2018年3月21日 (水)

高野 徹・「県民健康調査」検討委員への公開質問状に賛同を!

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現在の賛同団体はこちら

 一部の専門家から「甲状腺検査は過剰診断だから、もう中止にせよ!」という声が出ています。それに振り回されているマスコミもあります。

 最近の過剰診断論の主張とは、

 1.福島では、甲状腺がんが多く発見されているが、放射線によるものだとは「考えられない」。

 2.なのに検査でがんが増加しているのは、スクリーニング効果だ。病気が増えたのではなく超音波検査器が小さながん(微小がん)でも見つけるようになったので、増えた。

 3.でも、それだけでは2巡目検査以降も甲状腺がん発見が多いことは説明できない。だから、がんの新理論を採用しよう。

 4.新理論とは「未成年の甲状腺がんの進行は速いので、立派な大きさで発見されてしまう。しかし、がんの進行は大人になると止まってしまう」というもの。「それらは手術の必要がない」と、提唱者・大阪大学医学系大学院の高野徹講師は強調する。

 5.「必要ない手術につながる検査は人権無視だ。全員を対象とする甲状腺検査は止めるべきだ」と高野講師はくりかえす。

 1や2は、これまでの過剰診断論にもありました。4と5は、福島県「県民健康調査」検討委員会に高野教授が参加した昨年11月以降、新たに加わりました。

 がんの進行は大人になったとたんに止まってしまうという4などは、実際の甲状腺がんの進行を無視した荒唐無稽の空理空論です。高野講師ご本人ですら症例の事実で確かめるためには今後数十年もかかると言っています。   

Photo_4  そこで放射線被ばくを学習する会は賛同団体・個人と共に、高野・検討委員に下記の公開質問状を送りたいと思います。

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 福島県「県民健康調査」検討委員

 同委員会「甲状腺検査評価部会」員  高野 徹 様

 高野様は甲状腺の研究者であり、福島県「県民健康調査」検討委員ならびに「甲状腺検査評価部会」員として、福島原発事故後の福島県民の健康を守る重い責任をになっておられます。

  韓国や米国では、超音波検査で見つけた小さな甲状腺がんを手術したため、「過剰診断(進行しない無症状のがんを発見して治療すること)」が問題になりましたが、福島県の甲状腺検査では、学会が定めた甲状腺がんの診断基準1に従って、手術の必要がない小さな腫瘍を悪性のがんと判定しないように、穿刺細胞診(せんしさいぼうしん:細胞を取り出して顕微鏡で調べる検査)の条件を定めています。

 また手術で切除した実際の甲状腺がんは、福島県立医科大学の鈴木眞一教授による発表のとおり2、大きさや悪性度が手術すべき状態であることが確認されています。

 甲状腺がんの専門家である高野様は、これらを十分ご承知だと存じます。

 検討委員および評価部会員になられた以上、高野様におかれては、甲状腺検査の拡大・充実を提案なさるのが当然と考えます。

 ところが高野様は、甲状腺検査には何のメリットもない、過剰診断だと断言し、何の証拠も示さずに「福島県民健康調査ですが、私はこれ以上被害が拡大しないうちに縮小すべきだと考えています」とホームページ3に記述しておられます。

 そこで、下記の項目について高野様のお考えを緊急にお尋ねいたします。

 2018年4月 日までに文書でお答えくだされば幸いです。

 1.福島県の甲状腺検査は「子どもたちの健康を長期に見守るため」実施するとさだめられています4

 ところが高野様は昨年12月25日の第29回検討委員会で、「超音波検査で早く見つけたからといって良いことはない、というのは学術的にはきっちり決まっている話なんです」と、検査の意義自体を否定されました。

 しかし、事実はどうでしょう。ベラルーシの小児甲状腺がんを調査したデミチク氏は2006年の論文5で、早期発見したほうが肺への転移率が低いことを明らかにしています。

 それをご存じの高野様が「甲状腺検査には何のメリットもない」と発言なさるのは、なぜでしょうか? "考え方"ではなく、"エビデンス(医学的証拠)"にもとづいてお答えくだされば幸いです。

