2017年10月10日 (火)

可搬型モニタリングポストの数字はどうしてサーベイメーターより小さいのでしょう?

4_20__2
4_20__3
 5月下旬、私たちは福島県浪江町の避難指示が解除された区域の空間線量率を測りました。使ったのは携帯用の放射線測定器、いわゆるサーベイメーター(シンチレーション式)の堀場製作所Radiです。可搬型モニタリングポスト(左の写真、通常、金網で囲われている)の測定値はRadiの約半分でした。なぜこんなことになるのでしょうか?

コンクリートブロックと蓄電池で遮蔽

 検出部は四隅のコンクリートブロックの上の金属板に乗せられ、下には蓄電池が置かれています(左上の写真)。真ん中の写真にあるように、Radiの値はモニタリングポストのすぐそばでは1.368µSv/hなのに、検出部の上では1.054µSv/h(右の写真)でした。23%も低下しています。

可搬型モニタリングポストはGy(グレイ)、サーベイメーターはSv(シーベルト)

 福島県内に579台(2017.9現在)設置されている可搬型モニタリングポストは、もともと原子力施設事故で飛んできた放射能を検出するもので、空気が吸収したエネルギー(空気吸収線量)を測り、Gy/h(右上の写真)で表示します。Radiなどサーベイメーターが表示するSvは、人の被ばく線量を表すもので、被ばく線量を安全側に評価するため、セシウム137のガンマ線の場合、空気吸収線量の1.2倍です。従って可搬型モニタリングポストの数字はサーベイメーターの数字の1.2分の1(=0.83倍)です。遮蔽と合わせると、可搬型モニタリングポストの測定値はサーベイメーター測定値の64%という計算になります(0.83×(1-0.23)=0.64)。

リアルタイム測定システムはSv表示です

 311以後福島県内に設置されたリアルタイム測定システム(左の写真 3,101台*)はサーベイメーターと同様、Sv表示ですが、値はサーベイメーターの8割程度でした。その理由はまだよく分かりません。いずれにせよ、放射線はどんなに低線量でも人体に悪影響を及ぼすことを忘れてはなりません。

 PDFはこちら
 

2017年10月 8日 (日)

10.31落合栄一郎さん懇談会のお知らせ

2017103121_

 カナダ在住の化学者・落合栄一郎さんは「原爆と原発」(2012年5月)、「放射能と人体」(2014年3月)、「放射能は人類を滅ぼす」(2017年1月)などの書籍を相次いで出版、放射能の危険性に警鐘を鳴らしてこられました。

 今回の来日に当たり、落合栄一郎さんから以下のお話をお伺いし、質疑応答、意見交換したいと思います。

 本年「核兵器禁止条約」が国連で成立した。核をまず兵器に利用したその間違いをようやく1世紀後に、人類の多くが認めることができた。しかし、核の平和利用の問題に関しては、国連の会議でも、意識すらされていないようである。
 問題の根本は、それがつくり出す放射性物質からの放射線が、生き物にとって非常に危険だということである。この講演では、これまでにあった、原発事故のみならず、あらゆる場での放射線による健康障害を概観し、なぜそうなのかを考えてみたい。そして、その結果、放射線を出す物質はもうこれ以上作り出してはいけないのだ、核兵器禁止ではなく、「核禁止」をこの世紀のうちに、実現しなければならないということを訴えたい。
 

2017103121__2

PDFはこちら

2017年10月 5日 (木)

9.30 総合討論会の報告

 421_edited1

9月30日夜、文京区アカデミー茗台・学習室Bで「学習する会4周年 総合討論会 ー何でも聞ける・話せるー 311から2395日の放射能」を開催しました。

 今回はチラシを配付していないのですが、30名の参加で盛況でした。
 最初は「学習する会 4年間の歩みと今後の方向」(温品惇一)です。
 資料はこちら
 スライドを1枚選ぶなら
Ayumi16

