« パンフレット「受けて安心 甲状腺検査」を作成しました! | トップページ | 高野 徹・「県民健康調査」検討委員への公開質問状に賛同を! »

2018年3月20日 (火)

放射能汚染物リサイクル計画の全体像が見えた!~3.18被ばく学習会報告

 3月18日(日)、文京区アカデミー茗台・学習室Aで第43回被ばく学習会「ごみ処理で放射能が飛んでくる?」を開催、参加者は31名でした。

 演者3人のプロフィールはこちら

 3人の報告と質疑応答を通じて、現在進められている「放射能汚染物リサイクル計画」の問題点が浮かび上がってきました。
 東電福島原発事故で飛散・沈着した放射能の一部を「除染土」として回収、汚染度の「低い」除染土はそのまま路盤材などに使おうとしています。他方、燃えるものはなんでも燃やし、汚染度の高い除染土は高熱処理でセシウムを気体にして除き、セメントなどに利用、気体になったセシウムはバグフィルターで回収するという計画です。
 道路などの下に除染土が埋められ、放射能が拡散される一方、バグフィルターで回収できないセシウムが飛散します。「除染」した所を、再汚染させることになります。
Photo  最初の演者・青木一政さん(ちくりん舎)が、「バグフィルターで放射能飛散は防げない」ことを明らかにされました。
16
 バグフィルターは英語ではbagfilter。いわば袋フィルターです。上の図の右側、バグフィルターと題された絵でいうと、下から来るガスがバグフィルターの外側から内側へ抜ける時、バグフィルターの外側に粉じん等が吸着します。バグフィルターがつぶれないよう、中に金属製の枠が入っています。
 使っているうちにバグフィルター表面に粉じんがたまり、目詰まりすると、バグフィルターの内側に空気を噴射したりして、粉じんを払い落とします。
Photo_5
 集じん率は粉じんの大きさによって違います。

19__4

 上の図のように、使い始めのバグフィルター(「未使用」)では、大きな粒子は集じん率が高いのに対し、小さな粒子の集じん率は20%程度です。使っていると(「払い落とし直前」)、小さな粒子も100%集じんされるようになり、払い落とすと(「5回払い落とし直後」)小さな粒子の集じん率は60%程度に低下します。

 集じん装置の性能は、粉じん重量の何%を取り除けるか、で測定されます。粒子の直径が10倍違うと、重量は1000倍違います。大きい粒子が999個、1/10の大きさの粒子が1000個あると粒子全部の重量は大きい粒子1000個分です。
 この仮想粉じんを集じん装置におけて、大きい粒子は全部除去され、小さい粒子は全部通過したとすると、粉じんの数で集じん率を計算すると999/(999+1000)=50%ですが、重量で計算すると999/1000=99.9%となります。
 バグフィルターで99.9%捕集できるというのはあてになりません。小さな粒子に吸着したセシウムはバグフィルターを通り抜け、飛散していきます。
 動画はこちら
 資料はこちら

Photo_2  続いて、たまあじさいの会の中西四七生(しなお)さんに、東京都日の出町にあるエコセメント製造工場による環境汚染と健康被害についてお話しいただきました。
Photo_3
 エコセメントというのは「ごみを燃やしたあとに残る焼却灰を原料とする新しいセメント」で、日本工業規格(JIS)に定められた建設資材です。焼却灰に石灰石や鉄原料を加え、1350℃に熱し、石こうなどを加えて粉砕したものです。
 エコセメント製造工場からさまざまな有害物質が飛散し、山地特有の谷風・山風などに乗って移動します。
 東電福島原発事故後、エコセメント製造工場付近では土壌の放射性セシウム濃度が非常に高くなりました。排水を通じて放射性セシウムが玉川に大量に流されていました。
 多摩川の放射性セシウム汚染をリネンへの吸着で調べると、年々、汚染が下流に移動しています。原子力規制庁の発表によると、2017年6月の東京の水道水(蛇口水)は福島市より汚染されていました。
 エコセメント製造工場やごみ処分場の周囲では、アレルギー疾患、脳血管疾患死亡率などが増えており、その原因として活性酸素、フリーラジカルが考えられるそうです。
 中西さんの動画はこちら
 中西さんの資料はこちら

