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2018年11月 1日 (木)

高野 徹 氏の「過剰診断」論、甲状腺検査評価部会で論破さる!

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 10月29日、第11回「甲状腺検査評価部会」が開かれました。甲状腺がんの「過剰診断」論に基づき、「甲状腺検査には何のメリットもない」、「学校での甲状腺検査には倫理的問題がある」などと主張してきた高野 徹委員に対し、鈴木 元・座長や各委員から批判の声が集中、高野氏は完全に論破されました。

 放射線被ばくを学習する会は4月2日、高野 徹氏への公開質問状を提出しました。高野氏からは未だに回答はありませんが、29日、高野氏は座長・委員の指摘に反論できず、あまつさえ、故意かミスか分かりませんが、誤った論文紹介をしていたことまで座長に指摘されました。

 公開質問状の正しさが証明されたと言えるでしょう。

 私たちはまた8月25日、福島「県民健康調査」検討委員会、同「甲状腺検査評価部会」に対し、甲状腺がん多発の原因を究明するよう求める申入書を送りました。鈴木元・座長は29日、高野氏の過剰診断・検査有害論は退けましたが、多発の原因については不鮮明です。

 以下に10.29「甲状腺検査評価部会」での議論の一部を要約してご紹介します。

 第2の議題「甲状腺検査対象者への説明・同意」はそもそも高野氏が言い出した問題です。

 29日の審議では資料2 を巡って議論されました。

Photo 座長(鈴木 元) それでは議事の2、甲状腺検査対象者への説明・同意について。

高野委員、いかがでしょうか?

高野 超音波検査をした場合、しなかった場合で、それぞれ、これだけの対象者に利益があります、これだけの対象者にこれだけの不利益があります(というのを)数字で出して、それを比較検討することが重要な責務ではないか。

座長 資料2に、チェルノブイリの手術にくらべて福島の手術では副作用が少ないということが書いてある。

高野 早く見つけた方が予後がいいという数字じゃなくて、超音波検査のがん検診としての有効性の話になると思う。受けた場合、受けなかった場合の差がどうなるか。

Photo 吉田 甲状腺がんは非常に予後がいい。(検診による予後改善効果は)非常にわずかな差しか出てこないが、(甲状腺がんが)見つかった当人にとっては、非常に大きな意味を持っている。高野委員の言うようなやり方だと、何をやっているのか、良く分からないことになってしまうのではないか。

座長 高野先生と私自身、少し立場が違ってて、議論がかみあってない。

スクリーニングの有効性があるかどうかという議論でいうと、一般にはがん検診の有効性は死亡率をどのくらい下げられるかというようなところで議論していくわけですが、今、この甲状腺プログラム、死亡率を下げようという立場で始まったプログラムではない。

Photo_2 南谷 125例の手術中、4割くらいに甲状腺外浸潤がある。手術したものにメリットがない、というのはどうなのかなと感じます。

Photo_3 片野田 過剰診断の話が出たが、過剰診断の割合は実データとしては決して出せないので、欧米でもシミュレーションの結果として過剰診断の割合を出したりしている。

吉田 死亡率を利益の第一に考えておられると思うが、甲状腺ではQOLを上げることが大きい。40%に甲状腺外浸潤があるところを、早期に超音波で発見して治療にもっていくのは、非常に大きい。

Photo_4 祖父江 仮に放置されていたら、どのような結末になっていたのか?を想定して、どのようなメリットがあるかを記述することはできるかも知れない。

吉田 そのまま放置したら、第1に気管の出血が起こります。出血による窒息死が起こりますし、頚部大動脈・大静脈に浸潤して大出血を起こす。そういうのをわれわれは具体的に経験しています。それが何年先に起こるかというのは、腫瘍の浸潤の速度によって違ってくる。

1 高野 放射線の影響は少ないと県も言っているのに、甲状腺がんは多い。これをどう説明するのか。

座長 論点がちょっとずれてる(会場、大笑い)。小さいがんをたくさん見つけていることで説明はついている*。小さいがんを見つけることがメリットかデメリットか、(議論しているので)ちょっと論点がずれてくる。小さいがんのうちに見つけた方が手術侵襲は少ないし、QOLがいい。甲状腺ホルモンも飲まなくてすむ。そういうメリットがあることは書き込める。

*当日の志村氏の発言5ミリから10ミリ程度の小さい結節の発見率が、1巡目の先行検査では地域差があるのではないか。その先行検査の結果が本格検査(検査2回目)の発見率やB判定の方の先行B判定の率に影響しているという風に考えるべきではないかと考えられます」を指すのかも知れないが、意味不明です。

Photo_5 加藤(伊藤病院) 過剰診断がアメリカや韓国で問題になっているが、手術の仕方も日本とは大きく違うので、(過剰診断と言う言葉は)注意して使った方が良い。

