2017年4月13日 (木)

「白血病は原発のせいじゃない?!」4.2学習会報告(その3:吉田由布子さん、問題提起)

3人目の講師は吉田由布子さん(「チェルノブイリ調査・救援」女性ネットワーク)。

原爆症の認定基準についてお話しいただきました。

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被爆者援護の制度(スライド資料2頁)

 配付資料1頁の年表にあるように、12年間は被爆者に何の援護もなかったのです。1957年に原爆医療法ができ、徐々に支援策が追加されました。被爆者、支援者、世論、裁判などの中で勝ち取られてきたのです。

 1995年に(現在の)被爆者援護法ができましたが、その前文には「被爆者が受けた放射能による健康被害という、他の戦争犠牲者には見られない『特別の犠牲』に着目し、国の責任において、医療の給付、各種手当の支給等、総合的な保健・医療・福祉施策を講じている」と書かれている。

 被爆者健康手帳を持っている方は、健康診断が行われ、希望すればがん検診もできる。医療保険の自己負担分はほぼ国費で補填される。一定の要件をもって、健康管理手当が支払われる。一定の疾病にかかっている人ですが、原爆の影響によるものでないことが明らかな場合には、不支給。

 今日、話題になっているのは医療特別手当。いわゆる原爆症という、「放射線との因果関係がある」と認定されるかどうかが原爆症の認定基準にかかわってくる。

健康診断と疫学調査(スライド資料3頁)

S_20170402yoshidaslide3  被爆者健康手帳を持っている方は2012年の段階で約20.2万人ぐらい。その中から放射線影響研究所の中で検査(寿命調査 LSS)を受けている方が12万人、さらにそのうち約2万人が成人健康調査(AHS)を受けている。被爆者健康手帳の他に、健康診断受診者証など、あとから制度を広げることも行われている。

 死因やがんの疫学調査は、手帳を持っている人全体ではなく、12万人のコホートについて行われている。

原因確率の導入(スライド資料4、参考資料)

 2001年に厚労省が原爆症の認定基準に「原因確率」を取り入れた。甲斐倫明氏の資料によると、「原因確率」は、

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で計算され、疾病、被ばく時年齢、被ばく線量により異なる。

認定にあたって、厚労省は、

1)原因確率が概ね50%以上:原爆放射線の影響の可能性があることを推定⇒認定

2)概ね10%未満:可能性が低いものと推定⇒認定却下

3)10%以上50%未満:個別判断

と定めた。

「原因確率」の実態(スライド資料5)

S_20170402yoshidaslide5  これは男性胃がんの原因確率の表ですが、50%を超えるのは6歳までの子が1000センチグレイ(=10Sv)以上被曝したときだけ。そうすると10グレイ浴びても生き残って胃がんになれば間違いなく認定されます、というとんでもない話で、みんな死んでしまう。

 1.4キロ以遠だと子どもでも10%以下なので、原因確率をあてはめると、認定されるのは非常にむつかしい。

審査方針の見直しへ(スライド資料6)

 原因確率の考え方に対する批判が高まり、認定却下された人たちの集団訴訟で国の敗訴が続いたことから、「原爆症認定審査の在り方に関する検討会」で審査方針の見直しを論議することとなった。

検討会と与党プロジェクトチーム(スライド資料7)

 ほぼ放射線の専門家が委員となって検討会が開かれた。これと平行して、当時の第1次安倍内閣の与党だった自民党・公明党のプロジェクトチームも、認定基準見直しの検討を開始しました。

与党プロジェクトチームの考え方(スライド資料8)

 与党の考え方は、「これまで厚生労働省が行ってきた認定行政に対し幾多の裁判例、世論より厳しい批判が出された、と。現実的救済につながっていない今の「原因確率論」を改めるべきだ、と。現実的救済措置を実現するために、次のように提案したい、と。」

二つの見直し案(スライド資料9)

 ここで二つの案が出たんですが、専門家が中心の検討会の方は、「原因確率を放射線影響の判断の目安として使うことは合理性があり、適切に用いるべきである」。

 一方、自民・公明のプロジェクトチームは、「がん、白血病などの典型症例において、爆心地から一定区域(約3.5 キロメートル前後を目安)以内で被爆した者等については、積極的かつ迅速に認定を行うこと、それ以外の被爆者についても総合的に個別審査を行うこと」を提言しました。

 両方とも、2007年の12月に出されたが、「検討会」の報告は従来の認定制度の考え方を踏襲したもので、被爆者団体から大きな抗議・批判があがった。政府は、その時は福田内閣だったんですが、与党プロジェクトチームの提言をほぼ受け入れる形で認定審査の新方針を決定しました。

2008年の見直し(スライド資料10)

 2008年3月から、「放射能の影響による」と積極的に認定する範囲を「被爆地点が爆心地から約3.5キロ以内である者、原爆投下より約100時間以内に爆心地から約2km以内に入市した者、原爆投下より約100時間経過後から、原爆投下より約2週間以内の期間に、爆心地から約2km以内の地点に1週間程度以上滞在した者」は積極的に認定しましょう。

 対象疾病としては、悪性腫瘍や白血病など、格段に反対すべき事由がない限り、申請疾病と被ばくした放射線との関係を積極的に認定する、という形に変わった。

距離と被ばく線量(スライド資料11) S_20170402yoshidaslide11 3.5キロなんですが、これは距離と被爆に関する厚労省の見解です。配付資料の2~3頁に大きい図を載せています。下の方に、わざわざ「一般公衆の線量限界:放射線従事者でない一般人が許容できるとされる被曝量(年間)」と書いている。その一般公衆の線量限界は1.0ミリシーベルトで、それに大体相当するのが、ヒロシマの場合は3.25キロであると書き、ナガサキの場合は3.55キロであると説明しています。

 実際には距離からだけでは個人の被曝量は推定できないわけで、よく批判があるように、内部被ばくがほとんど無視されている、ということもあります。初めに線量ありき、なので、その人がどういう症状があったかというのは、どちらかというと見ない。何か症状があっても、こんな線量だから放射線のせいとは考えられない、というところから始まってしまうので、自分たちが考える線量と放射線影響という見方では、なかなか因果関係が認められない。

 この距離で1ミリシーベルトだよ、というのは、国がそういう推定をしている。それが正しいかどうかは別だが、国としてはそういう推定をした。それで3.5キロが導き出されている。

(スライド資料12)

S_20170402yoshidaslide12  2002年に出された被曝量の評価DS02で見ると、4キロの地点になると、ヒロシマでは0.05mSv、ナガサキでは約0.2mSvとなっている。しかし被曝地域とされた地域は、3.5キロの中だけとか2キロの中だけということはなくて、もっと広い範囲なので、そこにいて被ばくした人は申請して被爆者健康手帳をもらえるという権利は持っている。

波及への懸念(スライド資料13)

 この審査方針が出たときに、これが他の被ばくによる健康問題に影響を及ぼすと困ると思った委員がいた。この方針案を審議して了承したんですが、原子爆弾被爆者医療分科会議事要旨(2008年2月25日)に、誰とは書いてないんですが、「この認定の方針は、つまり放射線との因果関係を積極的に認めるというのは、『原爆被爆者に限定する』ということですよね。他の戦争犠牲者との公平性も考えないといけない。これは様々な分野において放射線に被曝し、疾患が起こる可能性や、放射線診療による医療被曝の結果で、2次がんが発生するといった可能性もあるけれども、原爆症認定の審査方針がそのような他の分野に影響を及ぼすことが非常に懸念される」ことが委員から述べられたと書かれている。

