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2019年1月

2019年1月21日 (月)

3.10被ばく学習会「ここが問題だ! 文科省『放射線副読本』~私たちが目指す放射線教育~」

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  原発輸出戦略が全面的に破産する中、政府は「放射能は安全です」、「福島は何の健康被害もありません」と、必死でウソ宣伝を展開しています。その最たるものが、復興大臣の指示により昨年秋に改訂された文科省の「放射線副読本」です。

 全国の国公立小学校~高校の児童生徒が、”放射線を心配する必要はない”など放射能への警戒を解除する教育を受けています。

 3月10日は福島原発事故前から活動されてきた原子力教育を考える会の根岸富男さんに、放射線副読本の問題点と、目指す原子力教育についてお話しいただきます。

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 要予約:https://goo.gl/3qMwpJ

 チラシPDFはここです

(文責:温品惇一)

2019年1月20日 (日)

1.16ミニ学習会は超満員の盛況でした

 1月16日(水)午後、渋谷区勤労福祉会館・第4洋室でミニ学習会「原発事故が飯舘村にもたらしたもの」を開催しました。いいたてファームの元管理人で、現在も飯舘村で暮らしておられる伊藤延由さんのお話に、定員30名の部屋が超満員の盛況でした。

8593_2  伊藤さんは事故前年から「いいたてファーム」という農業研修所の管理人として飯舘村で生活され、福島原発事故を体験されました。

 飯舘村の放射能測定を通じて京大の今中哲二さんらと交流、空間線量計や個人線量計、食材や土壌のベクレル測定などを駆使して、政府の発表を監視してこられました。

 動画はこちら

 スライド資料はこちら

 以下は温品の独断と偏見で、特に関心を持った箇所です。
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 ・2018年4月、飯舘村内に認定こども園を新築、中学校校舎を改装して小中一貫校をスタート、計105名。但し90%以上は福島市、川俣町など村外からスクールバスで通学。 他の自治体に比べて人数が多いのは、「子どもを育てるなら飯舘村」と宣伝し、教育費を一切無料にしているから。

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 ・樹木のセシウム吸収 :セシウムは樹皮に集まり、心材には移行しないとされていましたが、樹齢100年のスギを伐採・調査したところ、心材に放射性セシウムが多く、100年も育ったスギが・・・。 

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 ・落ち葉放射性セシウム濃度が高い(2000Bq/kg程度)。根から吸い上げられたセシウムが葉に集まり、落ち葉となって根本に貯まり、セシウムの循環が起きていると思われる。

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 ・ホールボディカウンターの値が突然1800ベクレルを超えたので、再検査したが同じ結果。産地から「安全」と思って食べたコシアブラが原因らしい。

 温品がこの測定値をグラフ化(縦軸は対数目盛)したところ、体内の放射性セシウム量は日を追って指数関数的に減少していること、コシアブラを食べた日に体内に取り込まれた放射性セシウムは約2900ベクレル、生物学的半減期は77日と推定されることが分かりました。
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(注) 近似直線の式:y=2850.9e-.0.009x にx=ゼロを代入すると、y=2850.9(有効数字2桁とすると2900)ベクレル。
 生物学的半減期=ln0.5/0.009=77日

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 ・飯舘村の除染地域の土壌を調べると、除染されたはずなのに2万Bq/kg前後ある場所がほとんどで、100Bq/kg以下は1箇所だけだった。ろくに除染していないおそれがある。

2019年1月 6日 (日)

ガラスバッジで測ると、なぜ線量が低くなるのでしょう?

原因その1:身体による遮蔽

 ガラスバッジなど個人線量計は、身に着けて使うので、二つの問題が起こります。

 第1は、身に着けている人自身の体が、背後から来る放射線を遮蔽してしまうことです。

 このため、福島原発事故後のように四方八方から放射線が飛んでくる状況では、個人線量計は実際に被ばくした線量の68%しか測っていないことが確かめられています。

 個人線量計で測定した値を1.47倍すると、正しい被ばく線量が得られます。

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 四方八方から放射線が飛んでくる場所に、個人線量計を着けた人を立たせることを模擬して、個人線量計を装着した人体模型(ファントム)を体軸を中心に回転させ、セシウム137のガンマ線を照射して個人線量計の値を調べた結果、回転させると前方だけから照射する場合の68%しか測定されないことが分かりました。