 2.福島県の甲状腺検査では、穿刺細胞診の適応条件を、直径5ミリから10ミリのしこりの場合は悪性が強く疑われるときに、10ミリを超えるしこりの場合は悪性疑いの所見が1つ以上あるときに限定するなど、手術の必要がない小さな腫瘍をがんと判定しないように、細心の注意が払われています1

 福島県立医科大学の鈴木眞一教授の発表2によれば、手術されたがんの約3分の2は直径10ミリを超えていました。日本乳腺甲状腺超音波学会の「甲状腺超音波診断ガイドブック(改訂第2版72頁、第3版99頁)」では微小がん(直径10ミリ以下)以外は手術すべきとしています。

 成人の低リスク微小乳頭がんの経過観察を推進してこられた隈(くま)病院の宮内院長は、福島の甲状腺がんについて、「福島県立医大で手術した症例を見るかぎりでは、腫瘍が1センチ超えていたり、リンパ節や肺に転移していたりと、手術は妥当。私が担当医でも手術をしました」と述べています6

 にもかかわらず高野様が、福島県の甲状腺検査で判定された「悪性ないし悪性疑い」を「過剰診断」と断言されるのは、一体どのような証拠にもとづいているのでしょうか?

 高野様の検討委員会および甲状腺検査評価部会におけるご発言、あるいはホームページの記述では、韓国の、未成年ではなく成人に関する過剰診断例、あるいは甲状腺がん「自然史」に関する推論ストーリーを述べておられるだけです。

 甲状腺の専門家が公的な場で過剰診断と断言されるのですから、当然、推論にとどまらない証拠をお持ちでしょう。誰もが心を引きしめて考えなければならない大事な問題ですので、ぜひ証拠を明らかにしていただきたいと思います。

 3.高野様は「甲状腺検査のメリット・デメリットが受診者などに知らされていないのが問題だ」と言われます。

 それが事実ならおっしゃる通りです。

 早期発見のために必要な検査であり、自分の身を守るためにぜひ受けてほしいということを広く知らせることこそ、いま一番だいじなことではないでしょうか。

 そうして初めて、リスクの高い年齢層である高校卒業世代も、甲状腺検査を受けようという気になるでしょう。高野様はどうお考えになりますか。

 2018年4月2日

放射線被ばくを学習する会
賛同63団体・242個人(4月2日現在)
 311甲状腺がん家族の会
 子どもたちの健康と未来を守るプロジェクト・郡山
 原発いらない福島の女たち
 原発事故被害者団体連絡会
 福島原発被害東京訴訟原告団
 東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream(サンドリ)
 原発賠償京都訴訟原告団
 ひなん生活を守る会
 会津放射能情報センター
 子ども脱被ばく裁判の会 
 放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会
 郵政ユニオン郡山支部  
 虹とみどりの会
 緑ふくしま
 放射能から子どもたちを守る栗原ネットワーク
 日本基督教団東北教区放射能問題支援対策室いずみ
 春を呼ぶ会
 たまあじさいの会
 福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
 東海第二原発再稼働ストップ日立市民の会
 伊方原発広島裁判原告団
 京都脱原発原告団
 「子ども脱被ばく裁判」を支える会・西日本
 NPO法人エコロジー・アーキスケープ
 飯舘村放射能エコロジー研究会
 ママレボ出版局
 ちくりん舎(NPO法人 市民放射能監視センター)
  新宿代々木市民測定所
 こどもみらい測定所
 阪神・市民放射能測定所
 福島の子どもたちとともに・湘南の会
 福島の子どもたちとともに・西湘の会
 福島の子どもとともに 川崎市民の会
 福島のこども保養inあきる野
 福島子ども保養プロジェクト@しながわ
 福島子ども・こらっせ神奈川
 福島の子どもたちとともに・世田谷の会
 なかのアクション・福島子ども保養プロジェクト
 花風香の会
 子どもたちに未来をわたしたい・大阪の会 
 支援交流『虹っ子』
 保養ネット・よこはま
 子どもたちを放射能から守る伊豆の会
 3.11ゆいネット京田辺
 日本キリスト教団神奈川教区社会委員会
 日本キリスト教団神奈川教区「リフレッシュ@神奈川」実行委員会
 笑顔つながるささやまステイ実行委員会
 日の出の森・水・命の会    
 生命(いのち)を考える福島と鹿児島の会
 脱原発の日実行委員会
 原発震災を防ぐ風下の会
 所沢「平和都市宣言」実現する会
 原発はいらない西東京集会実行委員会
 みんなのNO NUKES☆西東京
 原発やめよう/つながろう関西・マダム会議
 三陸の海を放射能から守る岩手の会
 NPO法人ごみ問題5市連絡会 
 富山大学科学技術社会コミュニケーション研究室
 モントリオール KIZUNA
 カナダ9条の会 Aritcle9Canada: mail address:
 (カナダ)バンクーバー9条の会
 (カナダ)トロント9条の会
 (カナダ)モントリオール9条の会

