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2018年3月12日 (月)

パンフレット「受けて安心 甲状腺検査」を作成しました!

「受けて安心 甲状腺検査」PDFをダウンロード

 昨年、福島県「県民健康調査」検討委員および「甲状腺検査評価部会」員が改選されました。それ以来、「過剰診断」論を前提に「甲状腺検査無用」論が叫ばれています。

 私たちは健康を守ることに逆行するこうした状況を心配し、甲状腺検査がなぜ必要なのかをお知らせするパンフレット「受けて安心 甲状腺検査」1万部を作成しました。
 また、「甲状腺検査無用・過剰診断」論を声高に叫ぶ高野 徹・「県民健康調査」検討委員兼「甲状腺検査評価部会」員に対し、その誤りを指摘し説明を求める公開質問状を作成し、賛同を募ったところ、4月1日現在、63団体・242人のご賛同をいただきました。4月2日、高野氏にお送りしましたが、回答がありません。
 
Web1

Web2_

A  原発事故で放射性物質が放出されたからです
 東電福島原発事故でさまざまな放射性物質が大量に放出されました。半減期の短い放射性ヨウ素は今ではなくなりましたが、事故当時、東日本にいた人々は多かれ少なかれ放射性ヨウ素が混じった空気を呼吸していました。食べ物にも含まれていました。
 ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料なので甲状腺に集められます。放射性ヨウ素も甲状腺に集められ、甲状腺の細胞が被ばくし、のちに甲状腺がんができる可能性があります。

A 甲状腺は全身の活動を活発にしています

 Web2__edited1 甲状腺は「のどぼとけ」のすぐ下にあります。蝶が羽根を広げたように、右側と左側が狭い中央部でつながっています。甲状腺は全身の新陳代謝を活発にし成長を促進する甲状腺ホルモンを作っている大事な器官です。ヨウ素は甲状腺ホルモンの原料です。

A 197人に甲状腺がんが見つかっています
Web3_  甲状腺がんは未成年では100万人に1人と言われるほど珍しいがんです。1986年に起きたソ連のチェルノブイリ原発事故後、未成年の甲状腺がんが多発して大問題になりました。
 東電福島原発事故後、甲状腺検査を求める声が強まり、福島県は「子どもたちの健康を長期に見守るため」、甲状腺検査を始めました。事故の時18歳以下だった約38万人のうち、これまで197人に甲状腺がんが見つかっています。福島県県民健康調査検討委員会も、甲状腺がんが多発していると認めています1

A 19歳以上は甲状腺がんが多いのに検査を受ける人が少ないので、心配です
 197人のうち、甲状腺がんが見つかった時に高校生だった人が65人(33%)、19歳以上の人が76人(39%)。実に4分の3近くが高校生以上の年代です。
 ところが、中学生・高校生までは約87%が検査を受けているのに対し、19歳以上では26%程度しか検査を受けていないのです。
 高校を卒業して福島県外に進学・就職すると、甲状腺検査を受けにくいと思いますが、自分の身は自分で守る年齢といえます。県外でも無料で甲状腺検査を受けられます。ぜひ検査を受けてください。

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A 甲状腺がんは転移したり、広がったりします 
Web4__2
 甲状腺がんは自覚症状がほとんどないので、検査を受けずにいると、リンパ節に転移したり、声帯につながる反回(はんかい)神経や気管に広がって、声がかすれたり出なくなったり、気管に穴が開く可能性もあります。肺などに転移したまま治療しないと、いのちに関わります。
 
A 早期発見が大事です
 197人の甲状腺がんのほとんどは乳頭(にゅうとう)がんという種類です。未成年では進行が早く、検査で見つかって手術を受けるまでに、大きくなったり、甲状腺近くのリンパ節に転移(てんい)したり、甲状腺の外にまで広がったり(浸潤)しています2

A 早期発見すると肺への転移が少ない
 チェルノブイリ原発事故で甲状腺がんになったベラルーシの未成年を調べた研究によると、肺に転移する割合は症状がある人の方が有意に高く、症状がない人の2.6倍でした3
 甲状腺検査を受けずに、症状が出てから病院に行ったのでは、治療がやっかいになります。

A 早期治療で安心を
  福島県の検査で見つかった甲状腺がんの平均は約12.8ミリ4、大部分は首の腫れなどで分かる前に検査で見つかり、治療を受けています。肺など甲状腺から離れた場所に転移していた人は2%だけでした5
早期治療では、左右両方でなく片方の甲状腺切除で済むことが多く、甲状腺ホルモンを作り続けることができます。手術範囲が狭くて済み、生活の支障も少なくなります。
 甲状腺乳頭がんは、検査で早期発見すれば治しやすいのです。「受けて安心 甲状腺検査」です。

甲状腺医療費を支援する福島県の事業
 福島県の甲状腺検査は無料ですが、その後の手術や経過観察は診療となり、医療保険の対象です。その時の医療費の自己負担分を県が支援してくれる「甲状腺検査サポート事業」があります。
 19歳以上の医療費には自己負担が生じますが、甲状腺がんの手術や経過観察は無料となります。
ただし、
(1)  甲状腺がんの手術や経過観察の自己負担分は、一旦窓口で支払った後、「甲状腺検査サポート事業」の申請をすると、県から払い戻されます。
(2)  県の甲状腺検査を受けていないと、サポート事業による支援金を受け取れません。
(3)  県外にお住まいでも、県の甲状腺検査を受けていれば、申請が可能です。
支援金申請の仕方は福島県ウェブサイトをご覧ください6

[本文注]

1 「県民健康調査における中間取りまとめ」2016.3 https://goo.gl/u2foSD 

2 https://goo.gl/RD1iZV

3 Demidchikhttps://goo.gl/JGDcuW

429回福島県県民健康調査検討委員会 参考資料3 https://goo.gl/AaaADv

 30回 同検討委員会 資料3-1 https://goo.gl/rEQ8uv より算出

5 8回甲状腺検査評価部会 資料3 https://goo.gl/aoLb9V   

6 https://goo.gl/8s4YhD

甲状腺検査についての問い合わせ先

福島県 県民健康調査課 024-521-8219

福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター

024-549-5130  


福島県外での甲状腺検査実施機関一覧(県指定)

福島県以外で、住民登録者の甲状腺検査を実施している市町村

宮城県丸森町 0224-72-3019 

栃木県那須町 0287-72-5858 

栃木県日光市 0288-21-2756  

千葉県柏市 047-167-1255 

千葉県松戸市 047-366-7485 

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