原因その2:屋内では遮蔽され、線量が低くなります

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 木造家屋では放射線の6割が遮蔽されるとされています。個人線量計を身に着けて測ると、屋内では4割になった線量を測ることになります。

 ガラスバッジでは無理ですが、半導体型の個人線量計なら、高線量被ばくした日時を知ることができるので、被ばく削減に役立てることもできます。

 他方、同じ空間線量の場所にいる人でも、屋内の滞在時間や建物・車など遮蔽物の種類によって、個人線量計の測定値はマチマチで、住民の線量限度(年間1mSv)が守られているかどうか、確認することができません。

 ここで住民の線量限度について考えてみます。

被ばくはできるだけ少なく

 放射線は1本1本が膨大なエネルギーを持っているので、どんなに少ない線量でも、線量に比例して健康影響を生じさせます。自然放射線でも、人工放射線でも同じです。

  実際、例えばスイスで、自然放射線の高い山岳地域と、低い地域とで子どものがんを調べたところ、累積1mSvでがんが有意に増えることが分かっています。

  被ばくはできるだけ低くすることが大事です。

線量限度が決められています

 住民の被ばく線量は誰でも年間1mSvを超えないよう、決められています。

 どんなに少ない線量でも健康影響を生じるので、1mSv以下なら安全なわけではありません。「年1mSvを超える被ばくは誰にもさせません」という原発企業・政府の約束です。

 「誰でも」1mSvを超えないようにするには、どうしたらいいでしょうか?

誰も1mSvを超えないよう、空間線量で測ります

 私たちが屋内に入ると、放射線は建物によって遮蔽され、被ばく量は少なくなります。屋外にいる時間が長い人は、被ばく線量が高くなります。24時間外にいる人は一番線量が高くなり、それを超える人はいません。 

 屋外の空間線量が1年間で1mSvを超えなければ、その場所にいる人は誰も1mSvを超えないことになります

<安全を見込んで、ガラスバッジではなく、空間線量計で測ります

 木造家屋では放射線の6割が遮蔽され、屋内の線量は屋外の4割と言われています。コンクリート造ならもっと遮蔽されます。

 ガラスバッジなどの個人線量計を身に着けて測定すると、屋内にいるときは遮蔽された線量を測定するので、線量は低くなります。しかし、個人線量計の値は、屋内にいる時間が少ないほど高くなります。

 線量限度が守られているかどうかを確かめるためには、誰も線量限度を超えていないことを確認しなければならないので、空間線量の測定が必要です。

住民の線量は空間線量で測ると規定されています

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 原発の敷地境界に作られる
周辺監視区域のまわりには柵が作られ、住民の立入は禁止されます。その外側の空間線量は1mSvを超えてはならないと定められています。現在の日本の法体系では、住民の線量限度1mSvは、このような形で規定されています。

 線量限度1mSvが守られているかどうか、外部被ばく線量は1センチメートル線量当量(=空間線量)で測ると規定されています。

 住民の線量限度・年1mSvが守られているかどうか、あるいは年20mSv未満になったかどうか、ガラスバッジなど個人線量計で測ろうとしたりするのは、法規制に違反する行為です。

(文責:温品惇一)

線量限度は「計画被ばく状況から個人が受ける、超えてはならない実効線量又は等価線量の値」と定義されています(ICRP 2007年勧告・用語解説)。

「炉規法(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律)」にもとづく実用炉規則実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則)第2条2項六号

 「周辺監視区域」とは、管理区域の周辺の区域であって、当該区域の外側のいかなる場所においてもその場所における線量が原子力規制委員会の定める線量限度を超えるおそれのないものをいう」

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核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則等の規定に基づく線量限度等を定める告示

 (周辺監視区域外の線量限度)
 第2条 ・・・実用炉規則第2条第2項第六号、・・・の原子力規制委員会の定める線量限度は、次のとおりとする。
 一 実効線量については、一年間(四月一日を始期とする一年間をいう。以下同じ)につき一ミリシーベルト

  第十条2項 実効線量は、次に規定する外部被ばくによる実効線量と内部被ばくによる実効線量との和とする。
 一 外部被ばくによる実効線量は、1センチメートル線量当量とすること。