 続いて「原子力規制委員会 放射線審議会と環境放射線モニタリング技術検討チームで進行中の問題」(瀬川嘉之さん:高木学校)
  「現存被ばく状況」という枠組みを前提としている問題
 線量限度の確認が消される問題  
 
 資料はこちら

 3番目は「『情報を取りに行く』とは? どう追い、どう読み、どう選ぶ? そして、何ができる?」(菊池京子さん)
211
 休憩のあと、"なんでも聞ける話せる放射線・放射能"質疑討論。
田島さん作成の「放射能の基本・質問の呼び水」を参考に、寄せられた質問に会場から応えました。
Photo_3
 今後の学習会  申込先:anti-hibaku[a]ab.auone-net.jp([a]を@に代えてください)
 201710225v_
 
  落合栄一郎さん懇談会
Photo
  第40回被ばく学習会
_edited1
  第41回学習会
Photo_2

2017年10月 2日 (月)

10.22 第39回被ばく学習会 お母さん原告が語る 帰れぬわが家、避難の6年 歪んだ原発推進と帰還政策の中で、『被曝したくない』は、わがままですか?

201710225v_

 チラシPDFはこちら
 311から6年半以上。東京に避難している方々が国と東電に損害賠償を求めている福島原発被害東京訴訟第1次、第2次提訴は10月25日に結審の予定です。原告の方に以下のように、今の思いをお話しいただきます。
                  
いわゆる『自主避難者』は、どうやって作られたか。当事者が語る残酷な実態。避難元の現状。分離避難の苦しみ。放射能に引き裂かれた父、母、子、そして祖父母たちの6年。避難者差別、いじめ、分断される被害者たち、くじけていく避難者の今。避難こそが被害なのか? 汚染や被曝を被害と認めない国に対して、司法の判断は? 避難住宅問題と帰還政策の中で、作られる貧困、消される避難者。
 

201710225v__2

 参加される方はanti-hibaku@ab.auone-net.jpへご連絡ください。

2017年9月12日 (火)

学習する会4周年 9.30 総合討論会 ―何でも聞ける、話せるー  311から2,395日の放射能

421_edited1

PDFはこちら

 2013年8月10日、放射線被ばくを学習する会の開始以来すでに4年、被ばく学習会は38回に及んでいます。

この間、主に福島の小児甲状腺がん問題の学習を重ね、福島県、福島県県民健康調査検討委員会、環境省、新潮社への公開質問状、さらに二度にわたる小児甲状腺がん問題のパンフ発行などの活動を続けてきました。

また、放射能・被ばく問題の基礎的な学習を進め、「被ばくミニ知識」として広めてきました。今年からは「あれから6年・・・放射能はいま」シリーズにリニューアル、自分たちで測定した結果をもとに問題点を伝えてきました。飲料水の放射能基準値など読売新聞のフェイク社説に関し読売新聞社に二度にわたって公開質問状を発しています。誤った飲料水放射能基準値を資料に掲載している環境省に対しても公開質問しています。

最近は福島原発事故収束作業で被ばく、白血病・うつ病で労災認定されたあらかぶさんの損害賠償請求裁判弁護団会議に参加、準備書面作成などに協力しています。

他方、政府は区域外避難者切り捨て、ICRP2007年勧告の取り入れ、環境放射線モニタリングの変更など、「被ばくさせても構わない」体制作りを進めようとしています。

「学習する会」の発足から4年、311から2,395日を迎え、この間の活動を振り返り、今後の課題・方向を考えていきたいと思います。

提案のある方は、ご連絡いただければ資料を印刷・配付します。

質問のある方は何でも聞いてください。

皆さんのご参加をお待ちしております。

学習する会4周年 9.30 総合討論会

―何でも聞ける、話せる―

311から2,395日

日 時 9月30日(土) 午後6時15分~9時15分

場 所 文京区・アカデミー茗台(めいだい)・学習室B
      (地下鉄茗荷谷駅下車8分、一番下の地図参照)

