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2019年1月 6日 (日)

12.15 ミニ学習会の報告です

 12月15日午後1時半から、文京区・男女平等センター・研修室Bでミニ学習会を開催しました。参加者は13人でしたが、充実した学習会でした。
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 最初のお話は「改正入管法と外国人による廃炉作業・除染等作業についての考察」(家森 健さん)
 
 スライド1枚目に「オムツを替えてくれる人がいない社会が直ぐそこ」と書かれているように、家森さんは超高齢化・人口減少社会の問題を背景に、今回の入管難民法改正の意味と、福島原発廃炉作業などに外国人労働者が従事することになる」という見通しを話されました。

 誤解を恐れず簡単にまとめれば、

1.安倍内閣が大急ぎで入管難民法改正を強行したのは、4月以降、滞在期限を迎える技能実習生が、制度上、帰国せざるを得ないが、帰国されると技能実習生が働いていた現場が困るから。

2.期限を迎えた技能実習生は、事実上、特定技能1あるいは2にそのまま移行し、帰国せずに働ける。

3.技能実習生は日本で技能を身につけて、母国でその技能を活かすという建前だった。従って母国にない廃炉作業や除染作業には従事できない建前だったが、特定技能は「技能実習」ではなく、「労働力」なので、母国にはない廃炉作業や除染作業にも従事できることになる。

 お話と質疑の動画はこちら

 スライド資料はこちら

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 2番手の栗原裕司さんの演題は「話したいこともろもろ」
 若い頃から「公害問題、環境問題に関心が強かった」と言われる栗原さんは、まず12月9日の「ふくしま大交流会フェスタ2018」の会場で出会った福島県職員や一般来場者との話を紹介しました。
 『放射線のホント』をはじめ、政府のリスコミと同じ事を話す人たちに驚いたそうです。

 残念ながら、栗原さんのお話と質疑の多くは動画が撮れていなかったので、こちらの資料を参照してください。
 動画はこちら

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 休憩の後、3番手は ひなん生活を守る会の鴨下祐也さんに「避難住宅問題について」お話いただきました。
 動画はこちら 

 資料はこちら
 災害救助法で提供されていた福島県内区域外の避難住宅が2017年3月末で打ち切られた。
 災害救助法が問題なのではない。原発事故も対象になっているし、7年目で打ち切るようにもなっていない。

 被災県(福島県)が要望して、受け入れ県が実施している。例えば東京都だと都知事が決めて、福島県が支払い、福島県は国からもらう。国が決めて、地方自治体が実施する「法定受託事務」。本来、東電が払うべきものと国も認め、区域内については東電に支払いを求めているが、区域外は「計算が終わっていない」として、東電に支払いを求めていない。

 打ち切りに当たって、国がほしかったのは退去届
 ひなん生活をまもる会では、経済的な余裕が無い方、「避難住宅からの退去」に同意したと見なされる退去届にサインできない方、家を汚染されたのに住宅が有償となることを受け入れられない方、に対して避難住宅に「退去届を出さず」そのまま無償で住む「残留」希望者を募った。東京都に使用許可(無償提供)申請を行い、残留し、現在に至る。
 残留している家庭のほとんどで子どもがいて、「退去=転居=転校」は受け入れられない。話し合いを求めているが、出てこない。
 ちょうど今日、「とっくに期限切れてますよ、早く返してください、返さないとお金請求しますよ」という通知が来ました。年に何回か来ます。
 今後の国(福島県)の方針は、
・2019年3月、福島県による支援施策、民間賃貸補助と公務員宿舎の転貸制度を打ち切り、避難指示解除地域の避難住宅も打ち切る

・2020年3月、帰還困難区域の避難住宅を打ち切る  

 すなわち、2020年3月までに、すべての避難住宅をなくす、そうすれば避難者もいなくなるという方針

 避難するとき、どの種の避難住宅に入るか、選べなかったが、住宅提供打ち切り後は、どの種の、どの地域の避難住宅に入居したかで、現在の対応が大幅に違っている。

 げんげんれん(原発被害者訴訟原告団)の要望事項としては、線引きをしないで、すべての避難者に避難住宅をあらためて提供すること、避難したい人には福島県内外とも避難させなさい、今からでも避難したい人が福島県内にも少なからずいるのは確かなので、その人たちに避難住宅を提供すること。

