 -AREVA(アレバ)スラッジ(抜出し困難)
 -HIC(ヒック)内のスラリー(抜出し困難)
 -津波対策(一部のみ実施)
▶全ての対策・作業は、被曝労働が前提。
 -入域作業人数・被曝線量・労働環境等の概要
 -敷地内の装備と線量
▶労働安全
  -発災以来の死亡・負傷人数一覧(東電が公表・認めているだけで16人が死亡)
  -労働局の指導件数は参考として添付。

福島第一原発・まとめに代えて
 動画はこちら
 資料はこちら
 2_edited1

参考資料:放射性セシウムの放出量・降下量
 説明は省略
 資料はこちら
 学習会後、春橋さんから降下物測定に関する資料をお知らせいただきました。
関連箇所を図示します。
Photo
(筆者注) 「月間降下物」は降下したチリや雨水に含まれる放射性物質を測定するので、雨が多い時期は降下物も多くなります。降下物量の変化は、福島第一原発からの放出量の変化を意味するとは限りません。

日本原研(JAEA)の概要(資料5)、東海再処理施設の概要とリスク(資料6)
 動画はこちら
 資料はこちら

 東海再処理施設は1,526億円の建設費を投じて、茨城県東海村に建設されました。現在は「核燃料サイクル工学研究所」と称しています。
 耐震性に疑問があり、2014年9月、JAEAは規制委員会に対し、廃止の意向を表明、2016年11月30日には70年間のロードマップを提出しています。廃止するのに70年かかるということです。
1_edited1
 現在は電力会社との再処理契約が終了し、2007年に使用済み燃料1,140トンの切断を終了しましたが、硝酸などに溶かした高放射性廃液約340トン(400京ベクレル)が残されています。その大部分は長寿命の核種と思われます。
 福島第一原発事故で放出されたセシウム137の総量は、当時の保安院推定で1.5京ベクレル。東海再処理施設には、その267倍もの放射能が液体で残されています。
 耐震性への不安から2007年12月以降、ガラス固化は停止していましたが、2013年12月、規制委員会は「施設のリスク低減のため、高放射性廃液のガラス固化作業を再開する」ことを了解しました。液体のままだと水の放射線分解で発生する水素を除くため、絶えず空気を送り込む必要があり、停電で水素爆発のおそれがあるからです。ガラス固化体にすれば、自然通風で冷却可能となります。
 ところがその後、ガラス固化作業は何回もストップ。今年1月30日に固化作業を再開したものの、2月15日にはクレーン停止で作業ストップ。再開すると今度は6月上旬に溶融炉を停止。再開は早くても2019年、ガラス固化完了は2028年度の見込みです。
 また、使用済み燃料棒を切断、細かくした際の金属の破片などの高放射性固体廃棄物、200ドラム缶換算で約6,700本が残されています。線量が高いので水中保管で放射線を遮蔽しています。
 大部分は取り出しが考慮されておらず、まずクレーン付き取り出し建屋を作らないと取り出せません。取り出すまでに水が抜けたら、高線量でヒトが近づくことはできなくなるでしょう。
 規制委員会は「東海再処理施設等安全監視チーム」を設置、JAEAは2017年6月を目途に、廃止措置計画を規制委員会に提出するとしています。
(この項 文責:温品惇一)

「もんじゅ」の概要とリスク(資料7)
 動画はこちら
 資料はこちら

 約1兆2,000億円を投じた『高速増殖炉・もんじゅ」は2016年12月、廃止措置移行が決定されました。
 JAEAは、燃料棒取り出しに5.5年、廃止措置完了には30年かかるとしていますが、その「計画」自体、あやふやなものです。
 燃料棒を取り出そうにも、「燃料棒交換機等は長期停止中で、健全性確認のための点検が必要(JAEA)」とされています。さらに以下のような課題を抱えています。
4_3

(この項 文責:温品惇一)

原研(JAEA)所管施設、全体のまとめに代えて
 動画はこちら
 資料はこちら

日本原研(JAEA)所管施設・まとめに代えて
Photo_2
全体のまとめに代えて
ー「監視不在の原子力の利活用」が招いた自業自得のリスク
Photo

« 水素ガスによるプルトニウム内部被ばく事故;特別報告(山内知也・神戸大教授) | トップページ | 7.23第38回学習会『「土の除染」より「心の除染」?』 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1976038/70957622

この記事へのトラックバック一覧です: 「廃止措置三兄弟」(春橋哲史さん):6.18第37回被ばく学習会報告その2:

« 水素ガスによるプルトニウム内部被ばく事故;特別報告(山内知也・神戸大教授) | トップページ | 7.23第38回学習会『「土の除染」より「心の除染」?』 »