 1 甲状腺超音波診断ガイドブック(改訂第2版および第3版)

 2 第8回甲状腺検査評価部会資料3 

 3 多段階発癌説で見た福島県民健康調査と微小癌の経過観察

 4 福島県「県民健康調査」甲状腺検査について

 5 Demidchikら

 6 https://goo.gl/MMxbG8

2018年3月20日 (火)

放射能汚染物リサイクル計画の全体像が見えた!~3.18被ばく学習会報告

 3月18日(日)、文京区アカデミー茗台・学習室Aで第43回被ばく学習会「ごみ処理で放射能が飛んでくる?」を開催、参加者は31名でした。

 演者3人のプロフィールはこちら

 3人の報告と質疑応答を通じて、現在進められている「放射能汚染物リサイクル計画」の問題点が浮かび上がってきました。
 東電福島原発事故で飛散・沈着した放射能の一部を「除染土」として回収、汚染度の「低い」除染土はそのまま路盤材などに使おうとしています。他方、燃えるものはなんでも燃やし、汚染度の高い除染土は高熱処理でセシウムを気体にして除き、セメントなどに利用、気体になったセシウムはバグフィルターで回収するという計画です。
 道路などの下に除染土が埋められ、放射能が拡散される一方、バグフィルターで回収できないセシウムが飛散します。「除染」した所を、再汚染させることになります。
Photo  最初の演者・青木一政さん(ちくりん舎)が、「バグフィルターで放射能飛散は防げない」ことを明らかにされました。
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 バグフィルターは英語ではbagfilter。いわば袋フィルターです。上の図の右側、バグフィルターと題された絵でいうと、下から来るガスがバグフィルターの外側から内側へ抜ける時、バグフィルターの外側に粉じん等が吸着します。バグフィルターがつぶれないよう、中に金属製の枠が入っています。
 使っているうちにバグフィルター表面に粉じんがたまり、目詰まりすると、バグフィルターの内側に空気を噴射したりして、粉じんを払い落とします。
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 集じん率は粉じんの大きさによって違います。

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 上の図のように、使い始めのバグフィルター(「未使用」)では、大きな粒子は集じん率が高いのに対し、小さな粒子の集じん率は20%程度です。使っていると(「払い落とし直前」)、小さな粒子も100%集じんされるようになり、払い落とすと(「5回払い落とし直後」)小さな粒子の集じん率は60%程度に低下します。

 集じん装置の性能は、粉じん重量の何%を取り除けるか、で測定されます。粒子の直径が10倍違うと、重量は1000倍違います。大きい粒子が999個、1/10の大きさの粒子が1000個あると粒子全部の重量は大きい粒子1000個分です。
 この仮想粉じんを集じん装置におけて、大きい粒子は全部除去され、小さい粒子は全部通過したとすると、粉じんの数で集じん率を計算すると999/(999+1000)=50%ですが、重量で計算すると999/1000=99.9%となります。
 バグフィルターで99.9%捕集できるというのはあてになりません。小さな粒子に吸着したセシウムはバグフィルターを通り抜け、飛散していきます。
 動画はこちら
 資料はこちら