過剰診断と言うと初めからもう、患者さんにとっては大問題なので、その言葉を使うことがよくない。

吉田 小さい甲状腺がんを手術した方がいいかどうか、私が医者になった40年くらい前から議論してきた。初めの20年間は、何だかんだ言っても「がん」なんだから、ということで手術してきた。ところが今から20年くらい前から、ポチポチと、手術をしないで様子を見よう、特に1センチ以下の微小がんをどう扱うか、隈(くま)病院と癌研で先行的に、3ミリ以上(大きく)なったら手術しましょうとか、細かいことを決めて、半年~1年に1回フォローアップする。積極的にフォローアップするのをアクティブ・サーベイランス(温品注:経過観察)と言って、いま微小がんの扱いについてそうやって見ていく施設が多くなっている。それを福島でも取り入れて、すぐに手術をする必要のないものは手術しない、アクティブ・サーベイランスのような格好で医大の方で見ているんだろうと、私は思っております。

高野 子どもの場合、がんと診断されることが大きなデメリットになる。

祖父江 提案なんですけど、文書の案を作った上で議論した方が良い。

<「学校検診」について>

資料3-1 なぜ学校で甲状腺検診するようになったのか

座長 合意の取れた人だけが(甲状腺検査を)受ける形になっているし、受診率が100%というわけではなく、受診しない人たちもいる。

高野・祖父江 資料3-2 問題点と改善案の説明  

Photo_10 高野 1 ①検査体制の問題点 強制性があってはいけないのが大原則。授業の合間に検査が実施されており、検査拒否の意思を示しにくいので強制性を持つ。検査を受けない子は教室でポツンと残っている。放課後あるいは休日に限定して検査するべき。

②学校で検査を実施していることで、対象者に健康改善を目的とした他の健康診断と同様な検査であると誤解される可能性がある。

2番目は検査方法の問題点。検査の対象者に対する有害性を低減するための検討をすべきである。別紙に参考文献。JAMA(米国医学会雑誌)のタスクフォースの論文では、利益不利益のバランスの上で超音波検査は問題だろう、と。がんの治療等に伴い頭頸部に大量に被ばくした症例のフォローに関する今出ているガイドラインでは、③の5、三つの団体のガイドラインがいずれも超音波ではなく触診を推奨している。アメリカ甲状腺学会のガイドラインでは、まず診察すべきで、異常があったら画像診断。このような国際的背景もあり、最初から超音波をするのではなくて、触診をした上で超音波検査の必要性を判断する。過剰診断を減らすためには超音波検査の回数を減らすしかないので、対象年齢の制限、実施頻度を下げることを提言。

Photo_11 座長 事前に意思表示してもらった上で検査しているので、強制性は高野先生の危惧しすぎと思っている。

②の検査方法の問題点の方は、高野先生、文献の読み方、少しバイアスがかかっている。非常に不安に思ってます(会場:笑)。まず子どもに関するガイドラインはJAMA(米国医学会雑誌)じゃなくてThyroid(米国甲状腺学会誌)の方。この勧告が書かれた段階(2015年)での文献調査では積極的支持も積極的反対もできないというのが、この勧告。実はこの後の勧告として、高野さん引用文献の3つ目、Cancer Treatment Reviews、クレメント論文の中では、超音波を使った場合の利益とリスクをしっかり説明して、本人と医者が話し合った上で、ちゃんと超音波を使いましょうというような勧告になっている。

(高野)先生があげた所は、まずこれまでどうだったかという、一番最初の文献リサーチしたところのもの。実際の勧告の内容はそういう(上述のような)内容。決して、国際学会が超音波じゃなくて触診でやろうと子どもに対して積極的に勧めているわけではない。特に、小さいがんで、手術しないでアクティブ・サーベイランスの対象でいいのかというのを判断するのは、触診ではできない。

Photo_12 南谷 私が住んでいる千葉県柏市はホットスポットがたくさんあり、医療団体が甲状腺検査とかしている。市町村がその検診費用を半分負担するとかしていて、大阪と千葉と、放射線に対する受け止めが違う。千葉県の人は福島県から離れているけど、気にしている人はかなり多い。最初の政府の発表をみんな信じなかった。隠蔽してるんじゃないかと、そういうことから始まっているから、想定外の甲状腺がんが見つかったということで検査体制を縮小すると、また何かいろいろ言われるような気がします。

祖父江 触診を選択肢として加えたらどうか

吉田 甲状腺の触診はほとんど分からないです

南谷 甲状腺専門でない医者が触って、甲状腺や結節が分かるとはとても思えない。超音波でないと客観性は保てない。

座長 5センチとか大きいのは、見つかれば一般的に両側の甲状腺摘出、広い(リンパ節)郭清。(欧米では)アイソトープ治療も。そういうものを前提にした触診法。日本では早期発見でなるべく手術野の少ない治療を選択しよう、なるべくQOLを残したものにしようとしており、触診法では無理。