 それは労災ということもありますし、福島原発事故の後の一般の私たち、被曝や健康にどういう対策を取るかということに非常に影響を及ぼしてきたと思います。

認定却下が続く(スライド資料14)

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 基準は改められたんですが、その後も却下が非常に多い。

(スライド資料15)

 被爆状況や疾病別の認定状況で、上が認定件数、下が却下件数なんですが、例えば3.5キロ以内の直接被爆でも非常に多くの人たちが却下されている。

(スライド資料16)

20170402yoshidaslide16  申請疾病別の却下理由としては、「放射線起因性が認められない」とか、「要医療性」も要件になっているので、「いま医療にかからなくても大丈夫だから」みたいな理由もある。新しい基準ができて、もっと認定されるであろうと思ったが、そんな風にはいかなかった。

再度の見直し結果(スライド資料17)

 そこで、認定制度の在り方を再度見直すことになりました。この見直しが2010年から始まったが、3回目が2011年3月17日に会議が入ってましたが、中止になった。その後再開されました。今度は委員の中に放射線の専門家だけじゃなくて、行政や被爆者団体の代表も入っているが、2013年12月に検討会の報告書がまとまりまして、非がん疾患、がんではない疾患の認定基準見直しが行われました。

 心筋梗塞など「非がん」の3疾病から「放射線起因性が認められる」という条件は削除されたが、一方、爆心地から被爆地点までの距離の条件は、現行の「約3.5km以内」から「約2km以内」に狭まってしまった。白内障は加齢によるものと区別するために「約1.5km以内」とより厳格化されてしまった。逆行状態になってしまった。

被団協の抗議(スライド資料18)

 これについて被団協は同日、抗議声明を発表しました。「この検討会が本来法律の改正を伴う認定制度の抜本的な改善を目的としていたにもかかわらず、その課題を認定基準問題に矮小化し、司法判断と行政認定の乖離を解決しないまま、現状をより後退させる点に根本的な問題がある」という抗議声明を発表しました。

放射能影響判断の基準(スライド資料19)

 私も先ほど言いましたが、ある疾病が放射線被ばくの影響によると考える、あるいはそれを補償する際の基準となる被ばく線量について、原爆被爆の場合には、一応3.5キロの地点で、国は大体1mSvに当たると決めた。ところが同じ放射線被曝でありながら、労災についてもそうですし、福島以降の被ばくについて、どのような保健対策が行われるかというときに、福島県内の県民健康調査のみにお金が出ているだけで、ほかの県には出ませんし、年間20mSvで帰還を強制するような形になっている。福島原発事故以前も、他の問題に波及したらどうするんだというようなのがあったんですが、福島原発事故以降、顕著になって、複雑化しているな、と思います。

放射能影響を否定しきれない病気(配付資料の最後の頁)

 原爆被爆者とチェルノブイリ・ウクライナの、被ばく関連対象疾病比較表を載せました。健康管理手当の対象疾病なんですが、健康管理手当というのはどういう定義かというと、これも厚労省の定義ですが、「放射線の影響を完全に否定しきれない疾病にかかっているため、日常、十分に治療を行う必要があり、そのために必要な費用に充てる」という趣旨になっている。

 その病気として、少しずつ増えてきたが、造血機能障害を伴う疾病、再生不良性貧血や鉄欠乏性貧血など。肝機能障害を伴う疾病、細胞増殖機能障害を伴う疾病(悪性新生物など)、内分泌腺機能障害を伴う疾病(糖尿病、甲状腺機能低下症など)、脳血管障害を伴う疾病(くも膜下出血、脳出血、脳梗塞など)、循環器機能障害を伴う疾病(高血圧性心疾患など)、腎臓機能障害を伴う疾病(慢性腎炎など)、水晶体混濁による視機能障害を伴う疾病(白内障)、呼吸器機能障害を伴う疾病(肺気腫など)、運動器機能障害を伴う疾病(変形性関節症など)、潰瘍による消化器機能障害を伴う疾病(胃潰瘍、十二指腸潰瘍など)。

 これらは、放射線の影響を完全に否定しきれない病気にかかっていて、そのために日常、健康上の治療を行う必要があるという趣旨で、健康管理手当が支給される。放射線の影響によらないことが明らかな場合には、手当は支給しないが、そうでない限り支給される。

 右にチェルノブイリの事故による、放射線や他の要因により被災した成人住民に生じる可能性のある疾病リスト。成人とこどもと、両方リストありまして、これはOurPlanetTVの白石さんがウクライナで入手された物ですが、ほぼ、原爆被爆者の疾病と同じ。血液と造血器官の疾病、慢性肝炎、悪性新生物、甲状腺の疾患、脳関連の疾患、循環器系の疾患、白内障や呼吸器疾患、消化器疾患。ちょっと変わっているところもありますが、原爆の方になくてチェルノブイリの方にあるのは、脳の器質的損傷による精神障害、神経系と感覚器の疾病等々。

 子どもさんのはもう一つ別にある。

 さまざまな病気を「放射線との関連を否定しきれない」と言いながら、原爆症認定、労災、福島原発事故以降の住民の健康等々については、自分たちで作った、放射線を浴びた人たちへの特別の法律が、まったく活かされていない、というのが現実だと思います。ダブルスタンダード、トリプルスタンダートになっています。活用できるものは活用していくべきではないかと思います。以上です。

放射線起因性に関する問題提起(温品惇一)

 吉田さんへの質疑の最後に、被ばくによる健康影響評価について、温品から以下の問題提起をしました。

 資料はこちら(9頁~ )

 動画はこちら

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http://csrp.jp/csrp2016/images/portfolio/slide/LEURAUD-J.pdf
注:CLLは慢性リンパ性白血病 RBMは赤色骨髄 

 例えば白血病の場合、原発労働者の国際調査(INWORKSでは、1Gy(=1㏜)被ばくすると白血病死亡率が3倍増えると報告されています。

 20mSv被ばくすると、追加被ばくゼロ(=自然発生)の場合の白血病死亡率の6%増える、という計算になります。

 話を簡単にするために、自然発生の白血病死亡率を1万人当たり100人と仮定します。

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 被ばくしていない人1万人を調べると、100人が白血病で死亡するという仮定ですが、20mSvずつ被ばくした人1万人では、6%増えて106人が白血病で死亡します。被ばくで白血病になったのは、増えた6人だけでしょうか?