 それから、子ども被災者支援法を打ち切られると、都営・県営住宅に入る収入要件を半額認定できなくなり、公営住宅から追い出されるので、これはやめてほしい。

 福島県が新たな支援と言った民間賃貸補助やセーフティーネット入居、原発事故避難者受け入れ自治体による各種特例措置を来年度以降も維持すること、などです。

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 4番手に登場は田島直樹さん。「線量限度(空間線量と個人線量)」についてお話いただきました。

 動画はこちら

 スライド資料はこちら
 (以上、文責:温品惇一)

 以下は田島さんによる内容紹介です。

 避難地域解除の20mSvや公衆線量限度の1mSvは、これまで空間線量に基づいて考えられてきましたが、最近、放射線審議会や原子力規制委員会は、早野龍五東大名誉教授らの主張にもとづいて、個人線量計で測る個人線量で管理しようとしています。これは大問題です。

 宮崎・早野論文については、高エネルギー加速器研究機構名誉教授の黒川眞一さんが、研究者の立場から批判しています。 

【宮崎・早野 第1論文】黒川眞一さんによる日本語訳

【宮崎・早野 第2論文】黒川眞一による日本語訳

黒川眞一さんによる第1論文の解説

黒川眞一さんによる第2論文批判

 物理学の専門家が早野批判に立ち上がったことは大変喜ばしいことです。しかし、こうした物理学的あるいは測定工学的批判だけでは、「大事な別のことの無視」です。もっと大事なことがあります。

ICRPが放射線防御のセーフティーネットとして定めた「線量限度」。その言葉の定義から考えて見ましょう。

線量限度[Dose limit]

計画被ばく状況から個人が受ける, 超えてはならない実効線量又は等価線量の

 線量限度は「超えてはならない」線量ですから、住民の線量限度・年1mSvを例に取れば、下図のようになります。

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 線量限度1mSvや復旧時居住可能限度20mSvを、空間線量で規定すれば、すべての人をそれ以下の被ばく線量で守ることができます。そのとき個人線量は、正しく測ったとしても中央値や平均値は半分以下、1/3~1/7になるでしょう。大多数が1mSv などの1/31/7になるということです。しかし、その乖離があることによって、全ての人の個人線量が、線量限度以下で護られます。線量限度は空間線量で管理することによって、セーフティーネットとなることができるのです。

早野氏らは、線量限度を平均値や中央値で語っていますから言語道断です。グラフの右側に分布している、平均値を超える少数者を「外れ値」と称して無視しているのは、科学の問題ではなく、人権問題です。

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そして、「線量限度」を個人線量で管理すると、下図のように個人の線量分布は大きく右側に移動し、集団の線量は数倍になってしまいます。

T2

ここのところが、物理学や測定工学にこだわって早野批判している人に分かってもらいにくく、困っています。

個人の線量について考えるときには、「全ての人を護る」という線量限度の意味を、市民の立場からは強調してもらいたいと思います。これは、物理学者の立場では言いにくいことですから、市民が言わねばなりません。

線量制限を、個人線量の平均値や中央値で語ると、たったそれだけで、3倍から7倍もゆるいものになってしまいます。トランプ手品のような言葉のごまかしだけで、です。そのうえ線量過小評価傾向のガラスバッチを使えば、もっとゆるいものになってしまいます。

スライドの終わりに、ICRPの線量制限体系を最初に定めた1977年勧告の要点を抜粋しておきました。「線量限度」の意味が良く分かるとおもいます。

(まとめ)

物理学の問題として考える前に、「少数者を切り捨てない」人権の問題として、被ばく線量のことは、考えていただきたいと思います。

(文責:田島直樹)

  私(温品惇一)の考えを「ガラスバッジで測ると、なぜ線量が低くなるのでしょうか」に書きましたので、参考にしていただければ幸いです。

(文責:温品惇一)
 最後に温品から、2018年秋に改定された文科省の放射線副読本の問題点について話しました。

 動画はこちら

 スライド資料はこちら
(文責:温品惇一)

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