高野 もしも超音波検査が有益なもので、無症状の若年者にあてていいものなら、もっと世界的に広まっているはずです。

吉田 超音波は日本で異常に早くから発達し、欧米は日本に引っ張られてやった。その影響がかなりあるだろう。超音波検査そのものが悪いのではなく、もし悪いとしたら、見つけたがんをどう取り扱うかという方法の部分で、みんな手術してしまう韓国のようなことが悪い。アクティブ・サーベイランスなどいろいろ解決案があるので、その精度を高めようという努力をする方が正しいのではないか。(高野氏、二、三度頷く)

Photo_6 加藤 高野委員や祖父江委員の意見は、一般的な甲状腺がんのスクリーニングと、福島の原発事故後の調査を一緒にして扱っているところが、どうかなと思う。子どもの甲状腺がんは特殊です。フォローアップとかそういうものは、非常に限られておりまして、JAMA(米国医学会雑誌)とかいろんなものは大人の甲状腺がんに対してのものなので、それと分けて考えていいんじゃないかと思います。

座長 小児甲状腺がんはステージが早いほど再発率が低いというようなデータが少し出てきたくらいで、非常に大規模な調査で早期診断がどの程度のメリットがあるのか、というのは、エビデンスの蓄積がまだ足りない。そのへんが超音波を使うことに対して積極的に反対もしないし、賛成もしないという中立的な推奨になってたというところだろうと思います。現実に今、福島では超音波を使った検診を続けて、いろんなエビデンスが集まってきている。

議論はなかなか収束しない。立場の違いは残るんだろうと思います。そういう意味ではインフォームドコンセント、同意書をとるときに、早期診断のメリット、デメリットと同じ話になるんだろうと思いますが、それをきっちり書き込んだ物を作る、というような形になるのかと思います。あくまで、それを受けるかどうか判断するのは親御さんと子どもさんが判断するので、それに対して十分説明を尽くすと。早期発見された場合の、アクティブ・サーベイランスという考えも出されましたが、いま、医者の側ではそういうようなことをスタンダードとして考えながら、皆さんをフォローしていきますというようなことを書き込むのかと思っています。その辺をこの次までに、文章にまとめて準備していきたいと思っています。そんなところでいかがでしょうか。

高野 この資料はわれわれ、もともと倫理問題として出している。特に学校検診に関しては福島県立医大の倫理委員会で検討していただく必要がある。

座長 今の研究計画書は倫理委員会にかかってて、その中に検診の体制も含まれているのではないかと思いますが?

安村 鈴木先生の仰られたとおりです。

高野 それは県が開始当初の検査ですか?

安村 そのとおりです。

高野 学校検診はその後で始まったのではないでしょうか?

安村 このやりかたで審査され、承認されています。

Photo_7 高野 了解しました。

祖父江 16歳以上の未成年の同意書の取り方に関しては、どうですか? 倫理審査でこのやり方で認められてるんですか?

志村 現在、二次検査に対しては16歳以上は本人の同意も得ていく方針。一次検査は20歳以上で本人の同意、20歳未満は保護者の同意という書式で承認はいただいています。指針も段々移り変わっておりますので、今回の議論を踏まえて、書式を見直したり、もう一回修正申請をすることになると思いますので、その時一緒に検討させていただきます。

高野 今思い出したが、??検査の実施に関する提案についての審査は行われているんでしょうか?

志村 同意書は移り変わりがありますので、その都度、修正申請をしています。

2 座長 高野委員、いま同意書の文面を変えて、その中に甲状腺検査のメリット、デメリットもきっちり書き込んだものが出てきて、それが再度倫理委員会にかかると私は理解しているので、高野先生の懸念はその段階で解消されるのではないかと思います。

座長 今日はかなり突っ込んだ議論がされました。必ずしもこの部会の中で、ハーモナイズされるというのは期待しておりません。いろんな意見があるというのを、県民の皆さんにも伝えた上で、検査を受けてもらう体制を作っていくことが大切だと思っておりますので、ぜひこの次までに具体的な文面として今の検査のメリット・デメリット、その辺を分かりやすく書いたもの、それで足りないのであれば付属のパンフレットも使う形で準備を進めていきたい。

これで終わりにしたいと思います。

以上、文責:温品惇一

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コメント

温品 様
文字起こしと動画のリンクありがとうございます。
とても助かります。
高野氏の過剰診断論について、本人は論破されたとは思っていないでしょう。
おそらく、他の部会員の理解が足らないとしか、考えていないでしょう。
他の過剰診断論者()の考えを聞いていますと、過剰診断の定義からすると成人の平時における検診に対しては決して間違っていなと考えます。http://natrom.hatenablog.com/entry/20181017/p1
しかし、加藤さんの発言の意味はとても大きいです。
逆説的に言うと「過剰診断の根拠」は、これまでの韓国の成人における知見のみであって、決してウクライナでの事例を出してこない事や、福島での症例をもっと詳細に検討しましょうという批判だとも言えます。
それでも強弁するのですから、そこには論理性など存在しないと考えます。
つまり、全く議論は成立しません。
なぜ、このような人を推薦するのかも疑問です。
少し気になるのは、鈴木元さんの姿勢です。
私の単なる心配事なのかもしれませんが、被曝線量の推定にこだわりすぎているように思えます。

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