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 1万人が20mSvずつ被ばくすれば、ほぼ全員の白血病リスクが平均6%高くなり、その結果、106人が白血病になったわけですから、106人全員が被ばくの犠牲者です。被ばく影響は6人だけではなく、106人全員です。

次回学習会は5月13日「内部被ばくはこうして隠された」

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文責:温品惇一

2017年4月10日 (月)

白血病は原発のせいじゃない?! 4.2学習会報告(その2:海渡雄一弁護士)

 続いて、海渡雄一弁護士のお話です。

 資料はこちら
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福島甲状腺検査の大問題
Photo_4  311甲状腺がん子ども基金の副代表理事を務めてます。
 資料8頁の最後から、3月30日NHKのニュースをそのまま流し込んでおきました。
 この情報の、驚くべき点は2つある。
 一つは、今まで4歳以下の人がいないから、因果関係が否定できるんだと言っていたのに、(4歳児にも見つかって)因果関係否定の大きなポイントが崩れたこと。
 
 もう一つ、すごく重要なことは、福島県の甲状腺がんは正確に報告されているものと思っていたわけですけれども、非常に大きな穴があった
 9頁の真ん中あたり、「県や県立医科大学は「報告の対象は二次検査までにがんやがんの疑いと診断された患者で、二次検査で継続して推移を見守る『経過観察』とされたあとにがんと診断されたり、別の医療機関に移って、がんが見つかったりした患者たちを・・・報告していない」と説明しています。
 危ないと思って経過観察するのに、がんとわかっても発表されないのは驚くべきこと
 NHKの報道に一つだけ難点があるのは、経過観察に回された人が何人いるのか、2500人いるんです。2500人の内、最終的に何人ががんと診断されたのか、これから確認していかなければいけない。

 これがバレても、なんら悪びれもしないで「そういう仕組みになっておりますから」、「経過観察になったら、保険医療の範囲に入っていますから、医療情報保護の問題で発表できません」。言い訳まで考えてあったかのように、そういうことまで言い出していることが驚くべきこと。
 11頁を見てもらうと、「県立医科大学で甲状腺検査の責任者を務めた医師は(これは鈴木さんのことでしょうが)、NHKの取材に対して『二次検査のあとの経過観察でがんと診断された患者の多くが、その後も県立医科大学で治療を受けているが、全員を網羅しているわけではない。公表によってかなり恣意的なことが起こるので慎重にするべきだ。」
 どういう意味ですか、これ? いま(小児甲状腺がんが)200人でも多いと思ってるのに、もしかすると何倍にもなるかも知れないという、恐ろしい事態になっているわけです。
 最後の4行がまた恐ろしくて、「福島県県民健康調査課は『検査の後の経過観察などで、がんが判明した場合、公表データに入らないことは承知している。」
 最初から、隠すことになってました、ってわけですね。
 「そういう患者がいる可能性はあるが、個別のケースは把握していない。委員会の議論を踏まえて、今後、公表を検討することになる』と話しています。」
 よく言うよね! 

 たまたま4歳で甲状腺がんになった人が「こども基金」を訪ねてきてくれたから、こういう隠されていることが明らかになったが、「子ども基金」をやってなかったら、ずっと隠されていたかも知れない。
 今日は被ばく問題を学習しようという人が集まっているわけでしょ。参加者でNHKのこの番組見た人何人くらいいますか?(挙手) 10人もいないよね。日本全体では全然知られていない。必死になって知らせていかなければいけない状況だと思います。

100mSv超えないとがん検診しない!
 もう一つ、忘れちゃいそうなんで、健康管理手帳の話。レジメの6頁の6 被ばく労働者の継続的な健康診断。
 2011年10月、福島原発事故の半年後に、長期健康管理の仕組みを一応作った。50mSvを超える人は手帳の交付を受けられるが、がん検診は100mSvを基準にしている。これが167人。白血病の労災認定基準は5mSvなんです。白血病の労災認定基準を超えてる人は、当然、がん検診を無料にすべきだと思う。こんな当たり前のことがなぜできないのか! 3.11の事故が起きた後からずーっと言い続けているんですが、未だに実現していない問題の一つです。
 
危険手当ピンハネ責任追及訴訟
2  レジメの最初に戻ります。6頁の4項「危険手当の直接支払いが必要である」。
 (2014年に危険手当について東京電力、元請け、下請け会社を提訴しました。)
 東電から6次下請けくらいまであるんだけど、裁判で「お前のところは労賃いくらもらっていたのか」聞くと、初期は危険手当が3万円とか5万円とか出てたけど、最終的に1万円払われていれば良い方で、数千円みたいな状態になっていた。
 中間でピンハネする率が、会社によってまったく違う。これは驚くべきことで、1社で3万円くらい抜いてるところがあったり、「うちはほとんど抜いてません」と言うところもあったり。それがどうして、というところまではまだ解明できてません。

海渡さんの本「原発訴訟(岩波新書)」
Photo  この本は、原発の差し止め訴訟のこと、福島原発事故のことも一生懸命書いたんですが、第4章は「被曝した労働者、住民たち」という章になっていて、僕が今まで担当してきた浜岡の労災で亡くなった嶋橋伸之さんのこととか、石川島播磨で働いていて肺がんになって労災申請した、これは認められなかったケース、JCO臨界事故の事件、それから、僕が担当した訳じゃないですけど、長尾労災事件の経過などもまとめています。

浜岡原発・嶋橋さんのケース
 浜岡の嶋橋さんは9年くらい、浜岡原発の圧力容器の直下で、圧力計とか温度計を取り外して、検査して、そこにまた再装荷する作業をしていた。相当危険性が高い部署だと思うんですけども、僕は同じ場所に入ったことがあるので、どんな場所か分かりますけど、ものすごく狭いんです。立ち上がることもできない。
 おそらく、取り外し作業は定期検査で原子炉を止めた直後くらいだと思うので、暑かったと思いますね。9年間で50.6mSv被ばくしたから、年間5mSvを超えている。慢性骨髄性白血病で労災申請。申請した当時は、日本の原発史上初めてだと思って申請した。そしたら、1件前にあった。1991年、富岡で労災認定がおりていたことを国が公表した。
 あともうひとつ、嶋橋さんと同時に、1994年7月に神戸西で、72mSv被ばくで急性骨髄性白血病。
 白血病関連で労災認定されているケースは、3.11の前に5件くらいある。

白血病以外の労災認定基準は100mSv
 レジメ6頁の最後、「7 ガンなどについても・・・」にあるように、骨髄性白血病やリンパ性白血病は5mSvという基準があるんですが、7頁に「放射線被曝労働に起因して発生すると考えられる疾病」としていろいろ病名が挙げてありますが、例えば再生不良性貧血なんか、線量の基準がない。白血病を含む6疾病だけ基準を定めていた。
 その後、2012年9月、胃がんなどの基準は100mSvと決まっちゃってる。公衆被ばくの1mSvを撤回させて20mSvを、という話がありましたが、労災認定基準も5mSvを撤回させて100mSvへ、という流れがあるような気がします。白血病以外の人の救済は非常に困難になってます。肺がんの認定基準はまだないと思います(2015年1月、100mSvと決定されていました甲状腺がんの基準も100mSv)。

石川島播磨の場合
 もう1件、僕が認定申請したのは肺がんだったんですが、記録されている被ばく量が2.9mSvだったので、内部被ばくしているんじゃないかと。当時、原発の内部がプルトニウムで汚染されていたことが内部告発で明らかになっていたので、被ばく線量がいくらになるか計算までして争ったんですが、認められなかった。

 この方は、原発労働者と言っても下請け労働者ではなくて、石川島播磨の正社員の方で、応力腐食対策のために配管を取り替える作業をする、その時に現場で配管を切る作業をやって、入ったのは数回しかないんだけど、その時にプルトニウムのエアロゾルを吸入したんじゃないか。
 彼の場合は、煙草も一切吸わないし、遺伝性もないし、肺がんは絶対に被ばくのせいだと奥様は固く信じておられて、一生懸命争ったんですが、認められなかった。
 被ばく労働したときの記念写真が残っていた。半面マスクだったので、吸い込む可能性があると主張したのを覚えています。
 白血病については一定の救済が図れるんですが、それ以外の、いま大量に被ばくしている人たちが、甲状腺がんや白血病は割と早く発病しますが、肺がんだとだいぶたってから、長い潜伏期間があってから発症してくる。そして、もともと母数が多いですよね。煙草なんか吸ってるとそのせいにされる。この人たちが、多発しているようながんにかかった時に、労災で救済される道は、非常に厳しいのではないか。今のうちに・・・しておかないと大変なことになってしまうのではないか。