内 容 1)学習する会4年間の歩みと今後の課題 温品惇一(代表)

    2)「環境放射線モニタリング」の変更について 瀬川嘉之(世話人)

    3) 難しくて複雑な、放射能と原発・・・情報を取りに行く、情報をシェアする
          
菊池京子

    4)その他、提案のある方は anti-hibaku@ab.auone-net.jp へお申し込みください。 

            ご希望により、資料を印刷・配付します。

    5)質疑応答:質問のある方はご自由に質問してください。

    6)自由討論

主 催 放射線被ばくを学習する会

参加費 500円

申込先 anti-hibaku@ab.auone-net.jp

      090-3577-4844(温品 ぬくしな)

Photo

アカデミー茗台(めいだい) 文京区春日2-9-5

地下鉄丸の内線「茗荷谷」駅下車、「春日通り」改札を出て右折、

春日通りを右へ 徒歩8分、茗台中学校と同じビルで隣りの入口。

エレベーターで7階へ

2017年8月20日 (日)

「土の除染より心の除染? ~ICRPの優等生・福島県伊達市で何がおこなわれたのか~7.23第38回学習会報告その2

Photo  2017年7月23日の第38回被ばく学習会では、前半の報告「20mSv法制化への動き」に続き、フリーライター・黒川祥子さんに「土の除染より心の除染? ~ICRPの優等生・福島県伊達市で何がおこなわれたのか~」についてお話しいただきました。    

 動画はこちら

 黒川さん資料PDFはこちら

 伊達市放射線教育副読本はこちら              

<黒川祥子さん・プロフィール>
 
 1959年福島県生まれ。東京女子大学卒業後、弁護士秘書、ヤクルトレディ、デッサンモデル、業界紙記者などを経てフリーライターに。2児をもつシングルマザーとして、家族問題を中心に執筆活動を行う。
 『誕生日を知らない女の子 虐待―その後の子どもたち』で第11回開高健ノンフィクション賞受賞
 著書に『熟年婚 60歳からの本当の愛と幸せをつかむ方法』(河出書房新社)、『子宮頸がんワクチン、副反応と闘う少女とその母たち』集英社)、『「心の除染」という虚構』(集英社インターナショナル)など。また橘由歩の筆名で『セレブ・モンスター」』河出書房新社)、『身内の犯行』(新潮新書)などがある。
 
 黒川さんは初めに「私は科学ジャーナリストでもなんでもなく、家族の問題、子どもの問題などを取材してきた人間です。開高健ノンフィクション賞をいただけたのも、虐待を受けた子どものその後に注目して、その後遺症がどれだけ大変なものかということを、里親家庭を訪ね歩いてまとめた本でした。
 ですから、「黒川さんは文系ライターなんだから、原発は無理だ」とか、編集部から言われたこともあったんですが、私自身が伊達市出身ということもあり、「やっぱりこれはちゃんと見ていかないといけないんじゃないかというところで、事故後、折を見ては、雑誌、週刊朝日やアエラ、新潮45などで伊達市に入っては友人とかそういうつながりで、伊達市で子どもを守ろうとする母たちの取材を、ずっと続けてきました。
 ですので、今回のお話は専門的なことよりも、そういうお母さんたちの生の声をお伝えすることが中心になると思います。
 ただ、なんかおかしい、伊達市は変だ、と皆さんが取材に行く度に言っていて、私も感じていたことが、田中俊一さん(原子力規制委員長)、彼が原発事故後、うまくデザインした町だったんだな、ということをあらためて思います。そのへんも時系列に沿ってお話ししていきたいと思います。」と挨拶されました。 
 