Photo_2  続いて、たまあじさいの会の中西四七生(しなお)さんに、東京都日の出町にあるエコセメント製造工場による環境汚染と健康被害についてお話しいただきました。
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 エコセメントというのは「ごみを燃やしたあとに残る焼却灰を原料とする新しいセメント」で、日本工業規格(JIS)に定められた建設資材です。焼却灰に石灰石や鉄原料を加え、1350℃に熱し、石こうなどを加えて粉砕したものです。
 エコセメント製造工場からさまざまな有害物質が飛散し、山地特有の谷風・山風などに乗って移動します。
 東電福島原発事故後、エコセメント製造工場付近では土壌の放射性セシウム濃度が非常に高くなりました。排水を通じて放射性セシウムが玉川に大量に流されていました。
 多摩川の放射性セシウム汚染をリネンへの吸着で調べると、年々、汚染が下流に移動しています。原子力規制庁の発表によると、2017年6月の東京の水道水(蛇口水)は福島市より汚染されていました。
 エコセメント製造工場やごみ処分場の周囲では、アレルギー疾患、脳血管疾患死亡率などが増えており、その原因として活性酸素、フリーラジカルが考えられるそうです。
 中西さんの動画はこちら
 中西さんの資料はこちら

Photo_4  休憩を挟んで、放射能ごみ焼却を考えるふくしま連絡会の和田央子(なかこ)さんから、福島での放射能汚染物処理の実態が生々しく報告されました。
 19市町村に推定24基の仮設焼却炉が建設され、稼働日数わずか2ヵ月から4年で解体されます。7,300億円を超える予算がつぎ込まれています。
 <最終処分場、「中間貯蔵施設」>
 8,000~10万㏃/kgまでの放射能汚染ごみは富岡町のフクシマエコテックという管理型処分場に埋められます。管理型処分場はごみの下にゴムシートが敷いてありますが、ゴムシートは土中のゴム分解菌に分解されてしまいます(中西さん動画)。
 10万Bq/kgを超える焼却灰と、除染土は全て、福島第一原発の周囲に建設中の「中間貯蔵施設」に運び込まれます。
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 中央上側の白い部分が東電福島第一原発の敷地。その外側をグルッと囲んでいるカラー地帯が「中間貯蔵施設」。ここに東京ドーム18個分、2,200万m3の除染土、除染廃棄物などが運び込まれることになっていますが、ただ「貯蔵」しておく訳ではありません。
 三春町の環境創造センターと福島県飯舘村蕨平で、10万Bq/kgを超える焼却灰や除染土壌をリサイクルする実証試験が行われています。
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<恐るべき再汚染計画>
 上の図は三春町に作られた環境創造センター研究棟にあるセメントキルン実証実験炉の隣に置かれていた「中間貯蔵技術等の確立」に関する説明パネルです。除染土や10万Bq/kgを超える焼却灰を炉に入れて加熱し、セシウムを気体にして除き、セメント化する。セシウムはバグフィルターで集め、ゼオライトなどに吸着させて濃縮、1GBq/kg=10億Bq/kgの超濃縮物にしようという計画。
 これが、東電福島第一原発外側の「中間貯蔵施設」で行われようとしていることです。最初に青木さんが明らかにされたように、バグフィルターでセシウム飛散を防ぐことは出来ず、「中間貯蔵施設」から飛散する放射能で周囲が再汚染されることが危惧されます。

 和田さんの動画はこちら
 和田さんの資料はこちら
 質疑応答の動画はこちら
<3.16福島原発被害東京訴訟判決>
 続いて3月16日の東京訴訟地裁判決について、田島直樹さんの説明と鴨下・原告団長の挨拶がありました。
 動画はこちら
 判決資料はこちら
文責:温品惇一

2018年3月12日 (月)

パンフレット「受けて安心 甲状腺検査」、ご希望の方はお申し込みください

「受けて安心 甲状腺検査」PDFをダウンロード

 昨年、福島県「県民健康調査」検討委員および「甲状腺検査評価部会」員が改選されました。それ以来、「過剰診断」論を前提に「甲状腺検査無用」論が叫ばれています。

 私たちは健康を守ることに逆行するこうした状況を心配し、甲状腺検査がなぜ必要なのかをお知らせするパンフレット「受けて安心 甲状腺検査」1万部を作成しました。
 また、「甲状腺検査無用・過剰診断」論を声高に叫ぶ高野 徹・「県民健康調査」検討委員兼「甲状腺検査評価部会」員に対し、その誤りを指摘し説明を求める公開質問状を作成し、賛同を募ったところ、4月1日現在、62団体・242人のご賛同をいただきました。近日中に高野氏にお送りする予定です。
 以下のパンフレットおよび公開質問状を、できるだけ多くの皆さんにお読みいただきたく、無料配付いたします。
 送料のご負担と作成費カンパをお願いいたします。ちなみに、作成費は一部12円でした。
 4月15日から22日まで、郡山市、福島市などで高校生などを対象に配付する予定です。ご協力いただける方は、anti-hibaku@ab.auoe-net.jpまでご連絡ください。