あらかぶさん
 Photo_4   今回、損害賠償裁判を起こしたのは九州の方。原発労働者のかなりの方が福島に住んでると思うんですが、彼の場合は鍛冶職人。震災があって、福島がひどいことになってる、と。自分の専門を活かして何か復興のお手伝いができないかと考えてた人なんです。非常に義侠心がある。
 知人に働いてくれないかと言われて、家族は泣いて止めたと言ってました。「あぶないから行かないでくれ」と言ってね。でも、俺が行かないでどうするんだ、みたいなことで行ったということです。
 彼が働くのをやめたのは、危険手当がちゃんと払われないことにものすごく憤りを感じていたから。彼は労働者を率いて行った、親方みたいな人で、グループで引き上げてきた直後に白血病になってしまった。
 玄海原発で働いたこともあるが、福島原発では、当初は2011年10月頃、第2原発で働いていた。2012年1月まで4号基の耐震化工事などもやっていた。玄海で4mSv、2012年10月~2013年3月まで、2013年5月~10月まで全部合計で20mSvくらいの被ばくをしています。
 引き上げてきた直後に白血病と診断され、抗がん剤治療、骨髄穿刺をして、基本的には寛解状態。もちろん再発する可能性はあるが、一応収まっている状態。相当過酷な治療だったこともあって、「死んじゃうんじゃないか」という恐怖のなかで「うつ病」になり、白血病とうつ病の両方について労災認定がおりている。
 労災認定が割にスムースに認められた背景に、元請けの鹿島が一生懸命情報を集めてくれて、労災申請に協力してくれた。浜岡の場合は、下請けも元請けもまっかく非協力で、本人のノートと放射線管理手帳だけで闘って、あとは労災審査官が調べに行ってくれて、何とかなった。

あらかぶさん裁判の見通し
 まだ、「争う」という答弁書が出ただけで、どういうふうに争うのか、明白なものは出ていない。レジメの8頁、「2 訴訟の争点」に争点になりそうなこと、訴訟の意義については1項に。「福島原発事故の収束労働で労災認定を受けた労働者が初めて起こした訴訟である」ということ、「認定された労災は白血病とうつ病」、そして「原子力損害賠償法に基づいて訴えている」ということ。
 みなさん、ちょっと考えてみてほしいんですが、東京電力がこの事故の損害賠償で払った総額は何兆円にもなっている。いわゆる経済的な被害、風評被害みたいなものにも賠償金が払われている。かなり離れた地域の観光客が減ったなんてことにも払われている。実際に損害が起きているわけだから賠償金払うのが悪いと言ってるわけではないんですが、復興の助けになると思って行って、これだけの被ばくをした事実があって、それが労災認定の基準をはるかに上回っていて、1年くらいにわたって審議会の委員の審査を受けてほかに要因がない、ということがちゃんと確かめられている。
 白血病の場合にも、遺伝性であったり、ウイルス性であったり、そういう要因があるかどうか調べられる。ほかの要因はないんです。ただ、病気がなぜ発症したのか、確実に1:1の関係で立証することは不可能。およそ無理。だけども他の要因はない。被ばくしていて、労災認定されている。従って、業務起因性がある。業務に起因していると認めること。労災に認定しておきながら、わざわざ、厚労省が「これは科学的に因果関係が認められたものではない」と余計なことを付け加えて、東京電力は一切賠償義務を負わないと言い張っている。真っ先に賠償しなければいけない。訴訟を起こされる間もなく、「本当に申し訳ないことをしました」と言って、賠償金払ってもいいケースじゃないかと思うが、あくまでも放射線被ばくによって健康被害が生じたわけではないんだ、甲状腺がんの因果関係を否定しているのと同じような「放射線被害はなかった」神話を守り抜くために犠牲にされていると考えるべきじゃないかと思います。
 このケースで勝てるかどうかは、世の中一般の人がどう思うかが重大。この件で訴訟を起こそうとしていたときに、新聞報道された東京電力のコメントが途中で微妙に変わった。そのへん、なすびさん、ちょっと調べてもらいたい。要するに、「一切関係ない」と言ってたのが、途中から「お見舞い申し上げます」みたいなこと、言い始めた。一切因果関係ないと言い張ることが、東京電力が何兆円も賠償払っていることは知れ渡っているのに、甲状腺がんになっている子どもたちと、原発で働いて白血病になった人には1円も賠償金払ってない、てことなんです。
 甲状腺子ども基金を僕らがなぜ作らなければならなかったか。東京電力は彼らには一銭もお金払ってない。
 なすびさん:さっきの話なんですが、「お見舞い申し上げる」は、最初の厚労省のプレスのとき言ってる。「コメントする立場にない」と言った後に、「作業員の方にお見舞い申し上げるとともに、作業環境の線量低減に努め、被ばく管理を徹底していく」、極めて一般的な物言いをしています。
 変わったのは、提訴するというのが新聞に出たときに、「訴状が送達され次第、適宜適切に対応」(笑い声)。ニュアンス変わりましたよね。
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 海渡さん:僕の予想では、おそらく「因果関係はないんだ」という答弁書が4月27日の法廷に出されるんじゃないか。これに対して、こちらがどう立証していくかが、大問題。この辺は実は吉田さんに、全面的にご協力いただいて、低線量被ばくの危険性について、大議論しなきゃいけないと思うんですが、僕はまずもって重要と思うのは、どの程度の線量の被ばくをしたのか、実は正確には分からない。事故の後の混乱で、APD(警報付きポケット線量計)をチームの中で一人しか持っていなかったとか、ピーピー鳴るので止めていたとか、言っている。
 もう一つは、あの当時、地域全体が被ばく地域になっていて、しかし線量を測り始めるのは作業を始めるとき。日常的に、福島のあの地域で暮らしているだけで被ばくしていた部分は、被ばく量から落とされている。
 内部被ばくも落とされている。2mSv以下の被ばくは一切無視する仕組みになっている。2mSv以下はゼロという評価になってしまう。もしかすると、アルファ線やベータ線核種を吸い込んでも、測れない。測れない内部被ばくもかなりあったのではないか。
 あとは白血病の専門家の方に、ほかの要因が考えられない以上、相当な因果関係があるんだということを、きちんと医学的に論証してもらう。
 8頁にINWORKSのデータを書いておきました。かなり最近の、労働者の白血病の死亡リスクが、高線量の領域と同じような比率で、低線量でも増加していることを示すデータなんですが、こういうものもきちんと紹介しながら、争っていきたい。
 この訴訟の意義(8頁3項)。実際に原発事故の収束労働をやって、かなり高い線量の被ばくが起きていて、それが健康被害をもたらしているんだ。それ自身を政府も東電も否定し始めているわけですから、それをはっきりさせることが重要。こういうケースが報道されて救済されることになれば、類似事例の発掘にもなるのではないか。もう少し時間が経つと、白血病だけじゃなくて、肺がんとか胃がんもいっぱい出てくる可能性がある。そういうのは泣き寝入りになっていく可能性が非常に高い。そういう意味でも、この裁判をやっていく意味は非常に大きい。