 
Photo_3
 
 4月20日の福島民報1面トップに、文科省が放射線量再調査で校庭・園庭での放射線量が3.8µSv/h(年間20mSv相当と判断)を上回った13の小中学校などの屋外活動を控えるよう、県教委に通知したことが報じられました。
Img_20170819_0001_2
 4月19日に発表された福島県内52校・園の放射線量再調査結果によると、最も放射線量が高いのは、なんと、伊達市の小国小学校でした。
 伊達市は「計画的避難区域」とされた飯舘村などと違って、年間20mSvを超える「家」を個別に「地点」と指定する「特定避難勧奨地点」制度を歓迎しました。ここから、子どもたちを分けずに全員を避難させたい小国小生徒の母親たちと、伊達市当局との攻防が始まりました。
Photo
 105
 小国小学校のすぐ西はもう福島市。そのことが一層混乱をよびました。
 ちなみに、上の表によると、このとき調査された52校・園の中で、土壌中のヨウ素131濃度が一番高かったのも、小国小学校でした。
 黒川さんの資料と以上の補足資料を参考に、ぜひ黒川さんの講演動画を見てください。
 質疑応答の動画はこちら

 詳しくは黒川さんの著書『「心の除染」という虚構』をご覧ください。
Photo

 今後の予定は以下のとおりです。
 21
 
 
 

2017年8月 5日 (土)

20mSv法制化への動き:7.23第38回被ばく学習会報告ーその1

 第38回被ばく学習会「土の除染より心の除染?」は7月23日、35名の参加で開催されました。

 「20mSv法制化への動き」についての報告(温品惇一)に続き、福島県伊達市の、被ばく問題への対応を黒川祥子さんから詳しくお話しいただき、たっぷり質疑応答しました。参加された研究者から、早野龍五・東大教授の論文に対する批判も展開されました。

 まず、「20mSv法制化への動き」についてご紹介します。

201707231_edited1https://www.nsr.go.jp/data/000192741.pdf

 動画はこちら

 資料PDFはこちら

20mSv法制化を要求する読売新聞社

 さる2月9日、読売新聞は、ICRP2007年勧告の取り入れに向けた放射線審議会権限強化法案の国会上程を機に、「放射線審議会 民社党政権時の基準を見直せ」と題する社説を掲載しました。

 「科学的には、100ミリ・シーベルト以下の被曝による健康への影響はないとされる」との誤った前提のもと、「1ミリ・シーベルトの呪縛」が福島復興をさまたげているとして、ICRP2007年勧告を取り入れ、現在の法制にはない「20mSv」を法制化するよう要求しています。

 また、食品の放射能基準、特に飲料水中のセシウム量の基準値は、米国が1キロ・グラム当たり1200ベクレル、欧州が1000ベクレルなのに対して、日本は10ベクレルだ」として日本の基準をゆるめるよう求めています。

 この飲料水基準の国際比較はまったくのフェイクです。

Photo

 1) WHO飲料水水質ガイドライン(第4版、日本語版) 216頁 
 2) 食品中の放射性物質の新たな基準値
 3) National Primary Drinking Water Regulations Radionuclides

 4) COUNCIL DIRECTIVE 2013/51/EURATOM ANNEX Ⅲ

 WHO(世界保健機関)、日本、EU、米国はいずれも1日の飲料水量を2リットルとして基準値を計算しています。

 WHO、日本、EUは飲料水中による内部被ばく線量を年間0.1mSvに抑えるため、セシウム137の基準を10~11Bq/Lとしています。

 米国はもっと厳しく、飲料水中のガンマ線・β線による内部被ばくを0.04mSv(4ミリレム)に抑えることを目標にしているので、セシウム137の基準を7.4Bq/Lとしています。米国の方が日本より厳しいのです。読売新聞社説の国際比較はまったくのフェイクです。

 このフェイク社説に対し、2月15日、18日、3月13日の三度にわたり、放射線被ばくを学習する会は327人の賛同を得て、読売新聞社へ公開質問状を提出しましたが、いまだに回答はありません。