Photo_4  休憩を挟んで、放射能ごみ焼却を考えるふくしま連絡会の和田央子(なかこ)さんから、福島での放射能汚染物処理の実態が生々しく報告されました。
 19市町村に推定24基の仮設焼却炉が建設され、稼働日数わずか2ヵ月から4年で解体されます。7,300億円を超える予算がつぎ込まれています。
 <最終処分場、「中間貯蔵施設」>
 8,000~10万㏃/kgまでの放射能汚染ごみは富岡町のフクシマエコテックという管理型処分場に埋められます。管理型処分場はごみの下にゴムシートが敷いてありますが、ゴムシートは土中のゴム分解菌に分解されてしまいます(中西さん動画)。
 10万Bq/kgを超える焼却灰と、除染土は全て、福島第一原発の周囲に建設中の「中間貯蔵施設」に運び込まれます。
2018031834
 中央上側の白い部分が東電福島第一原発の敷地。その外側をグルッと囲んでいるカラー地帯が「中間貯蔵施設」。ここに東京ドーム18個分、2,200万m3の除染土、除染廃棄物などが運び込まれることになっていますが、ただ「貯蔵」しておく訳ではありません。
 三春町の環境創造センターと福島県飯舘村蕨平で、10万Bq/kgを超える焼却灰や除染土壌をリサイクルする実証試験が行われています。
2018031846
<恐るべき再汚染計画>
 上の図は三春町に作られた環境創造センター研究棟にあるセメントキルン実証実験炉の隣に置かれていた「中間貯蔵技術等の確立」に関する説明パネルです。除染土や10万Bq/kgを超える焼却灰を炉に入れて加熱し、セシウムを気体にして除き、セメント化する。セシウムはバグフィルターで集め、ゼオライトなどに吸着させて濃縮、1GBq/kg=10億Bq/kgの超濃縮物にしようという計画。
 これが、東電福島第一原発外側の「中間貯蔵施設」で行われようとしていることです。最初に青木さんが明らかにされたように、バグフィルターでセシウム飛散を防ぐことは出来ず、「中間貯蔵施設」から飛散する放射能で周囲が再汚染されることが危惧されます。

 和田さんの動画はこちら
 和田さんの資料はこちら
 質疑応答の動画はこちら
<3.16福島原発被害東京訴訟判決>
 続いて3月16日の東京訴訟地裁判決について、田島直樹さんの説明と鴨下・原告団長の挨拶がありました。
 動画はこちら
 判決資料はこちら
文責:温品惇一

« パンフレット「受けて安心 甲状腺検査」を作成しました! | トップページ | 高野 徹・「県民健康調査」検討委員への公開質問状に賛同を! »

コメント

奈良県の東部の山村に住んでいます。630-2202 奈良県山辺郡山添村的野846です。2011年7月に教育ボランティアで福島市郊外の吾妻総合運動公園内にある避難所となっていた総合体育館を訪れてから、様々な方とつながりができ、今年も会津坂下町、白河市、いわき市、福島市、女川町などを訪れる計画をしています。以前富岡町や南相馬市などを訪れたとき、あれが減容化施設だと説明を受けましたが、実際どのようなものか、バグフィルターでセシウムがどれくらい除去できるものかなどはよくわかりませんでした。また中間処理施設が実は巨大な汚染物質を全国にばらまくためのリサイクル施設の狙いがあることもわかっていませんでした。それでお願いですが、和田央子さんと連絡が取れ、お会いできることができたらありがたいです。和田さんのことは実は全く知らなかったのですが、雑誌『世界』4月号で古川さんの「復興予算26兆円の行方」を読んで知りました。毎年、若者も一緒に現地の人たちと交流してもらいたいという意味で参加してもらっています。よろしければ連絡していただきたいです。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« パンフレット「受けて安心 甲状腺検査」を作成しました! | トップページ | 高野 徹・「県民健康調査」検討委員への公開質問状に賛同を! »