下請け構造こそ、基本的な問題
 もう一つ、被ばく労働の実態で解明しなければいけないこと。5頁(3項 雇用の保障が必要)に書いておきましたが、被ばく労働で一定の線量になると自動的に首になってしまう。だからこそ被ばくを隠そうとする。ちゃんと被ばくを記録していって、一定の線量になれば被ばく労働から外れて、別の労働が提供されるということが必要。
 そうするためには、一番根本的に言うと、下請け構造をそのまま維持していくことに大きな問題点がある。これが3頁(第3)に書いたこと。2013年だったと思いますが、ウクライナに行って、原発労働者の話を聞いた。日本と顕著に違うと思ったのは、当時チェルノブイリで働いていた労働者はみんな国家公務員だった。社会の中のエリート。学歴も非常に高い。その人たちが命をかけて原発事故の収束に当たって、たくさんの人が死んだ。生き残った人たちは「仲間の死を無駄にするな」、自分たちの健康を守りたいと思って、必死になって労働運動をやるなかで、さまざまな健康補償、生活補償を勝ち取った。それがチェルノブイリ法なんです。もちろん住民も対象にしていますが、一番基本は、あの時期に原発労働を闘った人たちの、労働運動の成果なんです。労働者だけが補償されるのはおかしいってことで、住民にも補償を及ぼそうとして、あれができた。
 日本の場合、原発労働者が自ら権利を守るために闘って制度を勝ち取るという契機が非常に弱い。なすびさんが一生懸命やってくれているのはよく分かってるんですが、労働者そのものが主体たり得ていない。下請け構造によって温存されていて、それが結局変わらなかった。今も変わらないで、原発事故収束労働が下請け構造のなかで行われているということが、根本的な問題。
 夢物語と思われるかも知れないが、ソヴィエトでできたことがなぜ日本でできないのかと考えてみてほしい。原発事故収束作業は国家的プロジェクトなんだから、公務員がやるべき。公務員としての権利が保証されている人にちゃんとやってもらいましょう。東京電力による直接雇用でもいいが、そういう制度でやるべき。
 原発事故収束作業に働いた労働者の銅像みたいなものを福島県内にいっぱい建てた方がいい。チェルノブイリにはいっぱいある。自分たちの危機を救ってくれた人だと分かっているのでみな拝んでいる。そういう取扱いをする必要がある。「ウクライナの例で言えば、チェルノブイリ法における対象被災者は、合計213万人、そのうち、直接事故処理従事者は24万人」。日本で(福島原発事故後の)継続的な健康管理の対象にされたのは200人(167人)だよ。これ、おかしいでしょ! どこか、根本的に誤っている。
 こういうことを言ってるのは僕だけかというと、そうではない。レジメの4頁。白井聡さんが書いた「永続敗戦論」の中に「原発事故収束労働が多重下請の労務構造によって担われているのは、まさに<無責任の体系>だ」と書いている。原子力委員会も驚くべきことを言っている。「作業者の確保や技術レベルの維持が重要課題であることにかんがみ、(国及び東京電力(株)は、)上記のような取組を長く進めていくに当たって、今後とも、二次、三次の下請けといった従来型の雇用形態で作業者を確保することが適切かどうかも含めて検討し、雇用形態の在り方に関して新しいビジョンを定め、その実現に向けて取り組んでいくべきである」(2012年11月27日『東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置に向けた中長期にわたる取組の推進について(見解)』)。

被ばく労働の管理責任は電力会社にある
 レジメ4頁2項。被ばく労働の管理責任は電力会社にある。東京電力は、何かあると「それは下請けの会社がやっていることです」と逃げる。責任体制を明確にし、雇用の保証をきちっとする。そうしないと被ばく隠しが横行したままになる。

 6頁4項の「危険手当直接支払い」。東京電力は「下請け会社がやっていることで、どうにもなりません」と言うが、環境省がやっている除染作業は、ちゃんと末端作業者に払われている。環境省がそういう風に支払えと指示しているから。作業を発注するときの仕様書に書いてある。東京電力だって国みたいなものだから、作業賃はほとんど国から出ているわけで、いくらでも方法はあるはずだと思う。元請けとの契約の段階で明確にすればいい。未だに危険手当がピンハネされたままというのは、誰かにとって都合が良いんです。そういうことによって潤う人がいる。
 こういう状態を何とか変えたいということで、2014年にいわき市で提訴した。第2次、第3次と追加提訴していて、けっこう大変な事件になっている。福島のいわき地裁で係争中。

 5項が「事故直後の混乱状態における記録再現を含む正確な被曝量の記録の徹底」。これが全然されてない。

 6項「被曝労働者の継続的な健康診断と前駆的な症状からのケアの保障」は、なすびさんが詳しく話してくださったが、どう考えても、白血病については5mSvで労災認定するとなっているのに、その人たちの健康診断が義務づけられていないのは異常です。がんの検診、100mSvですよ。事故前は基本的に年間被曝線量が5mSvを超えないようにやっていた。100mSvなんて、通常あり得ない。事故によって、被曝管理が無茶苦茶ずさんになったことがこのような健康管理の指針からはっきり示されている。

 それから7項、労災認定の基準を5mSvに統一することが非常に重要な課題です。事故が起こった直後から言ってたんだけど、残念ながら2012年に、胃がんなどの基準100mSvが出ちゃったんですが、撤回を求めていきたい。100mSvだったら、認定はむつかしい。100mSv超えている人なんてほとんどいないし、これまで白血病で労災認定されている人で100mSv超えている人は一人くらいしかいなくて、あとは数十mSv。そういう状況からしても、100mSvは暴挙だと思います。
 ご静聴、どうもありがとうございました。
文責:温品惇一
その3(吉田由布子さん、質疑)へ(準備中)

2017年4月 7日 (金)

「あれから6年・・・放射能はいま」

No.1 2017.2 あれから6年・・・放射能は いま
No.2 2017.4 わずか6年で事故前の23年分を被ばく(柏市)
     
     
     

20mSv法制化に向け、放射線審議会の権限強化法案が成立!

 放射線審議会の機能強化を含む法案「原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律案」が2月7日、国会に上程され、4月7日に成立しました

放射線審議会の権限強化
 この法「改正」は原子力規制委員会の提言により内閣が提出した閣法で、改正案はこちらに掲載されています。一番最後に提案理由が書かれています。
 「国際原子力機関の勧告等を踏まえ、我が国の原子力利用における安全対策の一層の強化を図るため、原子力事業者等に対する検査制度の見直し、放射性同位元素の防護措置の義務化、放射線障害の技術的基準に関する放射線審議会の機能の強化等の措置を講ずる必要]ある(ママ)」。

ICRP2007年勧告の取り入れ 
 放射線審議会権限強化の狙いは、ICRP2007年勧告を国内法に取り込むことです。
 昨年11月24日の毎日新聞が「同審議会が早急に取り組むべき課題には、新たな放射線防護の考えをまとめた国際放射線防護委員会の07年の勧告や、放射線を扱う人に対し眼球にある水晶体の被ばく上限の引き下げなどがある」と、的確に伝えています。
Mini_kiseityo3_kai  今年3月2日に開催された放射線審議会では、「ICRP2007年勧告の取り入れ」が「課題」とされています。原子力規制庁の担当課長補佐は電話問い合わせに「2007年勧告を取り入れるための機能強化」と明言しました(同じく3月)。

20mSvの法制化
 2007年勧告の眼目は20mSvの導入だと思います。
 現在の日本の法令はICRP1990年勧告を取り入れたものなので、公衆の線量限度は年間1mSvです。
 2007年勧告にある「緊急時」や「現存被ばく時」の20mSvは法令にありません。20mSv帰還の大きなウイークポイントです。