またもやフェイク社説

 社説に書いている放射能基準値が間違っていると、公開質問状で指摘しているのに、6月26日の読売新聞はまたもや、「放射線審議会 確かな情報を分かりやすく」と題するフェイク社説を掲載、「1mSvの呪縛」「20ミリ取り入れ」などを放射線審議会に要求しています。

 これに対し7月12日、放射線被ばくを学習する会では574名の賛同人とともに、再度公開質問状を提出しました。

2007年勧告取り入れに動き出した放射線審議会

2017072311

 省庁からの諮問がなくても放射線審議会が独自に提言できるようにする「放射線審議会権限強化法」が4月7日に成立しました。

2007年勧告取り入れに発破をかけた田中委員長

 6月16日には権限強化後、初の放射線審議会が開かれました。冒頭、放射線審議会を管轄する原子力規制委員会の田中俊一委員長が、自ら「異例」と認める挨拶を行い、上の動画にあるように、ICRP2007年勧告取り入れに向けて、各委員に発破を掛けました。

 「福島の事故を受けた日本が、国際的に見ても極めて、ちょっと合理性を欠くような放射線防護基準を決めている。世界の規制機関の長の集まりなんかに行くと、ちょっとあきれられると言うか、そういうようなこと、たくさん聞いてきました。・・・放射線防護基準、わが国では非常に取り入れが遅れちゃってますけれども、ICRPの2007年勧告、もう少し古いような気もしますけれども、そういったICRPの基本原則とかそういった考え方も踏まえて、本当に国際的に見ても、わが国のイチエフの被害者である住民がきちんと回復に向かえるような放射線防護基準を、防護の考え方や基準について、十分議論して、いいものを提示していただきたい(田中俊一・規制委員長)。」

2017072312_3

 放射線審議会委員はこれまでの8人に、甲斐倫明・大分県立看護科学大学准教授をはじめ5人が補充されました。

 甲斐委員は現在、ICRPの委員を務めており、2008年以降、2007年勧告取り入れに向けた放射線審議会基本部会の部会長を務めています。まさにICRP2007年勧告取り入れの「エース」の登場です。

2017072313

 6月16日の放射線審議会では主に二つの問題が審議されました。

 一つは上に書いた水晶体の線量限度引き下げ、もう一つはICRP2007年勧告の取り入れです。

 水晶体が大量被ばくすると白内障を発症します。従来、水晶体の線量限度は年150mSvとされてきましたが、研究の進展によりICRPは2011年4月、「組織反応(=確定的影響)に関する声明」で、5年間の年間平均 20 mSv、ただし年間 50 mSv を超えないこと、 組織反応を防止するためには、最適化が必要」を打ち出しました。

 6月16日には、横山委員(藤田保健衛生大学・准教授)が資料を基に説明し、神谷会長が「(線量限度引き下げの)取り入れを前提とした実施に向けた検討」を求めました。

 にもかかわらず、真っ先に発言した杉村委員(神戸大副学長、医学系教授)は「放射線医学を専門にしている」立場から、IVR(画像下治療)に支障が出るとして慎重な対応を求めました。放射線業務に従事する人々を守る基準を審議する場で、従事者を指揮する「使用者」サイドの意見が真っ先に出されていることは問題です。

 7月21日の放射線審議会で「眼の水晶体の放射線防護検討委員会」設置、委員・専門委員が了承されました。

 7月25日には上記検討委員会の第1回が開かれています。

2017072314

6月16日には甲斐委員が、ICRP2007年勧告の現行法制への取り入れについて、2008年以来放射線審議会基本部会で検討してきた内容を簡単に報告しました。

 7月21日には、6月の審議会で委員から出された意見を事務局がまとめ、まず甲斐委員が2007年勧告の要約(ガイドライン)をまとめることになりました。

 次回の放射線審議会は秋以降の予定ですが、いよいよ、2007年勧告の取り入れに向けた審議が本格化しそうです。今後の動きにご注目ください。

2017年7月16日 (日)

