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2018年2月26日 (月)

なぜ放射線の影響には、それ以下なら 安全な「しきい値」がないのか?

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放射線の正体はツブツブです

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 福島原発事故後に急きょ発行された、文科省の「放射線副読本」の記載は象徴的です。アルファ線、ベータ線は「小さな粒子が高速で飛ぶ放射線」で、ガンマ線は「波のように伝わる放射線」と書かれています。私たちが毎日外部被ばくしているのは、放射性セシウムが発するガンマ線です。

確かに、ガンマ線は「電磁」と呼ばれるので、波が弱くなると、物に当たっても、あまり影響がなさそうな印象をうけます。しかし、原子のようなミクロの世界では、目に見えるマクロの世界の常識は通用しません。電磁波は同時に光子という粒子の集合でもあります。可視光線から紫外線、ガンマ線と、波長が短くなる(振動数が大きくなる)につれてエネルギーが大きくなりますが、どれも光子であることに変わりはありません。

1個のツブツブも、すごいエネルギーを持っています

原子のようなミクロの世界では、エネルギーはeV(エレクトロンボルト=電子ボルト)という単位で表されます。分子に数eVのエネルギーが与えられると電子がはじき飛ばされ(電離)、分子が壊されます。

他方、セシウム137が発するガンマ線のエネルギーは66.2eVです。1本のガンマ線=1個の光子が人体に当たるだけで、20万もの電離を起こさせることができます。

放射線量が低いのは、ツブツブが少ないだけです

ガンマ線を「波のように伝わる放射線」ととらえると、ガンマ線の線量が低い時はガンマ線が弱いので、小さな波が来ても影響がないように思いがちです。しかしガンマ線は波であり同時に「光子」(粒子)です。ガンマ線線量が低いということは、光子の数が少ないということです。セシウム137の1個の光子が当たるだけで約20万もの電離を生じさせ分子を壊すのですから、どんなに放射線量が少なくても、「安全」ではないのです。

なお、しきい値の有無には、放射線による遺伝子の損傷を修復する体の働きについても考える必要がありますが、またの機会に譲ります。

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