放射線審議会 権限強化がなぜ必要?
 1990年勧告を国内法に取り入れようとしたとき、放射線審議会は各省庁の諮問に応えるだけでなく、自ら提言する権限を持っており、7年間の審議を経てようやく改正案がまとめられました。
 翌1999年、乱立する審議会が政府の隠れ蓑になっていることに批判が高まり、審議会が整理合理化されるなかで、放射線審議会の提言権限をなくし、諮問に応え、意見を付加できるだけになりました。
 2007年勧告の国内法取り込みの審議は2008年に放射線審議会で開始され、2011年1月に第2次答申が出されましたが、福島原発事故でストップしてきました。
 2007年勧告を取り入れるには、11本もの関連法令の改定が必要のようです(国際放射線防護委員会2007年勧告の国内制度等への取り入れに係る審議状況について-第2次中間報告―」63頁)。
 関連省庁の足並みを揃えるには、諮問を待つのではなく、放射線審議会が率先して音頭を取る必要がある、と考え、今回の改「正」案上程に至っているようです。
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20mSv法制化をやめさせよう!
 20mSvが法制化されることは大問題です。一般公衆の「線量限度」年間1mSvが有名無実になり、被ばくを強いられます。

このお先棒を担いだのが、2.9読売新聞社説です。
 2月9日の読売新聞社説「放射線審議会 民主党政権時の基準を見直せ」は
「1ミリ・シーベルトの呪縛」と称して20mSv法制化を要求するとともに、飲料水の基準が「欧州は1000ベクレル/リットル、米国は1200ベクレル/リットルなのに、日本は10ベクレル/リットル」と間違った情報(米国は3.7ベクレル/リットル、欧州は8.7ベクレル/リットル)を元に、食品の放射能基準をゆるめるよう求めています。

 読売新聞社公開質問状への賛同を募っています(現在380名を超えました)。
 まだ賛同人になっておられない方、拡散していただける方は、よろしくお願いいたします。
  
・放射線審議会権限強化の問題はまだほとんど知られていません。
 このホームページをどんどん拡散してください。
  
眼の水晶体の線量限度引き下げ
 日本の法令では、ICRP1990年勧告に基づき、眼の水晶体の線量限度(職業被ばく)は、等価線量で年間150mSvとされています。
 ICRPは2011年のソウル声明で、眼の水晶体の等価線量に関して「5年間の平均が20mSv/年を超えず、いかなる 1 年間においても 50mSv を超えないようにすべきである」としました。
 3月2日の参議院予算委員会で、線量限度を直ちに引き下げるよう求める山本太郎議員の質問に対し、政府は放射線審議会での検討が必要としています。
 放射線審議会の権限強化が実現した場合、眼の水晶体の線量限度引き下げが真っ先に行われそうです(3月2日の放射線審議会)。

「原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律」には、放射線審議会の権限強化の他に、定期検査の変更なども含まれています。
  
・「改正案」の条文は非常に見にくいので、こちらのPDFをご覧ください。
 PDFの17頁、18行目の「第六条 放射線障害防止の技術的基準に関する法律(引用者注「技術的基準法」)の一部を次のように改正する」が、放射線審議会に関する部分です。
 「(技術的基準法)第五条第二項中「前項に規定する」を「放射線障害防止の技術的基準に関する」に改め」によって、放射線審議会の権限が、「諮問に応える」だけでなく、「放射線障害防止の技術的基準に関する事項」全体に拡大され、独自に調査・提言する権限が与えられます。
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以上

2017年4月 6日 (木)

わずか6年で事故前の23年分を被ばく(柏市)「あれから6年・・・放射能はいま」No.2

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ちらしはこちら

 福島原発事故から6年。私たちはいくら被ばくしたのでしょうか。
 各地の空間線量を測定し、事故後6年間の積算線量を計算すると、事故当初多かったヨウ素131など半減期の短い放射能による被ばくは別にして、外部被ばくだけでも深刻な状況が明らかになりました。

 

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例えば事故前の千葉県の空間線量は、文科省のデータによると年間0.28mSvでしたが、柏市の事故後6年間の積算線量は6.33mSv(下のグラフ参照)
 事故後たった6年間に、事故前の空間線量の23年分を被ばくした計算になります。
 熱海市網代駅周辺では8年分、
 北千住駅周辺、水道橋駅周辺では1014年分、
  江戸川駅・小岩駅周辺で17年分、
 取手駅周辺、三郷駅周辺、柏市では19~23年分に達しています。
 空間線量が低いとされる福島県いわき市でも20年分です。

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 セシウムによる事故直後の空間線量は今の3倍でした。
 6年間の線量を足し算すると今の空間線量の10.2年分。
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年分を足すと、6年間の積算線量になります。

以上

5.13第36回被ばく学習会「内部被ばくはこうして隠された」のお知らせ

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チラシはこちら

Photo_2 ヒロシマ・ナガサキでは、原爆投下時に市内におらず、投下後に駆けつけた人たちの多くも、下痢、脱毛などの症状を呈した後、亡くなりました(入市被ばく)。吸い込んだりして体内に取り込んだ放射能による内部被ばくの影響が大きいものでした。3月20日に亡くなった肥田舜太郎さんも強調していました。しかし日米両政府とも、いまだにこの内部被ばくを認めていません。

ビキニ環礁で行われた水爆実験では、第五福竜丸船員の被害だけが取り上げられ、他の992隻もの船員の被害は無視されてきました。

Photo 高橋博子さん(明治学院大学 国際平和研究所 研究員)は、戦後、ヒロシマ・ナガサキの被害報道を禁止した米国の対応を大学院時代から不審に思い、米国の公文書館に通い詰め、米国が多くの研究者を動員し術策を弄して原水爆による内部被ばくを必死に隠してきた事実を明らかにされました。ビキニ環礁水爆実験に関しても、日本政府が戦犯釈放と引き換えに、米国の責任を問うことなく、わずかな見舞金で決着させた疑いがあることを突き止めています。

 内部被ばくはなぜ、どのようにして隠されてきたのか、お話しいただきます。

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2017年4月 5日 (水)

白血病は原発のせいじゃない?!  4.2 第35回被ばく学習会の報告(その1)

 4月2日(日)午後の第35回被ばく学習会「白血病は原発のせいじゃない?!」は60名の参加で盛況でした。ありがとうございます。

 学習会チラシはこちら

 開会挨拶に続いて、共同代表の温品(ぬくしな)惇一から、3月30日のNHK-TVニュース7で報道された福島・甲状腺検査の問題点について報告しました。
 資料はこちら
 動画はこちら

Photo  甲状腺検査の2次検査で「悪性ないし悪性疑い」と判定された人数が公表されています(2016年12月31日現在185名)が、2次検査で「経過観察」になって「経過観察」中に甲状腺がんと診断されたケースは、甲状腺がんとカウントされていないことが明らかになりました。
 甲状腺検査に穴があったわけです。
 このカウントされていないケースは、事故当時4歳でした。
 しかも、甲状腺がんと診断したのは甲状腺検査をしている福島県立医大で(NHK-TV ニュース7放映)、2015年のことでした(OurPlanetTV)。
 福島県民健康調査検討委員会は2016年3月、「県民健康調査における中間取りまとめ」を発表、「事故当時 5 歳以下からの発見はないこと」を一つの根拠として、「これまでに発見された甲状腺がんについては、・・・放射線の影響とは考えにくいと評価する。」としていました。
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 検討委員の一員である大津留教授は「中間取りまとめ」の段階ですでに、4歳児の甲状腺がん診断を知っていたはずです。
 にもかかわらず、「事故当時5歳以下からの発見はないこと」を根拠の一つに挙げ、放射能影響を否定していたわけです。