読売新聞・放射能に関するフェイク社説に関する再度の公開質問状提出

2hp1

 読売新聞論説主幹 小田 尚 殿

読売新聞・放射能フェイク社説に関する再度の公開質問状

2017.7.12

放射線被ばくを学習する会

http://anti-hibaku.cocolog-nifty.com/

anti-hibaku@ab.auone-net.jp

代表・温品惇一

(住所・電話番号・略) 

20170626_edited1 

 6月26日、貴殿は「放射線審議会 確かな情報を分かりやすく」と題する社説を掲載しました。「人の振り見て我が振り直せ」と申しますが、「確かな情報を」とは貴殿こそ心がけるべきことと存じます。

すでに2月9日の社説「放射線審議会 民主党政権時の基準を見直せ」で貴殿は「飲料水中のセシウム量の基準値は、米国が1キロ・グラム当たり1200ベクレル、欧州が1000ベクレルなのに対して、日本は10ベクレルだ」と米国、欧州について間違った基準値を示し、基準を緩めるよう求めました

福島原発事故初期のようにセシウム134137がほぼ等量ずつ含まれている場合、飲料水の放射性セシウム基準値は米国で3.4Bq/L1)欧州で8.7Bq/L2)です。私たちは2月15日、貴殿に公開質問状を提出、謝罪と訂正を求めました。しかし貴殿は327名もの賛同を得た公開質問状に何ら答えることなく、再度、フェイク社説を掲載しました。ペンを武器とする貴殿が公開質問状に答えられないということは、フェイクと自覚しておられるのでしょうか

2度にわたる社説は放射線被ばくの健康影響を軽視するフェイクに溢れています。「復興を加速」するためにはフェイクもいとわない、ということでしょうか574名の第4次集約賛同人名簿とともに626日の貴殿社説に関し以下の公開質問状を提出いたします。7月20日までに文書回答をメールで送信していただくよう、お願いいたします。

1.飲料水の放射能基準値国際比較について

1)6月26日の社説には2月9日の社説にあった「欧州が1000ベクレルなのに対し」が書かれておりませんが、欧州については誤りを認め、取り下げたのでしょうか?

2)米国、欧州の飲料水基準値の誤りを認め、撤回・訂正されますか?

撤回しないなら、基準値の出典をきちんと特定してください。

2.「一般食品の基準が現状にそぐわない」について 

「一般食品の基準は、日本人が口にするものの半数は汚染されているとの前提で算定されている。食品汚染がほとんど検知されていない現状には、そぐわない」と書かれています。

「そぐわない」から、基準を厳しくして被ばくをできるだけ少なくすべきとのご主張ですか、それとも基準をゆるめて漁業などの「復興を加速」しようというご主張ですか?

3.「1ミリシーベルトの呪縛」、「100ミリ・シーベルト以下の被ばくでは、がんリスクは有意でない」などについて

 1)ICRP(国際放射線防護委員会)は「不要な被ばくはできるだけ避ける」ことを基本とし、一般公衆の線量限度を年間1mSvとしています。2007年勧告も同様です。貴殿はICRP2007年勧告の日本法令への取り入れを歓迎しながら、勧告の基本である線量限度1mSv/年を「呪縛」と称して廃止し、20mSvに置き換えるべきとお考えですか? 

「放射線量が着実に減っていることなど、関係地域の実情に沿った法規制を目指したい」とは、「20mSv帰還強制」を法令に取り込みたいということですか?

 2)「100ミリ・シーベルト以下の被曝では、がんリスクは有意でない」とお考えのようですが、「低線量被ばくワーキンググループ」が同様の見解をまとめた2011年以降、大勢の子どもの調査により、自然放射線の累積1mSvでもがんの増加が報告されていること、5mSv程度のCT被ばくでがんの増加が明らかにされていることをご存じですか?

