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2017年6月20日 (火)

水素ガスによるプルトニウム内部被ばく事故;特別報告(山内知也・神戸大教授)

 6月18日の第37回被ばく学習会で、「プルトニウム被ばく事故」について、山内知也・神戸大教授に特別報告していただきました。

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Photo_2 山内知也・神戸大教授

Ecrr2010 山内さんは宇宙線の測定などをされている放射能の専門家で、2011年にECRR(ヨーロッパ放射線防護委員会)の2010年勧告を監訳、出版されています。
 2016年12月、第33回被ばく学習会でお話しいただいています。

 以下は、山内さんの特別報告を温品の責任においてまとめたものです。
「報告者」とは山内さんです。

 肺測定時に体表面に残ったプルトニウム239は、最大3,390Bq
 JAEA(日本原子力研究開発機構)大洗研究開発センター・燃料研究棟で6月6日に起こった事故の後、被ばくした人たちは除染され、肺モニタで測定の結果、事故6時間後の肺から22,000Bqのプルトニウム239が検出された、と発表されました。
 これはプルトニウム239を36万Bq吸入したと推定され、50年間の内部被ばく線量は12Svと計算されました。
 7日に放医研で再測定したところ、肺にはプルトニウム239が検出されず、体表面にプルトニウム239が検出されたことから、「12Sv被ばく」は否定されたかのように報道されています。
 では、22,000Bqは体表面にあったのでしょうか?
 
 上の表左端の「1」 は、貯蔵容器点検作業をした本人です。放医研で体表面を測定したところ、下あごが一番汚染されていて、140cpmだったということです。
 アルファ線は射程が短いので、肺にあるプルトニウム239から出るアルファ線は体表面には届きません。

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 体表面測定に使われたTCS-232Bの受感部面積と計数効率から計算すると、140cpmは、0.20Bq/cm2です。
 
 身長170cm、体重60kgの成人の体表面面積は1.695m2です。
 一番汚染密度の高い0.2Bq/cm2と仮定しても、体表面全体のプルトニウム239は3,390Bq。除染した後、体表面に22,000Bqも残っていたはずはないのです。
 22,000Bqが体表面にあったとすると、体表面の汚染は、1.3Bq/cm2。919cpm程度になったはず。上の表の下あごと右手では20倍も違うので、体表面の汚染の高い所では数千cpmとなり、けたたましく警報音が鳴り響き、絶対に気づきます。

●放医研肺モニタの検出限界は、1940年代より劣る?
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肺モニタ(放医研 2017.6.12発表資料より)
 放医研は肺モニタのプルトニウム239測定下限を5,000Bq~10,000Bqと発表しています(「肺モニタによる測定状況について」)。
 
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 1945年頃の測定値や1980年代までの中国でも数百Bqレベルで測定されているのに、現代の測定下限が5,000~10,000Bqとは、信じられません。
 事故6時間後に肺に22,000Bqで12Svですから、測定下限の5000Bqあっても分からないとすると、2.7Svの内部被ばくがあるかも知れない、ということになります。
 ちなみに、6月13日、被ばくした5人全員が退院しましたが、6月19日、全員の尿からプルトニウムが検出され(検出量は未発表)、再入院しています。

アメリシウム241の量からプルトニウム239の量が分かる
 肺モニタで22,000Bqが検出された人から、アメリシウム241が220Bq検出されています。
 アメリシウム241はプルトニウム241のベータ壊変によって生じます。アルファ壊変してネプツニウム237になりますが、その半減期は432.2年なので、プルトニウム239とアメリシウム241の比は当分変わりません。
 放医研での測定では肺からプルトニウム239は検出されなかったと発表されていますが、アメリシウム241は検出されています。その量は未発表ですが、当然発表すべきです。アメリシウム241の100倍のプルトニウム239が肺内にあったのです。

ポリエチレンにアルファ線が当たって水素ガスが発生!
 プルトニウム239は崩壊するとアルファ線(ヘリウムの原子核)を出すので、ヘリウムガスが発生します。
Photo ポリエチレン容器
 プルトニウムは上の写真のようなポリエチレン容器に入れられ、その外側に二重のビニール袋、一番外側が黄色の金属容器でした。
 ポリエチレン容器の中身がすべて酸化プルトニウムとすると、26年間に発生するヘリウムガスは100cm3。
 
 他方、ポリエチレンなど高分子にアルファ線が当たると水素ガスが発生します。その量は3,900cm3と計算されます。
(注)6月15日、JAEA発表によると、ポリエチレン容器の中身は金属換算でプルトニウム26.9%、ウラン73.1%です。放射能強度は上の計算の約0.3倍になるので、ヘリウムガス 30cm3、水素ガス 1,170cm3となります。
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文責:温品惇一

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