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A  原発事故で放射性物質が放出されたからです
 東電福島原発事故でさまざまな放射性物質が大量に放出されました。半減期の短い放射性ヨウ素は今ではなくなりましたが、事故当時、東日本にいた人々は多かれ少なかれ放射性ヨウ素が混じった空気を呼吸していました。食べ物にも含まれていました。
 ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料なので甲状腺に集められます。放射性ヨウ素も甲状腺に集められ、甲状腺の細胞が被ばくし、のちに甲状腺がんができる可能性があります。

A 甲状腺は全身の活動を活発にしています

 Web2__edited1 甲状腺は「のどぼとけ」のすぐ下にあります。蝶が羽根を広げたように、右側と左側が狭い中央部でつながっています。甲状腺は全身の新陳代謝を活発にし成長を促進する甲状腺ホルモンを作っている大事な器官です。ヨウ素は甲状腺ホルモンの原料です。

A 197人に甲状腺がんが見つかっています
Web3_  甲状腺がんは未成年では100万人に1人と言われるほど珍しいがんです。1986年に起きたソ連のチェルノブイリ原発事故後、未成年の甲状腺がんが多発して大問題になりました。
 東電福島原発事故後、甲状腺検査を求める声が強まり、福島県は「子どもたちの健康を長期に見守るため」、甲状腺検査を始めました。事故の時18歳以下だった約38万人のうち、これまで197人に甲状腺がんが見つかっています。福島県県民健康調査検討委員会も、甲状腺がんが多発していると認めています1

A 19歳以上は甲状腺がんが多いのに検査を受ける人が少ないので、心配です
 197人のうち、甲状腺がんが見つかった時に高校生だった人が65人(33%)、19歳以上の人が76人(39%)。実に4分の3近くが高校生以上の年代です。
 ところが、中学生・高校生までは約87%が検査を受けているのに対し、19歳以上では26%程度しか検査を受けていないのです。
 高校を卒業して福島県外に進学・就職すると、甲状腺検査を受けにくいと思いますが、自分の身は自分で守る年齢といえます。県外でも無料で甲状腺検査を受けられます。ぜひ検査を受けてください。

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A 甲状腺がんは転移したり、広がったりします 
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 甲状腺がんは自覚症状がほとんどないので、検査を受けずにいると、リンパ節に転移したり、声帯につながる反回(はんかい)神経や気管に広がって、声がかすれたり出なくなったり、気管に穴が開く可能性もあります。肺などに転移したまま治療しないと、いのちに関わります。
 
A 早期発見が大事です
 197人の甲状腺がんのほとんどは乳頭(にゅうとう)がんという種類です。未成年では進行が早く、検査で見つかって手術を受けるまでに、大きくなったり、甲状腺近くのリンパ節に転移(てんい)したり、甲状腺の外にまで広がったり(浸潤)しています2

A 早期発見すると肺への転移が少ない
 チェルノブイリ原発事故で甲状腺がんになったベラルーシの未成年を調べた研究によると、肺に転移する割合は症状がある人の方が有意に高く、症状がない人の2.6倍でした3
 甲状腺検査を受けずに、症状が出てから病院に行ったのでは、治療がやっかいになります。

A 早期治療で安心を
  福島県の検査で見つかった甲状腺がんの平均は約12.8ミリ4、大部分は首の腫れなどで分かる前に検査で見つかり、治療を受けています。肺など甲状腺から離れた場所に転移していた人は2%だけでした5
早期治療では、左右両方でなく片方の甲状腺切除で済むことが多く、甲状腺ホルモンを作り続けることができます。手術範囲が狭くて済み、生活の支障も少なくなります。
 甲状腺乳頭がんは、検査で早期発見すれば治しやすいのです。「受けて安心 甲状腺検査」です。