 3)環境省の「統一的な基礎資料」に「100ミリ・シーベルト以下の被曝では、がんリスクは有意でない」と書いてあると主張されています。私どもが拝見したところ、そのような記述は見当たりませんでしたが、同資料の何頁に書かれておりますでしょうか?

4.「WHOなどは『放射線による健康影響が確認される可能性は小さい』との見解を示している」について

世界保健機関(WHO)は2013年の報告書「2011年日本巨大地震と津波後の核事故による健康リスク推定」3)で、避難地域の一部では、女性乳児の甲状腺がんの生涯リスクはベースラインより70%上がり、男性乳児では白血病の生涯リスクがベースラインより7%上がる(8頁 Executive Summary/findings)などと推定しています。

6月26日の貴殿社説には「世界保健機関(WHO)などは『放射線による健康影響が確認される可能性は小さい』との見解を示している」とありますが、出典・引用箇所を特定してください。

以上

1)National Primary Drinking Water Regulations Radionuclides   

 Beta particles and photon emitters(β線光子(ガンマ線)核種):4ミリレム 

2)COUNCIL DIRECTIVE 2013/51/EURATOM  ANNEX Ⅲ 

Eu_council_directive_3_2

3)Health risk assessment from the nuclear accident after the 2011 Great East Japan earthquake and tsunami, based on a preliminary dose estimation 

         
For leukaemia, the lifetime risks are predicted to increase by up to around7% over baseline cancer rates in males exposed as infants; for breast cancer, ;the estimated lifetime risks increase by up to around 6% over baseline rates in females exposed as infants; for all solid cancers, the estimated lifetime risks increase by up to around 4% over baseline rates in females ;exposed as infants; and for thyroid cancer, the estimated lifetime risk ;increases by up to around 70% over baseline rates in females exposed as infants. 
               

飲料水の放射能基準値国際比較について、環境省に公開質問状

3hp1_edited1

 2017.7.10

環境大臣 山本公一 殿

環境省環境保健部部長 梅田珠実 殿 

環境省環境保健部放射線健康管理担当参事官室 前田光哉 殿 

飲料水の放射能規制値国際比較に関する公開質問状

放射線被ばくを学習する会

http://anti-hibaku.cocolog-nifty.com/

anti-hibaku@ab.auone-net.jp

代表・温品惇一

(住所:略)

31_edited1

 貴殿らが発行している「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」2016年度版上巻162頁に掲載されている「食品の規制値の比較」には、飲料水の「放射性セシウム濃度の規制値」として、下表のように日本(20124月~)は10Bq/kgコーデックス委員会1,000Bq/kgEU(域内の流通品) 1,000Bq/kg、アメリカ1,200Bq/kgと書かれていますhttps://goo.gl/jCD4mc PDFでは178頁)。これは誤認ではありませんか?

 日本1)WHO2) (国際保健機関)は1日2リットルの飲料水による放射性セシウム経口摂取を年間0.1Svに抑えるため、「放射性セシウム10Bq/L以下」を飲料水の基準としています。

コーデックス委員会CODEX STAN 193-19953)で放射性物質の基準値を定めていますが、これは「国際的に貿易される食品」に限られ、飲料水の基準は見当たりません。

EUは同じく飲料水によるセシウム134137経口摂取を年間0.1mSvに抑えるため、134137の実効線量換算係数の違いを考慮し、セシウム1347.2Bq/L、セシウム13711Bq/Lとしています4)。福島原発事故初期のようにセシウム134137がほぼ等量ずつ含まれている場合、8.7Bq/Lです。

米国は、Safe Drinking Water Actにより、飲料水による放射線被ばくを4ミリレム(=0.04mSv)に抑えるとしており5)福島原発事故初期のようにセシウム134137がほぼ等量ずつ含まれている場合、3.4Bq/Lと計算されます。