12.15 ミニ学習会の報告です

 12月15日午後1時半から、文京区・男女平等センター・研修室Bでミニ学習会を開催しました。参加者は13人でしたが、充実した学習会でした。
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 最初のお話は「改正入管法と外国人による廃炉作業・除染等作業についての考察」(家森 健さん)
 
 スライド1枚目に「オムツを替えてくれる人がいない社会が直ぐそこ」と書かれているように、家森さんは超高齢化・人口減少社会の問題を背景に、今回の入管難民法改正の意味と、福島原発廃炉作業などに外国人労働者が従事することになる」という見通しを話されました。

 誤解を恐れず簡単にまとめれば、

1.安倍内閣が大急ぎで入管難民法改正を強行したのは、4月以降、滞在期限を迎える技能実習生が、制度上、帰国せざるを得ないが、帰国されると技能実習生が働いていた現場が困るから。

2.期限を迎えた技能実習生は、事実上、特定技能1あるいは2にそのまま移行し、帰国せずに働ける。

3.技能実習生は日本で技能を身につけて、母国でその技能を活かすという建前だった。従って母国にない廃炉作業や除染作業には従事できない建前だったが、特定技能は「技能実習」ではなく、「労働力」なので、母国にはない廃炉作業や除染作業にも従事できることになる。

 お話と質疑の動画はこちら

 スライド資料はこちら

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 2番手の栗原裕司さんの演題は「話したいこともろもろ」
 若い頃から「公害問題、環境問題に関心が強かった」と言われる栗原さんは、まず12月9日の「ふくしま大交流会フェスタ2018」の会場で出会った福島県職員や一般来場者との話を紹介しました。
 『放射線のホント』をはじめ、政府のリスコミと同じ事を話す人たちに驚いたそうです。

 残念ながら、栗原さんのお話と質疑の多くは動画が撮れていなかったので、こちらの資料を参照してください。
 動画はこちら

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 休憩の後、3番手は ひなん生活を守る会の鴨下祐也さんに「避難住宅問題について」お話いただきました。
 動画はこちら 

 資料はこちら
 災害救助法で提供されていた福島県内区域外の避難住宅が2017年3月末で打ち切られた。
 災害救助法が問題なのではない。原発事故も対象になっているし、7年目で打ち切るようにもなっていない。

 被災県(福島県)が要望して、受け入れ県が実施している。例えば東京都だと都知事が決めて、福島県が支払い、福島県は国からもらう。国が決めて、地方自治体が実施する「法定受託事務」。本来、東電が払うべきものと国も認め、区域内については東電に支払いを求めているが、区域外は「計算が終わっていない」として、東電に支払いを求めていない。

 打ち切りに当たって、国がほしかったのは退去届
 ひなん生活をまもる会では、経済的な余裕が無い方、「避難住宅からの退去」に同意したと見なされる退去届にサインできない方、家を汚染されたのに住宅が有償となることを受け入れられない方、に対して避難住宅に「退去届を出さず」そのまま無償で住む「残留」希望者を募った。東京都に使用許可(無償提供)申請を行い、残留し、現在に至る。
 残留している家庭のほとんどで子どもがいて、「退去=転居=転校」は受け入れられない。話し合いを求めているが、出てこない。
 ちょうど今日、「とっくに期限切れてますよ、早く返してください、返さないとお金請求しますよ」という通知が来ました。年に何回か来ます。
 今後の国(福島県)の方針は、
・2019年3月、福島県による支援施策、民間賃貸補助と公務員宿舎の転貸制度を打ち切り、避難指示解除地域の避難住宅も打ち切る

・2020年3月、帰還困難区域の避難住宅を打ち切る  

 すなわち、2020年3月までに、すべての避難住宅をなくす、そうすれば避難者もいなくなるという方針

 避難するとき、どの種の避難住宅に入るか、選べなかったが、住宅提供打ち切り後は、どの種の、どの地域の避難住宅に入居したかで、現在の対応が大幅に違っている。

 げんげんれん(原発被害者訴訟原告団)の要望事項としては、線引きをしないで、すべての避難者に避難住宅をあらためて提供すること、避難したい人には福島県内外とも避難させなさい、今からでも避難したい人が福島県内にも少なからずいるのは確かなので、その人たちに避難住宅を提供すること。