甲状腺医療費を支援する福島県の事業
 福島県の甲状腺検査は無料ですが、その後の手術や経過観察は診療となり、医療保険の対象です。その時の医療費の自己負担分を県が支援してくれる「甲状腺検査サポート事業」があります。
 19歳以上の医療費には自己負担が生じますが、甲状腺がんの手術や経過観察は無料となります。
ただし、
(1)  甲状腺がんの手術や経過観察の自己負担分は、一旦窓口で支払った後、「甲状腺検査サポート事業」の申請をすると、県から払い戻されます。
(2)  県の甲状腺検査を受けていないと、サポート事業による支援金を受け取れません。
(3)  県外にお住まいでも、県の甲状腺検査を受けていれば、申請が可能です。
支援金申請の仕方は福島県ウェブサイトをご覧ください6

[本文注]

1 「県民健康調査における中間取りまとめ」2016.3 https://goo.gl/u2foSD 

2 https://goo.gl/RD1iZV

3 Demidchikhttps://goo.gl/JGDcuW

429回福島県県民健康調査検討委員会 参考資料3 https://goo.gl/AaaADv

 30回 同検討委員会 資料3-1 https://goo.gl/rEQ8uv より算出

5 8回甲状腺検査評価部会 資料3 https://goo.gl/aoLb9V   

6 https://goo.gl/8s4YhD

甲状腺検査についての問い合わせ先

福島県 県民健康調査課 024-521-8219

福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター

024-549-5130  


福島県外での甲状腺検査実施機関一覧(県指定)

福島県以外で、住民登録者の甲状腺検査を実施している市町村

宮城県丸森町 0224-72-3019 

栃木県那須町 0287-72-5858 

栃木県日光市 0288-21-2756  

千葉県柏市 047-167-1255 

千葉県松戸市 047-366-7485 

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2018年2月27日 (火)

2月25日、ICRPの考え方を学ぶ

 2月25日(日)午後、第42回被ばく学習会「ICRPの基本;確率的影響、しきい値なし線形 いっぺんに浴びなければ大丈夫、じゃない!! 被ばくによるリスクは積み重なる!!」を開催、23名が参加しました。

1 当会の田島直樹さんのお話をめぐって、『しきい値』という言葉の意味などをはじめ、いまさら聞きにくい(?)質問も活発で、ICRPの基本的な考え方について理解を深めました。

 映像;前半の全体はこちら
     田島さんのお話・前半はこちら
     後半はこちら
 資料はこちら
 
 次回の被ばく学習会は3月18日(日)午後、「ごみ処理で放射能が飛んでくる?」です。
文責:温品惇一

2018年2月26日 (月)

なぜ放射線の影響には、それ以下なら 安全な「しきい値」がないのか?

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放射線の正体はツブツブです

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 福島原発事故後に急きょ発行された、文科省の「放射線副読本」の記載は象徴的です。アルファ線、ベータ線は「小さな粒子が高速で飛ぶ放射線」で、ガンマ線は「波のように伝わる放射線」と書かれています。私たちが毎日外部被ばくしているのは、放射性セシウムが発するガンマ線です。

確かに、ガンマ線は「電磁」と呼ばれるので、波が弱くなると、物に当たっても、あまり影響がなさそうな印象をうけます。しかし、原子のようなミクロの世界では、目に見えるマクロの世界の常識は通用しません。電磁波は同時に光子という粒子の集合でもあります。可視光線から紫外線、ガンマ線と、波長が短くなる(振動数が大きくなる)につれてエネルギーが大きくなりますが、どれも光子であることに変わりはありません。

1個のツブツブも、すごいエネルギーを持っています

原子のようなミクロの世界では、エネルギーはeV(エレクトロンボルト=電子ボルト)という単位で表されます。分子に数eVのエネルギーが与えられると電子がはじき飛ばされ(電離)、分子が壊されます。

他方、セシウム137が発するガンマ線のエネルギーは66.2eVです。1本のガンマ線=1個の光子が人体に当たるだけで、20万もの電離を起こさせることができます。

放射線量が低いのは、ツブツブが少ないだけです

ガンマ線を「波のように伝わる放射線」ととらえると、ガンマ線の線量が低い時はガンマ線が弱いので、小さな波が来ても影響がないように思いがちです。しかしガンマ線は波であり同時に「光子」(粒子)です。ガンマ線線量が低いということは、光子の数が少ないということです。セシウム137の1個の光子が当たるだけで約20万もの電離を生じさせ分子を壊すのですから、どんなに放射線量が少なくても、「安全」ではないのです。

なお、しきい値の有無には、放射線による遺伝子の損傷を修復する体の働きについても考える必要がありますが、またの機会に譲ります。

Q ローマの空間線量率は東京の3倍。 「心配ない」というのは本当でしょうか?