「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」にあるように1,200Bq/Lの飲料水を1年間飲んだら、(600Bq/L×2L×365日)×1.9×10-51.3×10-5mSv/Bq14Svも被ばくします。

 以上に鑑み、下記の2項目について質問いたしますので、720日までに文書回答をメールでお送りいただくよう、お願いいたします。

1.環境省環境保健部放射線健康管理担当参事官室が筆頭著者を務める「放射線の健康影響等に関する統一的な基礎資料」上巻162頁の表に掲載されているコーデックス委員会、EUおよびアメリカの飲料水基準の誤りを認め、訂正してください。

  誤りでないとお考えなら、各基準値の出典を明らかにしてください。

2.今年2月9日の読売新聞社説には「飲料水中のセシウム量の基準値は、米国が1キロ・グラム当たり1200ベクレル、欧州が1000ベクレルなのに対して、日本は10ベクレルだ」と主張、626日にも同趣旨の社説が掲載されています。消費者庁の「食品Q&A」(第10版)6)19頁にもEUの飲料水基準1,000Bqと書かれています。

上記の訂正を広く公表し、国民・政府機関に周知してください。

 なお、参考資料の該当部分を抜粋し、資料として添付します。

以上

1)食品中の放射性物質の新たな基準値http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/leaflet_120329.pdf 

Leaflet_1203291

2)WHO 飲料水水質ガイドライン(第4版、日本語版) 216

Who2

3)食品及び飼料中の汚染物質及び毒素に関するコーデックス一般規格(厚労省訳) 50-51

 4)COUNCIL DIRECTIVE 2013/51/EURATOM  ANNEX

Eu_council_directive_3

5)National Primary Drinking Water Regulations Radionuclides

 Beta particles and photon emitters(β線光子(ガンマ線)核種):4ミリレム

6)「食品と放射能 Q&A 19頁」

Qa_2_edited1

2017年7月 2日 (日)

政府は線量限度1mSvを守れ!;「あれから6年・・・放射能はいま No.3」

Photo

 PDFはこちら
 原発近くも避難指示解除
 3月末~4月1日、福島第一原発近くの富岡町、浪江町、飯舘村、川俣町の、一部の避難指示が解除されました。
浪江町では下図の水色と黄色の区域の避難指示が解除されましたが、大部分は帰還困難区域です。

浪江町中心部で年間6mSv超で、管理区域相当!
Photo_2  私たちは5月下旬に浪江町避難指示解除区域の空間線量を測定しました。測定器は堀場製作所のRadiで、文科省の測定器「はかるくん」と同等(性能レベル)とされています。事故前は人口の多かった常磐線浪江駅西側の川添地区では年間6.2mSv。5.2mSvを超え、管理区域相当です(上図)。浪江町に戻っている人はほとんどいませんでした。

線量限度は空間線量1mSv/年
 「原子炉等規制法」などの法令で、一般公衆の線量限度は空間線量1mSv/年と決められています。第一原発事故前の福島県の空間線量は0.3mSv/年でした。線量限度は誰も超えてはならない「限度」です。屋外の時間が長い人でも限度を超えないことを保証するため、一人一人の被ばく線量ではなく、空間線量で1mSv/年と決められています。政府には、1mSv/年を超える地域に住む人々が避難できるようにする責任があります。

線量限度を超えているのに避難指示解除、賠償打ち切り!?
 1mSv/年を超える地域に住むことを強制するのは違法行為です。これまで、避難指示解除された地域は1年後に賠償を打ち切られてきました。セシウム137の半減期は30年。来年4月になっても空間線量はほとんど変わらず、線量限度オーバーのままです。
住むところを追われ、線量限度を超えて帰れないところに「帰れる」と言われ賠償を打ち切られるーーこんな理不尽なことを許してよいのでしょうか。

«7.23第38回学習会『「土の除染」より「心の除染」?』