 それから、子ども被災者支援法を打ち切られると、都営・県営住宅に入る収入要件を半額認定できなくなり、公営住宅から追い出されるので、これはやめてほしい。

 福島県が新たな支援と言った民間賃貸補助やセーフティーネット入居、原発事故避難者受け入れ自治体による各種特例措置を来年度以降も維持すること、などです。

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 4番手に登場は田島直樹さん。「線量限度(空間線量と個人線量)」についてお話いただきました。

 動画はこちら

 スライド資料はこちら
 (以上、文責:温品惇一)

 以下は田島さんによる内容紹介です。

 避難地域解除の20mSvや公衆線量限度の1mSvは、これまで空間線量に基づいて考えられてきましたが、最近、放射線審議会や原子力規制委員会は、早野龍五東大名誉教授らの主張にもとづいて、個人線量計で測る個人線量で管理しようとしています。これは大問題です。

 宮崎・早野論文については、高エネルギー加速器研究機構名誉教授の黒川眞一さんが、研究者の立場から批判しています。 

【宮崎・早野 第1論文】黒川眞一さんによる日本語訳

【宮崎・早野 第2論文】黒川眞一による日本語訳

黒川眞一さんによる第1論文の解説

黒川眞一さんによる第2論文批判

 物理学の専門家が早野批判に立ち上がったことは大変喜ばしいことです。しかし、こうした物理学的あるいは測定工学的批判だけでは、「大事な別のことの無視」です。もっと大事なことがあります。

ICRPが放射線防御のセーフティーネットとして定めた「線量限度」。その言葉の定義から考えて見ましょう。

線量限度[Dose limit]

計画被ばく状況から個人が受ける, 超えてはならない実効線量又は等価線量の

 線量限度は「超えてはならない」線量ですから、住民の線量限度・年1mSvを例に取れば、下図のようになります。

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 線量限度1mSvや復旧時居住可能限度20mSvを、空間線量で規定すれば、すべての人をそれ以下の被ばく線量で守ることができます。そのとき個人線量は、正しく測ったとしても中央値や平均値は半分以下、1/3~1/7になるでしょう。大多数が1mSv などの1/31/7になるということです。しかし、その乖離があることによって、全ての人の個人線量が、線量限度以下で護られます。線量限度は空間線量で管理することによって、セーフティーネットとなることができるのです。

早野氏らは、線量限度を平均値や中央値で語っていますから言語道断です。グラフの右側に分布している、平均値を超える少数者を「外れ値」と称して無視しているのは、科学の問題ではなく、人権問題です。

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そして、「線量限度」を個人線量で管理すると、下図のように個人の線量分布は大きく右側に移動し、集団の線量は数倍になってしまいます。

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ここのところが、物理学や測定工学にこだわって早野批判している人に分かってもらいにくく、困っています。

個人の線量について考えるときには、「全ての人を護る」という線量限度の意味を、市民の立場からは強調してもらいたいと思います。これは、物理学者の立場では言いにくいことですから、市民が言わねばなりません。

線量制限を、個人線量の平均値や中央値で語ると、たったそれだけで、3倍から7倍もゆるいものになってしまいます。トランプ手品のような言葉のごまかしだけで、です。そのうえ線量過小評価傾向のガラスバッチを使えば、もっとゆるいものになってしまいます。

スライドの終わりに、ICRPの線量制限体系を最初に定めた1977年勧告の要点を抜粋しておきました。「線量限度」の意味が良く分かるとおもいます。

(まとめ)

物理学の問題として考える前に、「少数者を切り捨てない」人権の問題として、被ばく線量のことは、考えていただきたいと思います。

(文責:田島直樹)

  私(温品惇一)の考えを「ガラスバッジで測ると、なぜ線量が低くなるのでしょうか」に書きましたので、参考にしていただければ幸いです。

(文責:温品惇一)
 最後に温品から、2018年秋に改定された文科省の放射線副読本の問題点について話しました。

 動画はこちら

 スライド資料はこちら
(文責:温品惇一)

2019年1月 1日 (火)

1.16ミニ学習会「原発事故が飯舘村にもたらしたもの」

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参加費:500円

要予約:anti-hibaku@ab.auone-net.jp  090-3577-4844

チラシPDFはこちら

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