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ロンドンは約0.08µSv/h、ローマは0.2µSv/h

 の地図はhttps://remon.jrc.ec.europa.eu/というEU(欧州連合)のサイトで各都市の空間線量率を検索し、地図の上に示したものです。ロンドンの空間線量率は約0.08µSv/hで東京(0.06µSv/h)とあまり違いませんが、ローマは0.2µSv/h(=年間1.752mSv)と高めでした。ローマはなぜこんなに空間線量率が高いのでしょうか?

 上記サイトによると、ローマ付近では土壌中のウラン、トリウム、カリウム40など自然放射能濃度が高く、花崗岩地帯と思われます。これらの原子が壊変(崩壊)するときにガンマ線を出すので、空間線量率が高くなります。

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 自然放射線の累積1mSvでも子どものがんが増える

 Spycherらはスイスの子どもたちが生まれ育った場所の空間線量率によって、子どもたちを4群に分け、発がん率を調べた結果、上図のように、空間線量率が高い所で生まれ育った子どもほど、有意に小児がんになりやすいことを明らかにしました(累積外部被ばく線量が1mSv増えると小児がんになるリスクが有意に3%増加することが分かりました)。

 白血病や中枢神経腫瘍についても同様の傾向が見られています。

 がんなど放射線による確率的影響には「これ以下なら安全」というしきい値はありません。自然放射線も人工放射線も同じように有害です。

Q「骨シンチ検査が終わっても、体から放射線が出ているんですか?」

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 ある高齢者の声

「進行の早い前立腺がんが見つかり、骨シンチで骨への転移を調べることになりました。放射性物質を注射して転移を調べるそうですが、検査が終われば体から放射線は出ないのでしょうか?」

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6112_3 骨シンチではガンマ線を出すテクネチウム試薬を注射

がんが発見されると、骨への転移を調べるため、骨シンチ検査が行われることがあります。

変わらないように見える骨も、毎日破骨と造骨を繰り返し、新陳代謝しています。骨にがんが転移すると、造骨が促進されたり、逆に造骨が抑えられたりして、骨の代謝が周囲と違ってきます。骨の材料になる物質に、テクネチウム99mという原子を結合させた試薬を注射すると、テクネチウム99mによるガンマ線の濃淡をシンチレーションで検出し、骨の代謝が周囲と違う場所を知ることができます(上図)。これが骨シンチ検査です。

12時間後でも、空間線量計が振り切れた!

61122_3  テクネチウム99mはテクネチウム99の不安定型で、半減期6時間でガンマ線を出して崩壊します。テクネチウム99m試薬を注射後数時間で骨シンチ検査は終わり帰宅できますが、テクネチウム99m試薬は腎臓や骨に残ります。今回、注射12時間後に携帯用空間線量計Radi(堀場製作所)で測定する機会がありましたが、線量計を体から1㎝離しても、測定上限(20µSv/h)を超え、測れませんでした。1m離れても2µSv/hあり、「歩く放射能」状態です。事故前の自然放射線(0.036µSv/h)の50倍以上なので少なくとも24時間後までは1m以内に近づかない方がいいでしょう。注射72時間後には自然放射線と区別できないほど減衰します。

Q「骨シンチ検査が終わっても、体から放射線が出ているんですか?」

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 ある高齢者の声

「進行の早い前立腺がんが見つかり、骨シンチで骨への転移を調べることになりました。放射性物質を注射して転移を調べるそうですが、検査が終われば体から放射線は出ないのでしょうか?」

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6112_3 骨シンチではガンマ線を出すテクネチウム試薬を注射

がんが発見されると、骨への転移を調べるため、骨シンチ検査が行われることがあります。

変わらないように見える骨も、毎日破骨と造骨を繰り返し、新陳代謝しています。骨にがんが転移すると、造骨が促進されたり、逆に造骨が抑えられたりして、骨の代謝が周囲と違ってきます。骨の材料になる物質に、テクネチウム99mという原子を結合させた試薬を注射すると、テクネチウム99mによるガンマ線の濃淡をシンチレーションで検出し、骨の代謝が周囲と違う場所を知ることができます(上図)。これが骨シンチ検査です。

12時間後でも、空間線量計が振り切れた!