「診療行為」が隠し幕
 4歳児のケースは氷山の一角です。
 これまで「検討委員会」は、2次検査の判定結果までを「守備範囲」とし、「手術」、「経過観察」などは「診療行為」として情報公開を拒んできました。
 今回のケースに関連して、県民健康管理センターは「経過観察中に甲状腺がんと診断された場合は、カウントしない」旨を明示しています。
 現状では、カウントされていない甲状腺がんが何例あるのか、何十例なのかも分かりません。県民健康調査の甲状腺検査を受けず、「枠外」で甲状腺がんと診断されている例もあり得ます。
 甲状腺検査システムの改革が必要です。

放射線審議会の権限強化と読売新聞社説
 放射線審議会の権限を強化し、20mSvなどICRP2007年勧告を日本の法令に取り込もうとする法案が3月23日、衆議院で可決され、参議院に送られています
 2月9日の読売新聞社説「放射線審議会 民主党政権時の基準を見直せ」はそのお先棒を担いで20mSv法制化を求め、飲料水のセシウム基準についてはまったく間違った数字を示して”日本の基準は欧米に比べて厳しすぎる”と主張しています。
 3月13日、327名の賛同をもって三度、読売新聞社への公開質問状を送付しましたが、回答がなく、学習会場でも賛同を呼び掛けました。 

原発労働者が置かれている情況
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 本論に入り、被曝労働を考えるネットワークのなすびさんから「原発労働者が置かれている情況」について、実に熱のこもったお話をしていただきました。

 資料はこちら
 動画はこちら

被ばく状況は改善されたか?
 昨年3.11が近づいた頃から、東電が盛んに「労働環境が良くなった」と喧伝し始めた。原発建屋周辺の空間線量率は10~100μSv/hはある。これが普通の労働環境と言えるのか? 敷地の大部分はタンク置き場なので1μSv/h程度。
 タイベック(保護服)、全面マスクを着用するかどうかは、表面汚染密度と空気中の放射性物質濃度で決まる。タイベックを着ないで済むようになったと言っても、放射線が来ていないわけではない。
 マスク、作業着などの区分については経産省ホームページ

労働条件は?
 被ばく管理と、いろんな意味での労働条件、それから賃金・雇用、これらは連関している。どれか一つでもまともなことをやってない所は、全部ダメ。
 東電の社長が割増賃金を1万円~2万円にすると言ったけど、いま給与明細に書かれるようになって、平均4000円くらい。
 法令違反がたくさんある。

頻発した労災事故
20170402nasubi5  福島第一原発での労災事故は2011年から2013年まで減少してきたが、2013年にオリンピック招致が決まり、汚染水問題が深刻になると、2014年、増加に転じた。
 2015年に国が乗り出し、東電も「工程優先」になっていたと認め、「長期ロードマップ」を改訂、労災が減少した。

被ばく線量は?
 事故直後から2016年3月まで5年間の被ばく線量は、250mSv超が6人、100mSv超が174人、50mSv超は2931人。
 電離則で被ばく線量の上限は5年間で100mSvと決められているので、5年経つと線量はまたリセットされてゼロになる。今は50mSv超の人はいない、ということになる。

被ばく労災の認定は3人
 福島原発事故後の被ばく労災認定は3人。
 1件目はあらかぶさんで、急性骨髄性白血病。1年半で約20mSv被ばく。
 2件目も急性骨髄性白血病。55.4mSv被ばく。
 3件目は事故時に中央制御室で対応に当たり、放射性ヨウ素で被ばくした東電の社員が甲状腺がんになった。

労災と認めたのに、「因果関係が証明されたのではない」
 あらかぶさんは年間5mSvなど、白血病の労災認定基準を満たしていたが、それでも家族の病歴など、細かいことでいちいちデータを求められ、担当医が音をあげるほどだったが、放射線以外に原因がないと認められ、専門家検討会が「放射能起因性があると認定すべきだ」として認定された。業務起因性を認めたわけです。
 ところが厚労省は記者会見で、「労災認定されたことをもって、科学的に被ばくと健康影響の因果関係が証明されたものではない」とわざわざ強調。マスコミなでで厚労省の見解が宣伝された。

被ばく管理の責任を負う東電が「コメントする立場にない」
 福島原発で被ばく管理の責任は東電にある。被ばくにより白血病になったことに東電は責任があるのに、「(労災認定について)コメントする立場にない」と答えた。
あらかぶさんはこれに烈火のごとく怒り、損害賠償を求めて提訴した。

三重がんでも労災認定せず
 少なくとも56mSv被ばくして、非常に短期間の間に膀胱がん、胃がん、結腸がんを併発した北海道の労働者は労災補償不支給になった。
 これらは労災認定の対象疾病になっていないので、「不支給決定」を出すに当たって、専門家検討会議の次のような見解を出した。
「膀胱がん、喉頭がん、肺がんの労災補償に当たっては
・100mSv以上の被ばく
・被ばく開始から発症まで5年以上
・放射線被ばく以外の原因についても考慮」

健康管理体制がおかしい!
 健康管理については、被ばく労働者と、一般の労働者、ヒロシマ・ナガサキの被ばく者とはまったく違っている。
 例えば健康管理手帳。福島労働局のサイトには 
「健康管理手帳とは、がん、じん肺、中皮腫のように発病までの潜伏期間が長く、また、重篤な結果を起こす疾病にかかるおそれのある人々に対して、これらの疾病の早期発見に努めてもらうため、健康診断を無料で受診できるようにする手帳のことをいいます。
 これは、在職中の健康管理については事業者にその義務が課せられていますが、退職後は国が健康管理を行うという制度に基づいています。」とあります。
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 この健康管理手帳の対象者はベンジジン、石綿など発がん物質を扱う労働者や粉じん作業の労働者に限られていて、被ばく労働は対象になっていない。

フクイチ労働者の健康管理
 事故後、福島第一原発で働いた労働者は、2014年10月末までで約3万9千人にのぼる。
 このうち、長期の健康管理が検討されたのは、2011年3月14日から、野田首相が「終息宣言」を発した12月16日まで、「緊急作業」の線量限度が250mSvに引き上げられた期間に働いた約2万人の「緊急作業従事者」だけ。3万9千人の約半分に過ぎない。
 その中でも、特に検査が必要とされたのは、
・50mSv超の被ばく者(901人);眼の白内障検査
・100mSv超の被ばく者(167人):甲状腺検査、がん検診(胃、肺、大腸)
だけです。がん検診を受けるのは、たった167人だけです。
 検査は事業者が行い、退職後も国による健康診断はありません。

緊急作業の線量限度を250mSvに緩和、「決死隊」を示唆
 2015年には、緊急作業の線量限度250mSvを法制化した。
 東電廃炉推進カンパニー・最高責任者の増田尚宏氏は、2月27日の産経新聞で核燃料デブリ取り出し作業などで「決死隊」も想定していることを示唆している。
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 4月2日の学習会では、あらかぶさん裁判への会場カンパ31799円を「あらかぶさんを支える会」にお渡ししました。

 その2:海渡雄一さん

文責:温品惇一

2017年3月17日 (金)

「あれから6年・・・放射能はいま」No.1に誤りがありました

 申し訳ありません。

 2017年4月2日の学習会チラシの裏に印刷した「あれから6年・・・放射能はいま」No.1に一部計算違いがありました。
 お詫びして、訂正いたします。
 小見出し ●事故前の150倍以上 の段落の最後です。
 誤:福島原発事故以前は関東の土は平均17Bq/m2でした**。事故後は150倍以上も汚染されています。
 正:平均240Bq/m2・・・事故後は12倍以上・・・

正しいPDFはこちら
以上
 

2017年3月 9日 (木)

福島甲状腺がんを見つけないようにしている?! 2.20福島検討委員会報告

 2017年2月26日の被ばく懇談会で、2月20日の福島県県民健康調査検討委員会の結果を紹介しました。

 動画はこちら

 資料はこちら 

3巡目検査では甲状腺がんゼロ!?