61122_2  テクネチウム99mはテクネチウム99の不安定型で、半減期6時間でガンマ線を出して崩壊します。テクネチウム99m試薬を注射後数時間で骨シンチ検査は終わり帰宅できますが、テクネチウム99m試薬は腎臓や骨に残ります。今回、注射12時間後に携帯用空間線量計Radi(堀場製作所)で測定する機会がありましたが、線量計を体から1㎝離しても、測定上限(20µSv/h)を超え、測れませんでした。1m離れても2µSv/hあり、「歩く放射能」状態です。事故前の自然放射線(0.036µSv/h)の50倍以上なので少なくとも24時間後までは1m以内に近づかない方がいいでしょう。注射72時間後には自然放射線と区別できないほど減衰します。

3.18被ばく学習会「ごみ処理で放射能が飛んでくる?」

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Photo  原発事故後、福島県の浜通り・中通りに仮設焼却場が次々に建てられ、放射性セシウムなどに汚染された物が燃やされ、「用済み」とされた焼却場は解体されました。首都圏でも、放射能汚染された「ごみ」が焼却されています。放射能はどこへ行くのでしょうか? 焼却施設から飛散するおそれはないのでしょうか?

 他方、除染土を路盤材として使うなど、放射能ごみのリサイクルが進められています。放射能が拡散されることはないのでしょうか?

 ごみ問題に取り組んでこられた中西さん、青木さん、福島県各地の放射能ごみ焼却問題にくわしい和田さんに、現状と問題点をお話しいただきます。

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2018年1月23日 (火)

2.25 第41回被ばく学習会のお知らせ「ICRPの基本;確率的影響、しきい値なし線形 いっぺんに浴びなければ大丈夫、じゃない!! 被ばくによるリスクは積み重なる!!」

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『確的影響』『確的影響』

ICRP(国際放射線防護委員会)の基本的な考え方は、

1. 急性傷害など細胞の死による臓器の損傷、すなわち、しきい値を超え、『確的影響』を及ぼすような高線量の放射線被ばくは、たとえ結果が命に及ばないとしても一切認めない。

2. 問題は『確的影響』とは違う『確的影響』である。がんや遺伝的影響など晩発傷害においてはしきい値はなく、どんなにわずかな被ばくでも放射線は人体に『確的影響』を及ぼす。絶対の安全は「被ばくゼロ」しかない。したがって、人間と原発などとの共存のためには、しきい値に代わる「社会的受容量」(がまん量)を定めておく必要がある。

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そこでICRPは、低線量被ばくにおける『確的影響』を念頭において、シーベルトという単位を定め、次の三ヶ条を、原発などを認める放射線防護条件としました。

放射線防護の三原則

《正当化の原則》不必要な被ばくは、いかなる場合も認めない。『益』が『害』を上回るときのみ認められる。

《最適化の原則》絶対安全は「被ばくゼロ」しかないのだから、可能な限り被ばくのレベルを下げるよう、目標値を定めて努力する。

《線量限度の原則》…目標値とは別に、集団の誰一人として超えることがないよう被ばく限度値を定め、セーフティーネットとすること。

これらの原則は、現在、あろうことか当のICRP委員たちによって形骸化されようとしています。一方でICRPに対する批判も渦巻いています。

学習会では、ICRP1960年代から1970年代にかけて打ち立てた基本的な考え方を、復習してみたいと思います。

(問題提起:田島直樹)

 42回被ばく学習会

文京区アカデミー茗台・学習室A

地下鉄丸の内線「茗荷谷」駅下車、改札を出て右折、

春日通りを右へ徒歩8分、茗台中学校と同じビル隣りの

入口から7階へ

225日(日)午後 1 時開場 1 15分~5 15

資料代:700 予約anti-hibaku@ab.auone-net.jp 

電話:090-3577-4844 温品(ぬくしな)

放射線被ばくを学習する会 http://anti-hibaku.cocolog-nifty.com/

 

 

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