 2月20日の第26回「検討委員会」までに発表された甲状腺検査結果をまとめるたのが、下の表です。
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 1巡目では116人、2巡目では69人の「悪性ないし悪性疑い」(=甲状腺がん)が見つかっているのに対し、3巡目ではゼロです。3巡目検査は2016年から始まっていて、1次検査の受診率がまだ約26%とは言え、これは妙です。

 2次検査が終わった人の中で穿刺細胞診を受けた人の割合を調べました。

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 2014年度実施地域、2015年度実施地域が2巡目です。
 1次検査を受けた人のうち、B判定またはC判定を受けた人(=2次検査対象者)の割合は、1巡目・2巡目では0.8%、3巡目では0.6%とやや低下しています。
 他方、2次検査が終了した人のうち、細胞診を受けた人の割合(細胞診率)は、1巡目26.1%に対し、2014年度実施地域は14.2%に低下、2015年度7.3%とさらに低下。3巡目ではすでに63人の2次検査が終わっているのに、細胞診は誰一人受けていません。63人中、一人も細胞診を指示されていないのです。1巡目検査はもちろん、2014年度実施地域と比べても、これは単なる偶然では説明できません

 2次検査で細胞診をやる基準を上げ、細胞診を実施しないようにしている可能性があります。

甲状腺がんの男女比:インチキ説明

 の表にも見られるように、チェルノブイリ原発事故前に見つかった自然発生(散発性)の小児甲状腺がんでは、男性1に対して女性4.3でしたが、原発事故後の放射線由来の小児甲状腺がんでは、男性1に対し女性は1.8でした。
 男女比は、放射線由来かどうかのメルクマールと言われています。

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 福島の小児甲状腺がんでは、男女比は1巡目検査で1.8、2巡目検査では1.2です。

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 2巡目検査の中でも、2014年度実施地域では男女比が:1.5なのに対し、2015年度実施地域では1:0.7。男女比が逆転しています。
 福島の小児甲状腺がんが放射能由来であることの、有力な証拠ではないでしょうか。
大津留教授・高村検討委員の説明
 男女比の問題はほとんど検討委委員会が開かれる度に問題になってきました。2月20日の検討委員会で初めて説明がありました。
 福島県立医大の大津留教授は、
「甲状腺以外の病気で亡くなった方を解剖して見つかる甲状腺がんでは、男女1:1か、男が多い」
「がん登録データでも思春期前後までは男女比が1:1に近い」
「検診を行うと、一般的には男女比が小さくなるというふうに、科学的には予想されています」などと説明しました。

 高村 昇・検討委員は、「男女比が逆転した2015年度実施地域は、甲状腺がんの平均年齢が低い。平均年齢の違いが性比の違いに効いているのではないか」と述べました。

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 大津留教授が述べた「がん登録」のデータでは、上のグラフのように、10代前半でも男女比は大津留教授が述べた1:1ではなく、2.5です。
 年齢が高くなると男女比が大きくなる傾向はありますが、20代後半で男女比3.7ですから、年齢が15歳若くなると男女比が1.2小さくなる程度です。
 高村委員が言及した2014年度実施地域と2015年度実施地域の平均年齢差は1.4歳。比例計算では、平均年齢差による男女比の違いは0.1程度です。
 大津留教授、高村委員の説明は、いずれもインチキ説明でした。

「2巡目検査の甲状腺検査評価部会を設置する」
 星・座長は2月20日の検討委員会で、「2巡目検査結果がまとまってきたので、2巡目検査の甲状腺検査評価部会を設置し、検査結果のまとめ・評価を行う」と述べました(資料7)。 
 現在の部会員に、さらに甲状腺の病気や放射線の健康影響に関する「有識者」を加え、5月~6月頃をメドに開催するとしています。
 清水一雄・部会長は昨年来、放射能影響否定に疑問を呈し、発言しにくい部会長を辞任する意向を表明していました。星・座長は、部会長を選び直すと述べました。

「国際的第三者機関設置を検討している(福島県)」

 前回12月27日の検討委員会で星・座長が突然、「国際的第三者機関」設置を提案しました
 春日委員は2月20日の検討委員会で、「前回突然出てきて驚いた。良く分からなかった」と疑問を表明。前回欠席だった清水修二委員は「第三者機関の結論にこの委員会が拘束されることにならないか」と問いました。

 星・座長は「だから、第三者機関は委員会が求めたのではない。委員会と別に、平行して検討する」とかわしました。
 ところが福島県は「検討委員会の要望に基づき、県として検討を進めている段階。第三者機関は、検討委とは別の独立した機関です。国の協力を得ながら、国際機関とも相談していきたい」と言っています。
温品惇一

  細胞診
あり なし
3巡目 0 63
2014年度実施地域 149 901
 上の2×2表をEpi Info 7に入力すると、P=0.001(両側検定)でした。
 2014年度実施地域と3巡目の細胞診率が同じである確率は0.001なので、二つの細胞診率が異なることは、単なる偶然ではなく、95%水準で有意です。

2017年3月 4日 (土)

あれから6年・・・放射能はいま No.1 2017.2

                  
あれから6年・・・放射能は いま
      
      N0.1  2017年2月

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 福島原発事故から6年。降り注がれた放射能はどうなったのでしょうか。各地の土の放射性セシウム(セシウム134137)を調べ、1平方メートル当たりのベクレル(Bq/m2)に換算しました

事故前の12倍以上

八王子市東久留米市文京区の1ヶ所(図の小さな青い棒) 3,0006,000Bq/m2。現行法では6,500Bq/m2(100Bq/kg)以下は放射性物質として扱われませんが、福島原発事故前は関東の土は平均240Bq/m2でした**。事故後は12倍以上も汚染されています

6,500Bq/m2を超える放射性物質の上で暮らしている

熱海市14,00037,000Bq/m2(図の赤い棒)。福島原発から300Km離れていても、安心はできません。放射能汚染された草地で小さな子がよく寝転んで遊んでいます。

文京区2ヶ所、江戸川区11,00030,000Bq/m2(図の赤い棒)。セシウムがたまりやすい所ではなく、ごく普通の場所でも、これだけ汚染されていました。

40,000Bq/m2超は放射線管理区域

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運動場になっている江戸川、日光の河川敷63,00076,000Bq/m2(図の黒い棒)。40,000Bq/2を超えると放射線管理区域です。原発の放射線管理区域と同じです。放射線管理手帳を持たない一般人は立入禁止です40,000Bq/2の場合、1メートル四方の地面から毎秒4万本の放射線が放射され、住人は毎日5兆個の分子が破壊されます

柏市、取手市、福島県いわき市230,000306,000 Bq/2(図の黒い棒)。避難指示は出されていませんが、管理区域の5倍以上の汚染です。多くの人々が、そんなところでの生活を強いられています。

6年経っても、これだけ汚染されています。あと6年経っても、22%減るだけです。被ばくはこれからも続きます

 **「環境放射線データベース」で検索 https://goo.gl/269Dza 

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